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『ラシーヌ便り』no. 176 「Vini Viti Vinciと、ヴィンテッジ2018」

 Vini Viti Vinciと、ヴィンテッジ2018 

 フランスの多くのワイン産地で大豊作となった2018年は、まさに玉石混交のヴィンテッジです。1947年以来の偉大なヴィンテッジという絶賛もでていますが、異常な暑さがたたってブドウ果は健全な成熟ができずじまいでした。逆に落酸をおそれて早摘された大量のブドウが、順調に発酵ができなかった造り手も、多くみられます。
 昨年12月にブルゴーニュを訪問しましたが、訪問先の2018年は総じて上質で、エネルギーを感じる見事なワインでした。その後、順に倉庫に届いた2018年は、いずれも熟成するポテンシャルを持ちながら、華やかで飲み心地のいい、飲んで楽しいワインです。秋にはぞくぞくとブルゴーニュの2018年が入荷しますが、今日は、特に記憶に残ったVini Viti Vinci と2018年ブルゴーニュのヴィンテッジ情報(デカンター誌訳)をお届けします。

 

* Vini Viti Vinci : ニコラ・ヴォーティエの2018

 ニコラ・ヴォーティエを一言で評すれば、腕と勘が冴える天性の醸造家です。
 2009年ヴィンテッジで登場して以来、とびきりの冗談精神にあふれ、ちょっと「エロっぽい」エチケットと魅力的な味わいで、すっかりおなじみになりました。そんなニコラの2018年が秋に入荷します。「収量が最近5年の中でも特に多くて、暑く、バランスをとるのが難しかったけど、腐敗果は全くなく良い収穫だった」と、二コラ。今までの彼のワインにも時折あった、梅っぽくてダシっぽいニュアンスのうまみは影を潜め、ブドウの果実味が前面に出た、正統派を思わせる味わいのワインが生まれました。例年の倍近く収穫量が多かったので、キュヴェも多く、マセレーションをした実験的キュヴェもたくさん作られました。それにしても、楽しくてユニークなワインをつくる人で、上手いなーといつも思います。

シリアス、ひょうきん、ほがらか。いつもユーモアたっぷりで豊かなニコラの表情。

 

〇 Bourgogne Côtes d’Auxerre – Bréau Blanc: 
 アリゴテのキュヴェと同じテロワール。大変熟し、ヴォリュームがありますが、酸が十分あり、活き活きとして重さがありません。  

〇 Pinot Blanc l‘Auxerre:
 全房で1か月マセレーションしたワインと、ダイレクトプレスの発酵とを半々でブレンド。開放桶で全房マセレーションをすると、アルコール度数が下がるので、混ぜることでアルコールポテンシャル16.5度だったのが15度で仕上げた。ダイレクトプレス方だけではあまりにリッチすぎて、飲みにくさがあったが、マセレーションしたものとブレンドすることで立体感が生まれ、活き活きとし、タンニンの程よいグリップがある。
 ●Piot Gris: 色調は濃いロゼ。ピノ・ブランと同じく、15日マセラシオンとノーマル半々のブレンド。
 ●Irancy Les Ronzelots: バランスが美しく、ニコラの腕がさえる。
 ●Bourgogne Coulanges la Vineuse Rouge – Chaply VV: 樹齢35年からはアルコール14-15度。若樹からはアルコール11度。混ぜてバランスをとった。
 ●Bourgogne Épineuil – Vals Noirs 50%Inox :  50%樽で発酵。しなやかでテクスチュアはなめらか、文句なく楽しめ、ニコラ節炸裂です。
 ●Irancy Les Mazelots Rouge: いつもは、1樽半しかできないので、ブレンドされるが、今年は収量が多いので単独で瓶詰めすることが出来た。樹齢80年、滑らかなテクスチャー、きめ細かな抽出で、素晴らしい。しっとりとした風情があって、クラスを感じます。 

 収穫量が多いとはいえ、その分キュヴェが細分化されてしまい、 1キュヴェ当たりの入荷量が少ないのが、残念でなりませんが、上に取り上げた以外のワインも入荷しますので、楽しみにしていてください。

トロワのキュリウール・ド・ヴァンで働いてニコラの手料理は絶品で、料理だけでなく壁にかかっている絵、小物にいたるまで気が利いている。

 

デカンター誌: ブルゴーニュ2018年情報:神話的な1947年に匹敵するヴィンテッジか?】
Tim Atkin ティム・アトキンMW 2018.11.16.

 ブルゴーニュの2018年産は、この地域でいまだかつてない偉大なヴィンテッジの一つになるかもしれないと囁かれている。デカンター誌のブルゴーニュ特派員ティム・アトキンMWが、今年のオスピス・ド・ボーヌのオークションを前にしたムードをレポートする。(以下、本文)

  

 今週末に開催されるオスピス・ド・ボーヌのチャリティーオークションでは、828樽の赤白のワインが、ここブルゴーニュの地で競り落とされることになるが、歴代の記録を更新することが期待されている。

 このあたりでは、少なくともおおやけには、ブルゴーニュの2018年産は史上最高のヴィンテッジの一つであると言われている。地元のネゴシアンであるフィリップ・パカレは、神話のような1947年の収穫に比肩し、ブルゴーニュワイン委員会〈Bureau Interprofessionnel des Vins de Bourgogne (BIVB)〉は、この年を「理想的」と評している。

 まだマロラクティック発酵が完了していないものもある2018年産の、全体的な品質を口にするには時期尚早だが、それらをもたらした成長期は、猛暑と夏の降雨不足が顕著だった。

 2018年は2003年以来、ブルゴーニュで最も暑かったヴィンテッジであり、降水量は過去30年間の平均値の55%で、史上最も乾燥したヴィンテッジの一つでもある。

 このように、2018年は、地球温暖化を反映して増えているように思われる、温暖で収穫の早い年、たとえば2000、2003、2005、2007、2009、2011、2015、2017に並ぶ年だ。

 8月下旬と9月の最初の2週間は晴天に恵まれたため、収穫は1ヶ月近くに渡って行われた。いつものようにアルノー・アントゥは8月20日にいち早く収穫を始めたが、最も遅くまで収穫を続けたイヴ・コンフュロンは9月25日に収穫を終えた。

 最終的な収穫量はまだBIVBに公認されていないが、2年続いて収量の多いヴィンテッジであり、2009年以降、雹や霜の影響を受けた小量年が続いた後の、歓迎すべき変化である。2017年もそうだったが、生産者がブドウの木に残すことを選んだ房の数は、ワインのスタイルにかなりの影響を与えるだろう。収穫時期も同様である。

 それでも全体的に見ると、2018年のスタイル、特に赤ワインのスタイルをほぼ確実に定義するのは、濃さ、色、そして顕著なアルコール濃度である。

 多くの生産者がグラン・クリュをアルコール濃度14%以上で収穫したが、15%という例もあり、ある分析機関では、16.3%のボンヌ・マールがあった。補酸はブルゴーニュでは一般に忌避されているが、今年は広く行われていた。 

 ネゴシアンのマーク・ハイスマ氏は、「非常にやっかいな年で、ワインのフレッシュさとバランスを保つのが特に難しい」と言う。

 ブドウに多くの糖分が含まれているため、発酵が停滞することは、早期の乳酸発酵でワインが不安定になるのと同様に、時折ささやかれる問題だった。

 今週末のオスピスのオークションは、ほぼ間違いなく成功するだろうが、より深く考察された2018年の評価は、もう1年待たなければならないだろう。 

 
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