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『ラシーヌ便り』no. 163 「ニコラ・ルナール 近況」

ニコラ・ルナール 近況

 2014年の初リリースが入荷したのが、2016年春のこと。早3年たって、ニコラは、無事にワイン造りを続けているのでしょうか?「またどこかにいってしまったのでは」と心配になって、ドキドキしながら様子を見てきましたが、なんとか、苦労しながらもワイン造りは続いています。心待ちにしておられる方も多いと思いますので、彼の近況をお知らせします。

 

ニコラ・ルナール復活史

 ご存じのように、「私も50歳、最後にいい仕事をしたいからね」と言って、アンボワーズにある洞穴を醸造所として買って、近隣の畑を契約、ニコラのワイン造りが2013年暮れに再開しました。いざ訪問してみたら、ネット環境も整っていないところで、ニコラは寝泊まりしながらワインを作っていたのです。洞窟にはワインを美しく育てるマジックが溢れています。

 順調にいくかと思っていたのですが、この畑での栽培は、3年で終わってしまいました。2016年の2月にニコラは杭を栗の木に変え、パリサージュの針金を取り払って、根本的に仕立て方を変え始めました。それを見た持ち主が、「こんな変な仕立て方をする奴には、畑は売らない。とっとと出ていってくれ」と言いだしましたので、2016年の末、やむを得ず3年間手入れした畑を手放しました。
 また、この畑での最後のVTとなる2016年の収穫は、遅霜と雹害のためほぼ収穫が失われ、買いブドウ用のブドウを探すも作りたいレベルのブドウが見つからず、結局ソーヴィニョン・ブランを2樽しか作れませんでした。大きな洞穴セラーは、ほとんど空っぽです。たった2樽しか作れないなんて、どうやって生きていけばよいのか…。でも、ニコラは全く妥協することなく、我が道を突き進んでいます。

 2017年2月、幸い、森に囲まれた隣人のいない畑を4ha借りることができました。ソーヴィニョン、シュナン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネが植わっています。2017年は、少しは収量がありました。カベルネ・ソーヴィニョンではなかなか納得のいくワイン造りができなかったようで、試行錯誤の結果、ペティヤンを作りました。セドリック・ブシャールにもらったピュピートルでルミュアージュをし、その後にデゴルジュマン。全て手作業ですから、たった一人で作業を行うのは大変です。このカベルネ・ソーヴィニョンは、今後、台木としてシュナン・ブランを接ぎ木する予定です。

 

 2017年1月の訪問時に、2015年の買いブドウのソーヴィニョン・ブラン3樽分をタンクから試飲しました。「どう思う? これはビン詰めできない。樽の中では良かったのだけれど、どうやら貸して戻ってきたグラスファイバー容器が、清潔でなく、移した後に味わいがおかしくなってしまった。」貴重な3樽分を失うとは、どれほど残念なことでしょうか。

 今回入荷分である、自社畑ブドウの2015年ヴィンテッジは、2014年よりは収穫が少ないにしろ、2017年春にリリースかと期待していましたが、便りのないまま3年以上の樽熟成が続きました。
 どうなっているかなと、先月にも、その本来ならとっくに船積みされているはずの2015年ヴィンテッジの様子を見るためと、2017年、2018年はどの畑でどれくらい作れたのかを確認しに行きました。すると、ワインが出てこない理由は、フランスでは手に入らない、ベッペ・リナルディと同じ茶色の口径の太い瓶をイタリアに注文したがまだ届かないとか、シュナン・ブラン2015年があともう少しセックにまとまってほしいとか、2017年のペットナット用のピュピートルが一週間前にようやく届いたとか…。
 ニコラを励ましながら、「まあ諦めて気長く待とう、待っただけ美味しいから」と、一つ一つ、気長に待つことにしました。いつ出てくるかわからないニコラのワイン、宝ものが届くのをゆっくり待つより仕方ないですね。ちなみに、ソーヴィニョン・ブラン2015は、2018年12月にビン詰めしたらしいのですが、一人で働いているため、ラベルの手配、ラベル貼りが追い付かず、出荷が遅れたともいっていました。話がどこまで本当かわからないですが、ようやく、2019年5月終わりにソーヴィニョン・ブランは出荷されました。

 また、新しい、いいお知らせもあります。2019年はモンルイのシュナン・ブランが収穫できます。ニコラは、やっぱりシュナンの人です。森に囲まれた静かなモンルイ、斜面にある樹齢70年の畑を3ha(収穫は2ha分) 新しく借りました。どうか、問題なくここでワインが作り続けられますように! 順調に成育が進めば、軽い早飲みのシュナン(モンルイ)が2021年の初夏には楽しめそうです。

 これからも、落ち着いて醸造できるように祈るばかりです。

 

ニコラ・ルナールの近況まとめ

2013年秋 … アンボワーズの洞窟を購入し、近くの畑を3年後購入条件で契約をする。2013年はシュナン・ブランを1樽醸造。

2014年、2015年 … ソーヴィニョン・ブラン、シュナン・ブラン、コ、少量のシャルドネを造る。

2016年2月 … 仕立て方法が持ち主に受け入れられず、2016年収穫後に出ていくこととなる。4月、初リリースの2014年が日本に到着。 2016年ヴィンテージは遅霜と雹害のため、ソーヴィニョン・ブラン2樽のみ醸造し、収穫後新たに畑を探し始める。

2017年2月 … ロワール・エ・シェールのゾーンにある畑 4haを3年後購入条件で契約。2017年、2018年ヴィンテージは、ソーヴィニョン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニョンのペティヤン、シュナン・ブラン、少量のシャルドネを造る。

2019年2月 … モンルイに3ha(植樹は2ha分)を契約 2019年ヴィンテッジから、念願のシュナン・ブランの醸造が始まる。 順調にいけば、この秋はトータルで6ha分の畑で、収穫ができることになりました。

どうぞ、気長にお付き合いください。


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