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合田玲英のフィールド・ノートVol.68 《 2019 年 3 月販売開始ワイン 》

フランスのベテラン・ナチュラルワインメーカーのワインが到着です!

ル・クロ・デュ・チュ=ブッフ】フランス/ロワール/モンティ

 極端な気候の年が続くこの数年、栽培においても、醸造においても、経験から学ぶ姿勢と、経験そのものの質がものをいう。毎年2月、ロワールの一連の試飲会の時期に訪問するけれど、ティエリーのワイン造りはぶれていない。収穫量や、フランスワインの値段の高騰と比べると、蔵出し値の上昇も微々たるもの。多くの有名生産者のほとんどのワインが国外で消費される中、フランスでの販売が、今でも40%を占めるというのは驚きだった。「地元で消費されるのが大事なんだよ、レイ、わかるか」と釘を刺された。
 最近ではスペイン、フランス、ジョージアなど、各国産のアンフォラを様々な品種、醸造法でトライアル&エラーを繰り返している。2018年はここ数年で特に収量が多かったので、いろいろ試すことが出来たと、ニカッと笑ういぶし銀なティエリー。2月に彼の主催する試飲会Les Penitentesにも、エルヴェ・ヴィルマード、ニコラ・ヴォーティエを初めとするベテラン醸造家たちが集う。
 2019年はいよいよティエリーの兄、ジャン・マリーが予告どおり引退する。そのかわり、ではないけれど、ティエリーの娘のゾエが数年前からチュ・ブッフで働いている。ジョージアのワイナリーで生活をしたり、チュ=ブッフの輸入・輸出のサポートをしたりと、経験を積んでいる。

 

レ・カイユ・デュ・パラディ】フランス/ロワール/ソロ―ニュ

 

 父、クロードを師範とし、自分の流派(ワイナリー)を起ち上げたジュリアン・クルトワと、ワイナリーを引き継いだエティエンヌ・クルトワ。ジュリアンのワインは、2015以降特に静謐さにさらに磨きがかかり、こちらが間合いを詰めると、あちらが引き、こちらが引くと、間合いを詰めてくる、絶妙な距離感をはかってくる。一方、クロードのワイナリーを受け継いだ(ラシーヌ・ルージュとラシーヌ・ブランはクロードが造る)エティエンヌのワインは、近年のクロードのスタイルを踏襲し、非常に落ち着きのある味わいのワインに仕上げている。エティエンヌはおととしには父親になり、体格もクロードの巨体を追い越した。

 

ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール】フランス/ロワール/トゥアルセ

 シュナン・ブランの名士、マルク・アンジェリ。意外にも2016年、ジュラのドメーヌ・ド・ラ・パントで醸造長をしていたブルーノ・チョーフィを招き入れた。マルクも畑仕事をしているが、後進の育成やビオロジック・ビオディナミック栽培の普及に精力を傾けたいのだろう、ブルーノと息子のマルシャルに積極的に判断を任せているようだ。
 特に、「ドメーヌを継ぐか継がないかを、しばらく考える」と、一度他の職業についたマルシャルが帰ってきてくれて、マルクは本当に嬉しそうだ。綺麗にまとめてくるブルーノのワイン造りに対し、マルシャルがためしに造ってみた、という単一区画キュヴェは若いエネルギーに満ちていて、これからが楽しみだ。

 

【エルヴェ・ヴィルマード】フランス/ロワール/セレット

 

 ティエリー・ピュズラとワイナリーも近く、ティエリーがベテランのナチュラルワイン生産者を集めて開く試飲会にも常連のエルヴェ。低価格帯のワインが多いが、早く開けて飲みやすく、熟成もしっかりとすることが出来るワインとなると、造り手の数は多くない。2018年はロワールでは霜害はなかったけれど、畑によってはベト病の被害が非常に強く出た年だった。エルヴェも低地に多く畑を持つため、半分以上の畑で収穫が出来なかった。2019年こそ、彼にとって良い年であってほしい。

 

アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール】フランス/ブルゴーニュ/クルジ

 

 今回入荷する、Le Vendangeur Masquéシリーズ。ド・ムールのネゴシアンワインで、ブルゴーニュやタヴェル、アルザスの買ブドウで醸造している。収穫量が少なく、自社畑のみのブドウだけではまかなえないから、という造り手にしたら悲しい事だけれど、ド・ムールが醸造する様々な品種のワインが飲めるのは、正直わくわくする。今回のCaravanはクレレット、シャルドネ、ピノ・ブラン、リースリング、ソーヴィニョン・グリ、アリゴテのブレンド。品種はそれぞれ別醸造されてのアソンブラージュだが、それぞれの品種が別醸造された、樽試飲の時の興奮は忘れない。どれも品種や地域の個性もきっちりだしつつ、ド・ムール節なのが、腕の差なのだ。

 

~プロフィール~

合田 玲英(ごうだ れい) 1986年生まれ。東京都出身。
2009 年~2012 年:ドメーヌ・レオン・バラル(フランス/ラングドック) で研修 
2012 年~2013 年:ドメーヌ・スクラヴォス(ギリシャ/ケファロニア島) で研修
2013 年~2016 年:イタリア/トリノ在住
2017 年~:日本在住


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