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『ラシーヌ便り』no. 168 「La Renaissance des Appellation Tokyo」

La Renaissance des Appellation Tokyo

 2019年11月4日、5日にフランス大使館で、ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンのサロンが開かれました。ラシーヌでは、【ドメーヌ・ランドロン】のジョーとジョスリーヌ・ランドロン夫妻、【ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール】のマルク&マーシャル・アンジェリ、【シャンパーニュ・フルーリー】のブノワ・フルーリーが来日しました。人数制限があったために、入れなかった方も多かったと聞いていますが、連日400名のワイン関係者が参加されました。
 ジョー・ランドロンはHaute Tradition(オート・トラディション)、Fief du Breil(フィエフ・デュ・ブレイユ)、Melonix (ムロニックス)、をもってきてくれました。ラシーヌでは、少量輸入のため、リストにのらないので、ご存じない方も多いのですが、今後はオンリストすることにしました。
  マルク・アンジェリは、2019年のロゼ・ダンジュールを持ってきてくれました。はつらつとした酸が心地よく、やや淡い色調で、昨年よりドライな仕上がりです。2月には、到着の予定です。
 フルーリーは、セパージュ・ブランと、ソナタ2011が評判よく、ふだんの試飲会でお目にかかれない方々に飲んでいただける機会となりました。

 

シャトー・ソシアンド・マレ

 ソシアンド・マレの創始者ジャン・ゴトロー氏がこの11月1日急逝されました。こころよりお悔やみ申し上げます。
 ソシアンド・マレの支配人フランソワ・ユグニオ氏がグランド・テイスティングに参加のため来日され、ラシーヌオフィスで試飲を兼ねてお話いただきました。

 ラシーヌでは、「コンディション抜群のソシアンド・マレをラシーヌで」というお客様のリクエストにお応えして、ソシアンド・マレを輸入してまいりました。試飲用ワインとして《シャトー・ソシアンド・マレ》1995、2005、2015、および《ジャン・ゴトロー》 2008、2011を、同氏よりご提供いただきました。
 ソシアンド・マレは、ボルドーの華やかなシャトーに隠れながらも真の実力を備えたワインとして、プロフェッショナルの間で内々に評価されてきました。オーナーのジャン・ゴトロー氏(1927年生まれ)は、鋭いビジネス感覚を持ち、若くしてボルドーのワインビジネスの世界に飛び込み、ネゴシアンとして成功し、1969年に荒廃していたソシアンド・マレを購入して現在の名声を築きました。が、ソシアンド・マレの真価と魅力は、ボルドーというワインビジネスの中心地にあって、ビジネスの論理に振り回されずに実力勝負のワインを造り続けた信用そのものにあるのでないでしょうか。

 合田は1992年にオーナーのジャン・ゴトロー氏を訪ね、地下2階にあるプライベートセラーからワインを分けていただきました。写真はその時分けていただいた5リットルです。ワインはバランスと複雑さを備え、まっすぐ遠くを見抜くような印象は潔さを感じさせ、素晴らしく長い余韻にはエレガントさがあふれています。この味わいこそ、ジャン・ゴトローさんのお人柄そのものであると感じたことが、懐かしく思い出されます。2月には、蔵出しで入荷いたします。 

 

I Custodi イ・クストーディ 取引始めます

 シチリア島エトナのワイン、イ・クストーディとの取引を始めます。
 11月18日に行われたSlow Wineの試飲会で試飲された方もおられると思いますが、1月リリースで、イ・クストーディが入荷します。
 オーナーのマリオ・パオルッツィは、元イル・カンタンテの出資者の一人でした。イル・カンタンテのプロジェクトが2005年に終了することになり、そのままイル・カンタンテ所有の畑を引き継ぎ、2015年までは、カンティーナ・エトナのセラーを借りて醸造を始めました。

 今回、来日したMassimo Ruffino マッシモ・ルフィーノは、イル・カンタンテのマネージャーです。サルヴォ・フォティーの右腕として長年働いてきているので、私たちとは古い知り合いでしたが、今回ゆっくりと話す機会を得て、彼が単にマネージャー、セールス担当ではなく、経験豊かな一流のワイン人であると、話の端々から感じました。シチリア東部のワインの変遷をこの30年見てきたマッシモは、サルヴォ・フォティーとは異なった視点でエトナとシチリアの東南海岸を知る生き字引です。もともとはカフェ・シチリアで働き、その後モディカで自身のレストランを開きました。1980年代、ワインリストと料理で、シチリア島部一のレストランと評価され、やがてサルヴォの右腕としてベナンティ、グルフィを世界中に紹介してきました。
 新たにエトナにやってきた造り手たちの、ワイナリー誕生時の話は、とても興味深くて引き込まれます。マリオとは知り合って十数年になりますが、これからは、イ・クストーディのインポーターとして、取引が始まります。いい仕事を積み重ねて続けていきたいと思います。

 

内藤和雄さん、ありがとうございました。

 内藤和雄さんが2019年9月22日に亡くなられました。
 1995年にイタリアワインの輸入を始めましたが、イタリアワインのことも、日本の業界のことも、何も知らず手探りでした。
 「名古屋にある、ツワノヤの内藤と申します。バローロの輸入を始められたでしょうか?」
 ―1995年5月、突然のお電話がありました。まさにエリオ・アルターレ、スカヴィーノ、クレリコ、スピネッタ、ジーニらのワインを載せたコンテナが、日本に到着する直前のこと。知識も経験も乏いままイタリアワインの輸入を始めたばかりでしたので、内藤さんには本当に多くのことを教えていただきました。毎年ヴィニタリーに行くたびに会場でお見かけする内藤さんは、すごい集中力でノートをとり、造り手とお話されていました。ジャンフランコ・ソルデラさんのパーティにお誘いした時のことは、一番の思い出です。
 若い方々に、もっともっとイタリアワインの魅力を教えていただきたかった。洞察力に富む内藤さんのお話をじっくり伺いたかっので、とても残念です。ご冥福をお祈り申し上げます。

 
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