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『ラシーヌ便り』no. 196 「シャンパーニュが品薄です」

【シャンパーニュが品薄です】

 数か月前からシャンパーニュ全般の品薄が続いています。2020年初頭に始まったコロナ禍というグローバル現象が急拡大したため、2019年と2020年の両年産ワインが現地で大幅に生産調整されました。そのために2021年秋ごろからリリース調整が始まり、生産本数の多いハウス(メゾン)製シャンパ―ニュが品薄となったのです。しかしそれだけが理由でなく、欧米の経済が早めにコロナ禍から恢復基調をみせたため、シャンパーニュ需要が世界的に急増したことも大きな理由です。ラシーヌがご紹介しているグローワー製シャンパーニュは、2021年の不作により大幅な生産減となりましたが、2019年と2020年の生産量に大きな変化はなく、コロナ禍の間も世界的な強い人気に支えられていました。今年はマルゲの《シャーマン》が生産者からの割り当て制となり、ラシーヌは今までのように希望本数どおりに購入できなくなりました。また、ラエルトの《ウルトラディション》は、日本国内で多くのご注文をいただくようになったため品切れ状態ですが、追加注文が受けつけてもらえません。
 今の市場の混乱が収まり、落ち着いたマーケットが早く戻ってほしいものです。 

Grands Jours de Champagne の賑わい 活動が活発になったころ

 

【ロゼ・シャンパーニュの人気】
 ロゼ・シャンパーニュの人気が高くなったとよく耳にします。はて、ロゼ・シャンパーニュについて考えてみると、15年ほど前と比べて、ずいぶん美味しいロゼ・シャンパーニュが増えたことに気づきます。昔は、クリュッグ、ドン・ペリニヨン、クリスタルのような特別なロゼ・シャンパーニュを楽しめる幸運を別とすれば、プロはよく「キュヴェ・エリザベート/ビルカール・サルモン」を楽しんだものです。他のロゼは、値段が高いばかりで味わいが伴わないものが多く、魅力的な美しい色調であること以外に手にする価値がない、と思われていたようです。しかし近年、素晴らしいロゼ・シャンパーニュが生まれています。進化し続けているルイ・ロデレール、もともと定評のあったジョゼ・ミシェルやタルラン以外にも、ジャック・セロスを筆頭とする、この10数年めざましい躍進をとげたRMたちのロゼは、高い評価を得ています。
 例えば、ベレッシュ・エ・フィス、シャルトーニュ・タイエ、ダヴィッド・レクラパール、ブノワ・ライエブノワ・マルゲラエルト・フレールユリス・コランジェローム・プレヴォーヴエット・エ・ソルべなど、優れたRMの面々は、それぞれ個性豊かなロゼ・シャンパーニュを作っています。

 さて、何故このように高品質なロゼ・シャンパーニュが作られるようになったのでしょうか。ジャンシス・ロビンソンは、2019年9月28日号( https://www.jancisrobinson.com/articles/pink-champagne-serious-wine-now )で「ピンクのシャンパーニュ ~今や本格的なワインに~」で、「かつてロゼは、一握りの例外を除きある種、品質を問わない半端者とみなされていた。それが大きく変わったのは、おそらくスティルのロゼワインの世界的な流行と、気温が高くなり続ける夏のおかげで、欠かせない品種の中で、黒ブドウであるピノの品質が向上したこと、あるいは単純にシェフ・ド・カーヴが第二の矢として重視するようになったことなどが考えられる」と述べています。

 そこで、オーレリアン・ラエルトとアントナン・ミシェルに彼らのロゼ・シャンパーニュ造りについて、たずねてみました。

<オーレリアン・ラエルト>

 

Q1. 各国の市場において、ロゼ・シャンパーニュの需要は増えていると思いますか?
A. すべてのワインメーカーのロゼ・シャンパーニュを語ることはできませんが、ラエルト・フレールでは、以前からずっと大変強い需要がありました。ピノ・ムニエから造られるロゼは、フルーティな味わいと爽やかさがますます評価されているようです。 

Q2. ロゼ・シャンパーニュとロゼ以外のシャンパーニュの醸造の違いをどのようにお考えですか? その結果、どのような味の違いが生じるのでしょうか?
A. ロゼ・シャンパーニュの醸造で興味深いのは、わずかに異なるアロマとバランスに工夫して、非常に濃密な豊かさと口の中の広がり、そして最後には常に多くのフレッシュさ(これは素晴らしいシャンパーニュワインにとって非常に重要です!)です。ラエルト・フレールの場合、ロゼはこのように作っています。60%ダイレクトプレス(白ワイン)、30%マセラシオン(黒ブドウ)、10%赤ワイン。
 つまり、それぞれの醸造に適した区画を探さなければならないのです。同じブドウ品種でも、異なる方法で醸造することで、ユニークなフレーヴァーや味わいの感覚が生まれます。そして、ブレンドすることで、バランスのとれたワインに仕上げることができます。ロゼ・シャンパーニュは、まさに技のみせどころであり、とてもエキサイティングです。また、非常に個人的な選択でもあります。

Q3. 近年の気候変動や度重なる遅霜による収量への懸念があると思いますが、そういった影響とは別に、近年の気候がシャンパーニュ、特にロゼ・シャンパーニュに与える影響とはどのようなものでしょうか?
A. 過去10年の平均をとると、気候変動は、北の大地であるシャンパーニュ地方に、むしろ恩恵をもたらしていると言えるでしょう。
 2022年は、今のところ極端な事態にはなっていません。数日前からつづく干ばつと暑さが気になるところですが。結論から言うと、「複雑すぎる年」と「本当に簡単な年」があると言えるでしょう。シャルドネが苦戦することもあれば、ムニエが苦戦することもあります。
 気候変動は、私たちに適応を迫り、より良い対応をするために私たちの活動を多様化させます。また、長期的な視点で取り組み、1年は実質的に量が不足しても、翌年は美しい結果が得られるかもしれない、という考え方も必要です。 

 

<アントナン・ミシェル> 

 

Q1. 各国の市場において、ロゼ・シャンパーニュの需要は増えていると思いますか?
A. シャンパーニュ全体の需要が増えると同時に、ロゼ・シャンパーニュの需要も増えています。アジアの文化は、ロゼ・シャンパーニュの大きな市場です。アジア料理全般と非常に相性がよく、ロゼ・シャンパーニュの豊かな果実味がアジア人の味覚に合いやすい傾向にあるのでしょう。また、スカンジナビア、ドイツ、イタリアもロゼ・シャンパーニュの重要な市場となっています。

Q2. ロゼ・シャンパーニュとロゼ以外のシャンパーニュの醸造の違いはどうでしょうか? その結果、どのような味の違いが生じるのでしょうか?
A. ロゼの醸造には、望ましい色合い(カラー)、アロマ、ブレンドだけで作るロゼの場合は赤ワインの醸造を、ロゼ・ド・セニエの場合は浸漬の時間を、など、多くのパラメータを考慮する必要があります。そのため、ロゼは目的のワインを得るために、より多くの作業を前段階で行う必要があります。
 個人的には、ドメーヌ・ジョゼ・ミッシェルでは(今のところ)ブレンドでのロゼしか生産していません。私たちは果実味とフレッシュさのバランスを求めており、シャルドネの割合が多くなっています。ここ数年は、コトー・シャンプノワを228Lの樽で熟成させ、ワインに骨格を持たせています。2021年のブレンドは、8%の赤ワイン(樽熟成3年の2018年を50%、樽熟成数ヶ月の2021年を50%)で構成しました。数が限られますが2019年と2020年のクラブ・ロゼは、600Lの樽で熟成し、シャルドネの比率を大きくしています。今後は、スタンダードのロゼでも、このような方針で作っていこうと思っています。
 赤ワインと白ワインをマセラシオン、またはアッサンブラージュすることが、ロゼを作るためのポイントです。2つのワインの味に差が出るのは、最も重要なポイントです。

Q3. 近年の気候変動や度重なる遅霜による収量への懸念があると思いますが、そういった影響とは別に、近年の気候がシャンパーニュ、特にロゼ・シャンパーニュに与える影響とはどのようなものでしょうか?
A. 気候変動は、例外を除けば、一般的にシャンパーニュ地方とシャンパーニュ地方のワインに有益です。熟成度が高く、糖分と酸味のバランスが面白いです。コトー・シャンプノワは、ブルゴーニュの近隣のワインよりもフレッシュさとミネラル感が強く、より「ブルゴーニュ的」な側面を持っていると感じています。そのため、ロゼは白ワインと同様にこれらの影響を受けています。
 2019年、2020年、そして2022年と続く様々な干ばつは、以前より軽く、より凝縮された小さなブドウを得る効果があります。その結果、香りやアルコール度数が大きく異なります。そのため、ロゼは、緊張感や新鮮さに傾倒していた前の世代のものよりも、より丸みのあるものとなっています。


 
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