『ラシーヌ便り』no. 193 「出張報告第2弾」
【出張報告第2弾】
前回お話ししましたように、昨年10月中旬から1か月ほどフランスに出張しました。
運よく、コロナ禍による移動制限が厳しくなる前に帰国ができましたし、この期間の出張は、多くの出会いに恵まれ、思い出深い仕事になりました。
振り返れば、ほぼ10年周期で、次世代、新しい造り手の登場の波がやってきました。仕事を始めたばかりの1990年、優れたRMのシャンパーニュの造り手が次々と登場した2000年、と同時にヴァン・ナチュールの第二世代が爆発的に登場したのもこのころです(*第一世代は、ジュール・ショヴェ、ピエール・オヴェルノワ、シャトー・サンタンヌ (Dutheil de la Rochère)続いてマルセル・ラピエールです)。
このころの十数年は、新しい流れをおいかけるのに必死でした。また、イタリアワインを扱い始め、ブルゴーニュでカリフォルニアのノース・バークレー社とともにバレル・セレクションに取り組んでいたのもこのころです。
しかしフランスで2010年頃におきていた波には、何故かそれほど強く興味をひかれませんでした。RMシャンパーニュについては、今となっては素晴らしい造り手が登場していましたが、私は出会うことができず、すでに取引いただいている10社を超える造り手のシャンパーニュの代理店としての仕事で懸命な日々でした。またこのころ登場した多くのRMの造り手達のシャンパーニュが、有機栽培を初めて年数が浅いことと、デゴルジュマンが早く、リリースが早いために、味わいが重く、暗く、その仕事ぶりの真価を発揮できないままリリースされているように思い、踏み切ることができませんでした。
「予告: 新規扱生産者ご紹介・第2弾:シャンパーニュ篇」
さて、約2年ぶりに訪れたシャンパーニュで、新たに訪問した造り手6人の中に、素晴らしいシャンパーニュと出会うことができました。名前はまだ明かせませんが、1600年代から続く栽培農家で、畑は10haと十分な広さに恵まれています。協同組合を離れ、この3月にファーストヴィンテッジの2016がリリースされます。コロナ禍のために、段ボール箱や、ラベルが入手できず、リリースが大幅に遅れていたことがかえって幸いし、運よく出会うことができました。他の造り手の多くはすでに2018がリリースされています。
この2年追熟は、味わいに大きなスケールと調和をもたらしました。畑にはボルドー液もまくこともせず、どのようにして困難な作柄をしのいでいるのかと思いましたが、畑にたった時のなんともいえない優しい空気と足もとの心地よさはなかなか出会えません。センスがよく、「素敵だなっ!」思うシャンパーニュを味わう喜びがあり、コトー・シャンプノワ2019は驚くほどの美しくきよらかなワインです。
最近では、日本国内のインポーター間での輸入権の競争よりも、ヨーロッパに近い北欧の国々との競争がすさまじく、至るところで見聞きする彼らの素早く大きな購買力に圧倒されることがたびたびありました。なんとか、ラシーヌに分けてもらえることができて、一同大変喜んでいます。皆さまにお披露目できる日が待ち遠しいですね。続く報告第3弾も控えていますので、どうぞお楽しみに。
今年の寒さはことのほか厳しいですが、コロナに負けずどうぞお元気でお過ごしください。