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『ラシーヌ便り』no. 174 「ポルトガルワイン:《エルメジェイラ》」

 コロナウィルス感染症の緊急事態宣言が、このほど解除されました。パンデミックは終息からほど遠い状況とはいえ、まずは今日も身近な方々が無事であることは本当にうれしいですね。身内だけでなく、共に仕事でつながる方々の無事は、嬉しい便りです。おかげ様でラシーヌ社員は全員元気で、オフィスや自宅で勤務をつづけています。 

 飲食店全般が迫られた営業自粛と、ワイン消費者の外食抑制や行動規制がかさなり、売上のない状況下で飲食店の方々の困難は、想像に難くありません。私たちインポーターも、極端に減った出荷量と在庫の停滞を苦慮しています。現在を支配し、今後数年に間違いなく重大な影響を及ぼす新型コロナ禍に対し、ラシーヌとラシーヌの関係先(内外の取引先すべてと消費者ならびに従業員)の困難を、互いに支え合によって乗り切り、健全なワインビジネスを維持発展させるために何をすべきか、何ができるか。できることにひとつずつ取組み、全力で進んでいきたいと存じます。

* Instagramのご案内

Instagramの《ラシーヌワイン》は、最近飲んで特に印象深かったワインのコメントをご紹介しています。新しく取り扱いを始めたワインのご紹介など、盛だくさんな情報です。是非ご活用ください。

Instagramラシーヌワインhttps://www.instagram.com/racines_jp/

 

* ポルトガルワイン:《エルメジェイラ》、ついに登場

 本年4月にリリースが始まったばかりのポルトガルワインは、ラシーヌの開発チームが数年がかりで発掘した最新の成果です。“Capucha”《カプーシャ》と“Seradinha” 《セッラディーニャ》は、すでに2018年と2019年のポルトガル大使館主催試飲会に出展しましたので、ご存知の方もおられると思います。
 その他に、昨年7月リスボンに行ったときに、オープンしたばかりのビーガンのワインバーで出会った、瞠目のワイン “Quinta da Ermegeira” 《キンタ・ダ・エルメジェイラ》が入荷しています。
 このワイナリーは、ポルトガルでのナチュラルワインの機運が年々高まる中、リカルド・メーロとホセ=アウグスト・ファサーロ二人組が2018年に始めました。リリースは2019年7月ですから、私たちがバーで飲んだのは、リリースの翌日でした。

リカルド・メーロ

 

ホセ=アウグスト・ファサーロ

 ブラジルのワイン業界で10年以上働いていた明敏なリカルドと、10年以上ブラジルでナチュラルワインを造ってきた鬼才ホセが、それぞれの期待と可能性を探りに、トレシュ・ヴェドラシュでプロジェクトを立ち上げました。化学物質や亜硫酸を使わずにナチュラルなアプローチでワインを造り、当地トレシュ・ヴェドラシュという土地を表現することを目指した彼らは、初VTから、亜硫酸無添加の挑戦的な醸造をしています。
 カシュテラン・トラディションを一口味わった時の印象は、「知らずに飲んだら、誰のガメイだろう? 軽やかなタッチで、なんと美しいワインだ」と思いました。

 「ナチュラルワインへの情熱は、ワイン業界にいるなかで、素晴らしいワインを試飲し、そしてその造り手たちに会ううちに、抑えられなくなった。リシュボア地域でのワイン造りの決め手となったのは、大西洋の強い影響があることで、熱く乾燥した日であっても、海洋から吹く風がやむことはなく、そのおかげで強い鉱物感を備えた、アルコール度数の低い、フレッシュなワインが出来上がる」と、リカルドは話します。

 今春、一連の海外出張を控えていたさなかに、最近瓶詰をしたキュヴェの2018が送られてきました。リカルドが言うとおり、2018年の多くのワインに感じられる暑さと過熟の印象は皆無で、活き活きとした酸が心地よく、テクスチュアがなめらかで、素敵な飲み心地があり、それでいてエキスがしっかりしているので飲みごたえもあります。

初 VT の 2018 年は、写真のような野ざらしでの醸造だった。

 

写真のような、半壊した古い修道院の一部をワイナリーに改装中。

 新たに《アリバス・ワイン・カンパニー》という若い二人組のワインも、6月に船積みされます。真打登場というべき堂々としたヴァン・ナチュールで、標高の高い畑で栽培される、100年を超える樹齢の様々な地品種の混醸で作られています。少し遠くからの写真ですが、彼らの人柄やワイン造りについては、販売開始の時に改めてご紹介させていただきます。

 リスボンを中心に動き始めたポルトガルのヴァン・ナチュールのムーヴメントは、ロワールで1990年代に若者を中心に始まった当時のことを思い出します。ひとにぎりの真に優れたヴァン・ナチュールが現在の大きな流れを引っ張ってきました。

 ラシーヌが選んだ最先端のポルトガルワイン、どうぞお楽しみください。

 
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