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合田玲英のフィールド・ノートVol.41

Vol.41

《フェルディナンド・プリンチピアーノ:“Il meno che da di più”

 2000年代になってからビオロジック栽培へと転向したフェルディナンド・プリンチピアーノでは、最近になっても変化が著しい。栽培も醸造のスタイルも、先代から引き継いだ時からは大きく変え、年々味わいが研ぎ澄まされてくる。それを顕著に感じたのが、《ロムアルダ》2013。2003年からビオロジック栽培を始めて、ようやく10年を数える年。

 一般に畑のビオ認証は3年目から取れるのだが、実際にワインから感じる味わいは、毎年の変化に驚くばかり。2012年までは熟成容器に500Lの樽を使っていたが、2013年ヴィンテッジからは大樽での熟成を始め、より樽のニュアンスが減って、洗練されたスタイルになった。バルベーラはトリンケーロを始め、しっかりと果皮の成分を抽出されたスタイルのワインがイタリアには多いなか、《ロムアルダ》2013を飲んで、このようなバルベーラの表現もあっていいなと納得。求める味わいのスタイルに合わせて、ボトルの形も、ボルドー型からブルゴーニュ型へと変えるつもりだとか。軽い飲み口に仕上げた《ドゥセット》(ドルチェット)と《バローロ・セッラルンガ》は、すでにブルゴーニュ型へと変わっているが、数年後には全てブルゴーニュ型に変える予定。

 2013年初醸造のティモラッソ種の白ワインも、2週間のマセレーションをしていたが、2014年ではそれを行わず、よりすっきりとした飲み口に仕上げた。2013年はそれでビン熟成を経るとまた違った心地よさに変化するが、2014年はフェルディナンドの考えがよく出ている。彼との会話の中で出た、“Il meno che da di più (Less give more)”[手出しを控えた分だけ、得るものがある]というフレーズが、彼の現在のワインスタイルをよく表わしている。熟度をあげてマセレーションを長くするという、今のイタリアの流れとは逆行しているように見えるが評判はいいよう。フランスでも、《ドゥセット》をワインバーのグラスで見かけるようになった。

 フェルディナンドは現在、バローロのエリアを少し外れた一帯でも一番標高の高い、モンタリアートの丘にセラーを建設中。完成予想図を見ると、ほとんど土で覆われている。「一見ワイナリーには見えない場所を作りたい」と、一言。銘醸地の生産者はたくさんの人の訪問を受け、栽培醸造だけが仕事でなくなってしまっていることが多い。訪問を快く受け入れてくれつつも、心のどこかで「ゆっくりワインを造りたい」と思うこともあるだろう。そんな気持ちが見えた一言だった。

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RAISIN

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 5月からAndroidストア、Appleストアでダウンロードできるようになった自然派ワインアプリ、なんと日本語版もある。トルメーデザインのアイコンが、かわいい。“On Boit Quoi Ce Soir?”(今夜なに飲む?) というサイトの情報をまとめたアプリで、ナチュラルワインが見つかるお店が地図上に表示される。パリだけでなく、フランス国内のお店はほぼ載っているようなので、地方に行ったときに便利。その他にも、近々の試飲会などの情報も随時更新される。言語対応は今のところフランス語、英語、日本語の3つで、まだ日本の飲食店はあまり登録されていないけれど、お店の位置情報などを送ることで、新しく登録することが出来る。世界地図を見ていると、インド洋に浮かぶフランス領レユニオン島にもバーがあるようだ。

 このアプリの他にも、同じようにナチュラルワインの情報を発信しているサイトがあり、年内に開かれる試飲会がリストになっていて、すごく重宝する。時代は変わった、とつくづく思う。http://www.vinsnaturels.fr/index.php

 

合田 玲英(ごうだ れい)プロフィール
1986年生まれ。東京都出身。≪2007年、2009年≫フランスの造り手(ドメーヌ・レオン・バラル)で収穫≪2009年秋~2012年2月≫レオン・バラルのもとで研修 ≪2012年2月~2013年2月≫ギリシャ・ケファロニア島の造り手(ドメーヌ・スクラヴォス)のもとで研修 ≪2014年~現在≫イタリア・トリノ在住


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