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『ラシーヌ便り』no. 131

Ⅰ. ゼップ・ムスター(ズュート・スタイヤーマーク)来日

2016年10月25日、オーストリアにおけるヴァン・ナチュール運動の原点ともいうべき、
ゼップ・ムスターが来日します。

 ゼップ・ムスターのワインをご紹介して、5年になります。温顔に素敵な笑みをたやすことなく、ヴァン・ナチュールのうねりを牽引しながら闘い続けてきた、強い意志の人というのが、ゼップの印象です。 優しさと強さを秘めた造り手、あの微笑みの底に、どれほどの苦労と忍耐があっただろうと、いつも思います。 ヴァン・ナチュール独特の柔らかなテクスチュア、美しい酸、透明感あふれるアフターテイスト。くわえてエキスの濃さは決して目立つことなく、ヴァランスの美しさが飲み手に感動を与えます。 ラシーヌがご紹介するオーストリアワインの中でも、ヴァン・ナチュール好きを超える、広く熱烈なファンを持つ造り手です。

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 ゼップ・ムスターに開眼するまえの「オーストリアワイン前史」としては、ニコライホフのサースさんの妹、イルゼ・マイヤー(ガイヤーホフ醸造所/クレムシュタール村)だけをラシーヌは扱っていました。が、オーストリアにも、いよいよヴァン・ナチュールの造り手が本格的に登場してきたと聞き及び、2011年夏からオーストリアワインのリサーチに本格的に取り組み始めました。
 それまで長らくオーストリアワインに積極的になれなかったのは、亜硫酸の多用による飲み語心地の悪さゆえでした。オーストリアは、「世界一の『自然な』ワイン国」を自認しているはずなのに、ドイツ・ワインとおなじく、オフフレーバーを徹底的に嫌うあまりにSO2に頼り過ぎていたのです。
 2011年のリサーチで、10軒近い造り手を訪ねましたが、群を抜くゼップの畑の素晴らしさと、ワインに感銘したことはもちろんですが、何よりもゼップ・ムスターその人に、強く惹かれました。
 オーストリア最南端のスロヴェニア国境にある、ズュート・シュタイヤーマルク地区は、ビオディナミ運動の盛んなオーストリアの中で、最初に亜硫酸の低いワインを造る運動がおきた地域です。彼らのワインは、異端視され、「奇妙なワイン」という言葉をどれほど聞いたかわかりません。しかし、このことはフランスでも、イタリアでも長らく同様でした。

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 ブドウの実を食べたとき、口に広がるなんともいえない清々しさ、美味しさ、端正さは、明らかに他の畑のブドウと異なります。妖精が住んでいるかのような霊妙なたたずまいの畑は、目に見えない一面の精気に覆われていたのです。畑に込める造り手の愛情が触知でき、感激で震えました。このような畑がもたらすワインは、大げさにいえばスピリチュアル・ワインとでも呼ぶのでしょうか。ゼップ・ムスターのワインには、稀にみる精神的な深さを感じ、感激しました。確かに、テロワールの個性と品位はワインにとって欠かせない必要条件ですが、それ以上にワイン造りでは、「深く考え、愛情深く接すること」が重要だと実感しました。

 初めて、訪れた時の印象は、5年たった今も変わることなく、ますます深さをましていく彼のワインに、毎年感動しています。 この間、ゼップの比類ない畑の仕事ぶりが、そのまま映し出されたような純粋さに満ちたワインは、日本で熱烈なファンを獲得してきました。訪問するたびに、畑に込める造り手の愛情が触知でき、ブドウがゼップと会話をしていると、感じます。

 念願のゼップ来日が叶いましたので、このほど以下の日程で試飲会を行います。ゼップ本人に会っていただき、一人でも多くのファンが増えることを願ってやみません。詳細は追ってラシーヌのFacebook にて、ご案内申し上げますが、概要は次の通りです。

 

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 10 月25日(火)11:00~20:30 【オーストリアワイン大試飲会】 (東京)
(業界関係者の部:11:00~16:30、 一般の部:18:30~20:30会費:7000円 )
主  催:AdWein Austria、オーストリア大使館商務部
会  場:丸ビル8Fコンファレンスクエア
お申込み:http://www.advantageaustria.org/jp

10 月26日(水)19:00~(18:30開場) 【ゼップ・ムスター メーカーズ・ディナー】(東京)
会  場:LA BONNE TABLEラ・ボンヌ・ターブル 東京都中央区日本橋室町2-3-1 コレド室町2 1F
入 場 料:15000円(サービス料10%別)(税込)
お申込み:LA BONNE TABLE:03-3277-6055
    https://www.facebook.com/events/1772581989677414/

 10 月27日(木)13:00~17:00 (大阪) 【ゼップ・ムスター来日 大阪試飲会】(大阪)
会  場:リッツ・カールトン大阪 クリスタルルーム
お申込み:(株)ラシーヌ03-5366-3931

10 月27日(木)19:00~(18:30開場) 【ゼップ・ムスター メーカーズ・ディナー】(大阪)
会  場:中國菜月泉:大阪府大阪市北区西天満1-6-4
会  費:7000円(税込)
お申込み:(株)ラシーヌ03-5366-3931

10 月28日(金)14:30~16:30 【ゼップ・ムスター懇親会(予定)】(京都)
会  場:酒陶 柳野 京都府京都市中京区三条新町西入ル
問 合 せ:詳細は後日発表致します。お問い合わせはラシーヌまで。

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 Ⅱ. 「“Vendange Solidaire” 一致団結ワイン収穫運動」 協力の呼びかけ

 ミシェル・トルメーから緊急連絡がはいり、フランスで記録的な気候災害にあったヴァン・ナチュール生産者への募金活動を立ち上げた、とのことです。下に揚げるような筋のとおった活動の内容と方法ですので、ラシーヌも全面的にその趣旨と募金活動に賛成するとともに、みなさまへの協力を呼びかけたいと思います。
 ご存じのとおり、今年のフランスは、遅霜、雹害のために、全国でブドウの生育に甚大な被害を受けました。
 そこで、2016年収穫を失った作り手たちを応援するため、ローリー・ラクロワとミシェル・トルメーが中心となり、“Vendange Solidaire帯してワイン醸造家を応援しよう」という運動が始まりました。《10月3日から23日までの期間、フランスではこの趣旨に賛同するレストランで、1本あたり2Euro 、2016年度 収穫のない造り手に寄付する》という仕組みです。
 なお、ラシーヌで、この趣旨に賛同し、被害地域の造り手から生じた売上の一部を、寄付することといたしました。

 「Tolmerによる呼びかけの言葉」(翻訳)

≪一致団結ワイン収穫運動:ワイン醸造家を応援しよう!≫

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 「2016年、ボジョレー、ブルゴーニュ、ロワール、ラングドックでは、霜、雹、渇水に次から次へと見舞われたブドウ園があります。広範な被害の中でも、特にピク・サン・ルー、フルーリー、モルゴン、シャブリ、メヌトゥー・サロンのテロワールでは、多数の醸造家が収穫高の70%から100%を失いました。一夜の霜や15分の雹で、丸一年かけた成果が壊滅状態となったのです。

 ひどい痛手を負った多くのワイン醸造家と連携しているワイン関連業者(レストランのマネージャー、代理店、ワインショップのオーナー)の人々が、彼らの援助に乗り出しました。そして、手を取り合って「一致団結ワイン収穫運動」委員会を立ち上げました。10月3日から23日までの間、彼らの店舗で購入されるボトル1本ごとに2ユーロが、被害を受けたワイン醸造家に寄付されます(レストランのマネージャーからの1ユーロ、顧客からの1ユーロがボトルの価格に含まれます)。一致団結ワイン収穫運動に乾杯!

参加中のレストランに遠くて足を運べませんか?ご心配なく、オンラインで寄付が可能です!
ワイン醸造家に支援、寄付を贈りましょう!
https://www.lepotcommun.fr/pot/o9t50tns 

※ご質問がありましたら、ラシーヌにお問い合わせください。

 

合田 泰子

 

 
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