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合田玲英のフィールド・ノートVol.74 《 2019 年 10 月販売開始ワイン 》

 秋ですね。今年の暑い夏を乗り切るためには、冷やした白ワインもいいですが、サンジョヴェーゼか、シチリアや南仏のワインが、個人的には活力剤になっていました。海のワインが多いですね。近頃は9月も後半に入ってくると、晴れた日はあっても、風が乾いていて涼しく、心地いい日が続いています。
 こうなってくると、山の雰囲気を感じさせるような、ジュラやサヴォワの白ワイン、ネッビオーロ、イタリア各地の地品種のワインが飲みたくなってきます。リヴェイラ・サクラなんかもいいなあ。
 10月入荷のワインの中でも特に気になるのが、ヴァルポリチェッラのワイン。イタリア滞在中はヴェローナにいたということもあり、思い出深いワインが多いし、これからの季節にぴったりです。ヴァルポリチェッラでは14年VTがかなりの不遇の年で、収穫直前までも日照不足に悩まされ、収穫後も湿度の高い日が続いたので、アパッシメントができず、アマローネを造らなかった造り手も多くいました。
 ラルコも同様で、アマローネやリパッソ用に使われるブドウもすべて、ロッソ・デル・ヴェロネーゼとなりました。もともとアマローネに使われる、品質の高いブドウが使われたからか、ロッソ・デル・ヴェロネーゼ2014は酸と甘みのバランスが良く、味わいものびやかで、やはりブドウ畑の実(または、地?)力の違いかと、おどろいたのだけれど、新着の2015年VTもロッソ、リパッソも2014年VTのようなバランスの取れた甘みと酸で、醸造や栽培の良さが1ステージ上がったかのような、雰囲気があります。
 モンテ・ダッローラにも2014年に収穫を手伝わせてもらえたけれど、収穫前から、畑での不良果の対応に追われていて、普段からも真面目なカルロのふと見せる、いつもにもまして険しい顔つきが思い出されます。それでも、その時に一緒に来ていた友人たちとのために、笑顔で案内をしてくれたことは今でも忘れられません。少しだけですが、彼らのアマローネのバック・ヴィンテッジが入ってきます。是非どこかでヴァルポリチェッラの勉強会をしたいです。当主のカルロの話してくれた、「アパッシメントの味のしない、アマローネが造りたい」というのは、どんなワイン造りにも応用できる、根本の考え方です。
 同じヴァルポリチェッラなので、5月入荷だけれどモンテ・デイ・ラーニもご紹介。ヴィニタリーに行くたびに当主のゼノに会いに行けることが、本当に幸せです。クインタレッリはワインの味でしか知らないけれど(ワインを通して知られることが、ワインのいいところなのですけどね!)、同時代にゼノのような造り手がいることで、昔のワインはおいしいなあ、などと回顧主義者にならずにすんでいるような気がします。
 自分で書いていて、彼らのワインが飲みたくなりました。読んでくださったみなさんも、イタリアンに気がいったら、ヴァルポリチェッラのワインをぜひぜひ。

 

以下、弊社資料より。
ラルコ】イタリア/ヴェネト/ヴァルポリチェッラ

 

 ヴェネトで、誰よりも“神話的生産者”との讃辞にふさわしいクインタレッリ。この偉大な古豪に長年ブドウを販売していた栽培農家に生まれ、14歳から十数年間、クインタレッリで勤務し、栽培醸造を学んだルーカ・フェドゥリーゴのワイナリー。初ヴィンテージは1999年。アマローネは90日前後の乾燥の後、45日前後も続くアルコール発酵を経るなど、栽培・醸造法は徹底して伝統的。ただしIGTルベオのみ、カベルネ・フランなどをコルヴィーナと共に乾燥させる。
 ちなみにクインタレッリの社史には「同社の真の力の源は、ヴァルポリチェッラ最良の畑で入念に選別されたブドウの購入にある」と記されているが、まさにフェドリーゴ家の畑も、御大の神話形成に大きく寄与貢献した”最良の畑”の一つであろうことは、現在のワインの質が雄弁に物語る。近年では、いよいよ当主ルーカに「ジュゼッペ・クインタレッリの再来」との讃辞も寄せられ始めている。

 

モンテ・ダッローラ】イタリア/ヴェネト/ヴァルポリチェッラ

 

 ヴァルポリチェッラの歴史的ゾーンにありながら約20年も耕作放棄され、ほぼ藪に近い野生状態だったブドウ畑。その“野生的環境”に夢中になったヴェントリーニ夫妻が1995年に畑を購入しスタートしたワイナリー。標高250m前後に広がる5haの畑の大半は1950年植樹の古木で、ワイナリー創業以来、一切化学物質の散布は行われていない。また「さくらんぼ畑と入り組むように広がるブドウ畑が、アマローネにさくらんぼの香りをもたらす」と、当主カルロ・ヴェントリーニ。畑の土も長年の自然栽培で、歩くとしなやか。かつてはラディコンらが主宰する自然派グループとも交流したが現在は距離を置き、あくまで“農家のワイン”を信条にする。セラーでは2016年以降ロッソ・ヴェロネーゼをセメントタンク発酵とし、ふくよかさと柔らかさが向上。アマローネとリパッソは木製発酵槽を使用。アマローネ・ストローパには低温浸漬も活用する。

 

モンテ・デイ・ラーニ】イタリア/ヴェネト/ヴァルポリチェッラ

 「ブドウの周囲にある環境の多様性が、ワインに複雑性を与える」との信条のもと、所有する8haのうちブドウを植える畑はわずか2ha。残りには洋梨、サクランボ、穀物、オリーヴなどをブドウ同様にビオロジックで栽培する情熱の人、ゼノ・ズィニョーリのワイナリー。耕作も、馬で行う。ワイナリーの歴史は古く、創業は1900年。戦前はヴェローナのトップ・オステリアにワインを直接販売していた。ワインの発酵は500Lの木樽で行い、しなやかなピジャージュと丁寧な圧搾も堅守。アマローネの乾燥工程は、天井から吊った網にブドウの房を一つ一つかける、最も手間のかかる方法。その熟成には2015年から15hlの大樽熟成も開始し、長期熟成後のさらなる開花が期待される。ワインのためならばあらゆる労を惜しまない当主のゼノは、クラシックなファイン・ワインの世界で現在特別な評価を受けながらも、馬での耕作やポリカルチャーについて農業セミナーで積極的に講演を行うなど地域貢献にも情熱を傾け、崇高な印象が年ごとに高まりつつある。

 

~プロフィール~


合田 玲英(ごうだ れい) 1986年生まれ。東京都出身。
2009 年~2012 年:ドメーヌ・レオン・バラル(フランス/ラングドック) で研修 
2012 年~2013 年:ドメーヌ・スクラヴォス(ギリシャ/ケファロニア島) で研修
2013 年~2016 年:イタリア/トリノ在住
2017 年~:日本在住


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