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『ラシーヌ便り』no. 192 「新規扱生産者ご紹介・第一弾」

 新年おめでとうございます。新型コロナ株は変異を続けていますが、困難な中にあっても常に新しい出会いと発見こそラシーヌらしさと肝に銘じて、今年も努力してまいりたいと思います。皆さまのご健勝を、心よりお祈り申し上げます。

【新規扱生産者ご紹介・第一弾】



ヴィニュロン人生を歩みだしたばかり、楽しくて仕方がないようにみえます。

 昨年10月フランス出張の際に訪ねた造り手Thomas Puéchavy《 トマ・ピュエシャヴィ》のワインが船積みされました。長年探し求めてきた念願のヴーヴレです。有機栽培を初めて間もないのですが、とてものびやかで、活き活きとした味わいがあり、センスの良さを感じるシュナン・ブランです。
 私たちのシュナン・ブラン好きは、長くお付き合いいただいている方々はご存知ですが、1990年ごろ旧八田商店時代には伝説の《ガストン・ユエ》、前社ル・テロワール時代に《フィリップ・フォロー》と《ニコラ・ルナール》をご紹介してきました。ニコラは現在アンボワーズでワイン造りをしていますが、彼の真骨頂であるヴーヴレが登場するのはいつでしょうか?

 さて、《トマ・ピュエシャヴィ》ですが、2019年が初ヴィンテッジの新人です。元ミュージシャンで、“Moriarty”(シャーロック・ホームズのファンには親しい教授名か?)という、フランス生まれのミュージシャンを中心とした世界的なバンドを率いていました。トマは、パリ生まれですが、幼いころよく家族でロワールのソローニュ村で過ごした際、父が好んだシュヴェルニやクール=シュヴェルニのワインが食卓に登場することが多く、ロワールの地とそのワインに慣れ親しんできました。 学校卒業後、幼友達とフォーク=ロックのバンドを結成、15年にわたってフランス内外で演奏旅行をしてきました。フジロックに参加したことがあり、私たちの出会いを大変喜んでくれました。ネット検索すれば、ハーモニカを演奏するトマの動画をいくつも見つけることができます。
 コンサートツアーの折、トマはフランス各地のワイナリーを訪ね、またオフシーズンにワイン産地で過ごすうちに、ワイン造りに惹かれていきました。メンバーが独立して活動をすることになり、2016年にはヴィニュロンになる決心半ばでしたが、家族皆でパリを引き払ってアンボワーズに移り、醸造・栽培学校で1年半学びました。その間、ヴーヴレのワイナリーで研修をし、家を探すうちに、ナゼル村近くにある巨大な洞穴のカーヴがある家と出会いました。彼が借りている3haの畑は、《ユエ》が所有する4haの隣にあり、農薬を被る心配もありません。セラーは、建築材の石を切り出してできた洞穴で、100年以上前からワインが造られてきました。プレスは《クリスチャン・ショサール》が使っていたものです。


理想的な洞穴セラー、樽の数はまだわずか。

 畑はヴーヴレにありますが、セラーのある場所がヴーヴレのゾーン外にあるため、アペラシオン・ヴーヴレを名乗ることができません。今のところ生産本数は9000本ほど、ヴィニュロンとして第二の人生を歩み始めたトマにとって、2019年と2020年は穏やかな気候に恵まれ良いスタートとなりました。リリースは5月ごろの予定です。

 コロナ禍の間も、新しいワインの発掘を続けてまいりましたので、今年も続々と新しいワインが入荷いたします。どうぞご期待ください。 


ヴーヴレのエリアに植わる、樹齢60年のシュナン・ブラン。

 
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