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合田玲英のフィールド・ノートVol.85 《 新規取扱生産者 : レ・ティオ・ヌーツ 》

造り手:ロマン・ヴェルジェ

 ロワールから新規生産者のレ・ティオ・ヌーツが、新しく入荷します。2020年の2月、ロワールで開かれる試飲会に出展していました。まず、その試飲会自体がとても面白かったのですが、というのも、その試飲会に出展されたワインがすべて、一人のプロによって選ばれたからなのだと、今となっては思います。主催したのはワインバーの経営者で、試飲会に参加した生産者たちは、彼が日頃お店で提供しているワインの造り手10社と、小さな会でした。が、どのワインを飲んでも、選んだ人の好みと選んだ理由が伝わり、自分自身の好みのワインでなくても、ワインを楽しむことが出来ました。それに加えて、どの生産者もワイン造りを始めてから数年という若手が多く、刺激的な会であったことを覚えています。

 レ・ティオ・ヌーツのロマン・ヴェルジェもその中の一人で、彼の初VTである2018を出展していました。穏やかでゆっくりとした話し方で、「お、この人のワイン、飲んでみたいな」と第一印象で思いました。 赤もガメとグロローを出展していましたが、特に良かったのはシュナン・ブランでした。発泡していたり、濁りもったりもしていましたが、シュナン・ブランらしい凝縮感があるけれども高い酸が支えるピュアな果実味でした。
 買いブドウのシュナン・ブランから造られるエナード(Hénade)と、自社畑のシュナン・ブランから造られるカレ・ダストル(Carré d’Astre)は、ともに果実が良い状態であることが伝わってきます。セラーは、地下セラーや洞窟セラーでもなく、分厚い扉で仕切られているわけでもないので、設備を整え、良い環境での醸造と熟成が出来ることを期待したいです。まだまだ生産本数が少いのも残念ですが、更に味わいが良くなるころには、多くの方にご案内できたらと思います。

エナード2018

 

カレ・ダストル2018

 

造り手について:
 造り手ロマン・ヴェルジェは、アンジェの南、コトー・ド・レイヨンの農家に生まれ育った。果樹や家畜たちとともに幼児期を過ごし、早くからブドウの収穫を経験していた。造園家を目指して、(ブドウだけでなく)苗木屋になるべく、職業訓練校に通った。造園、樹木の栽培、家の建設現場作業など、幅広く様々な職種に携わってきた。田舎で自然を相手にする様々な仕事から学ぶことはとても多かった、とロマンは言う。10年ほどそういった仕事に就いてきたが、依頼作業の中にはブドウ畑やセラーでの作業もあり、次第にブドウ栽培とワイン醸造を専門にしたいと思うようになった。そして2018年、ブドウ畑を購入する。

 「ビオロジックで畑を栽培し、命あるものを尊重し、活きているワインを造り、やりがいのある仕事をする、ということが最優先事項です。意識を高め、日々学び、伝統を守り、進化させ、愛する娘に生きる喜びを見いださせることができたら」と、考えています。

栽培について:
 慣行農法で栽培されていた畑3haを所有。現在はビオロジック栽培(認証なし)を行い、ビオディナミの調合剤の使用を検討中。ブドウ樹に直接的に手を入れるより、モノカルチャーにならないことを優先。そのため果樹を畑の周りに植え、ヤギを飼い、畑の環境を整えることからはじめた。むしろこちらの方が、長年の経験があるのでしょう。栽培のための用具や設備については、まだまだ揃えきれないものも多いので、ヴィニュロンの先輩格にあたる仲良しのグザヴィエ・マルシェから、用具を借りているもよう。まだまだ畑の特徴や状態を“調査”している段階なので、最初の数年は醸造も含め、さまざまな事を実験中。

醸造について
 セラー内の設備はお世辞にも充実しているとは言えず、ポンプとバリックと小ぶりな垂直プレスのみ。仕事の多くは手作業で、醸造初年度の2018年から亜硫酸無添加で醸造し、今後も無添加を続ける予定。
 造園やハーブ栽培の経験を生かし、レモネードやハーブ香の発泡飲料なども作っています。

天井の低い、醸造所兼熟成庫。古い納屋を少しずつ手を入れて、改修している。

 

ワインバーの一杯目などに、気軽に飲める、レモネード。

詳しい生産者説明はこちら:http://racines.co.jp/?winemaker=le-thio-noots

 

~プロフィール~


合田 玲英(ごうだ れい) 1986年生まれ。東京都出身。
2009 年~2012 年:ドメーヌ・レオン・バラル(フランス/ラングドック) で研修 
2012 年~2013 年:ドメーヌ・スクラヴォス(ギリシャ/ケファロニア島) で研修
2013 年~2016 年:イタリア/トリノ在住
2017 年~:日本在住


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