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『ラシーヌ便り』no. 201 「新年おめでとうございます」

【新年おめでとうございます】

 ロシアのウクライナへの侵攻は、日々激しさを増しています。一日も早い戦の終わりと、人々の無事とを祈る毎日が続いています。日本をとりまくアジア情勢も、困難に向かっているように感じられます。「平和」という言葉が、いたく望まれる状況は変わりません。
 1人1人が祈り続けても、何の力にもならない、無意味なことかもしれません。それでも平和を祈ることが、戦争を防ぎ、戦争をやめることにつながると信じています。

 この2-3年、しばしば生産地における輸送・保管中の温度管理が指示どおりに履行されず、コンテナ全体が温度上昇による致命的なダメッジを受けるという事件が続きました。ために、シャンパーニュ・ブノワ・ライエメンティマリア・ウント・セップ・ムスターなど、大量にのぼる大切なワインが、通常販売できませんでした。造り手にも、待ってくださっているお客様にも申し訳ないと痛感しているだけでなく、また私たちも大きな時間と資金面での負担を迫られることとなりました。
 「この味わいではない!」と、何度も事故品のテイスティングを繰り返すたびに、悔しさがあふれだし、自分たちではどうしようもできないことに情けなくなります。北嶋裕が社員リレー・エッセイに書いているように、ドイツとオーストリアでの輸送は特に危険がともないます。苦労してリーファートラックを見つけ、ウィーンから低温倉庫をもつモーゼルのファン・フォルクセンまで運び、そこでファン・フォルクセンのワインとローディングしたにもかかわらず、トラックの運転手がリーファーの電源を入れずに港まで運んだということもありました。このような事故が輸送現場で日常的におきることは、フォワーダーのコントロールが及ばないことを意味するわけで、インポーター側では手の打ちようがありません。夏の間生産地での保管ができない場合を除いて、5月から9月終わりまでの船積みを可能な限り止めるようにしていますが、今年は事態が改善されるように一層取り組んでまいりたいと思います。

 次は、明るいお話です。ラシーヌチームはパンデミックの間も、ワインを探し続けてきました。そしてヨーロッパ各地で新しい出会いがあり、その幸運を心から喜んでいます。
 昨年は、シャンパーニュ・パルマンティエ フレール・エ・スールピエール=アンリ・ルジョ(ブルゴーニュ)、トマ・ピュエシャヴィ(ヴーヴレ)、ヤニック・メッカート(アルザス)、アクセル・ドモン(サヴォワ)、クロード・ブルギニョン夫妻が始めたドメーヌ・ラロク・ダンタン(カオール)、イタリアでは女性二人組ラルー(バローロ)、モレッラ(プーリア)、ティベリオ(アブルッツォ)、リドルフィ(ブルネッロ)、ポルトガルのルイシュ・ロペシュ(バイラーダ)、アスラニアン・ローリンズ(アルメニア)といった錚々たるワイン生産者との新な取引が始まりました。今年も続いてリリースのワインが待っています。いずれもこれからますます楽しみな個性を備えた実力派たちです。

アスラニアン・ローリンズのマラルとアーロン

ラルーのラーラとルイーザ

モレッラのリサ

ティベリオのクリスティアーナ

 

 素晴らしいワインは、味わいの中に輝きを感じ、明るく気持ちを切り替えることができます。困難な時も明日を信じ、ワインを通して、新しい出会いと発見こそラシーヌらしさ、今年も変わらず努力してまいりたいと思います。

 

 皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

 
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