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『ラシーヌ便り』no. 182 「エルヴェ・ジェスタン」

 東京は好天が続き、澄みきった光の輝きが見えるような空が広がります。
 社外の身近な方から、「コロナで入院しました」と連絡がありました。軽症だと思っていたら、途端に重症化という報道を連日聞いているので、ご本人や家族の方々の苦しさ不安などを考えると、どうぞご無事でと思い続けるほかはありません。「退院しました。皆さんも本当に、気をつけてください。」と連絡をいただいたときは、心から安堵しました。
 「ご無事で、お大事に」の言葉がしばらく続きますが、他者を思いあう大切さをますます強く感じます。
 飲食店、造り手、消費者の方々とともに耐えつつ進み続けながら、足元を踏みしめていきたいと思います。 

エルヴェ・ジェスタン
 嬉しいお知らせです。
 エルヴェ・ジェスタンの《キュヴェ・ジェスタン2009》がリリースされます。2006年と2007年のリリース後、4年ぶりの案内です。2013年以降、エルヴェ作のシャンパーニュは、保管先であるマルゲの蔵から移り、ルクレール・ブリアンで熟成されてきました。「あらっ、2008はどうしたの?」とお思いでしょう。天候に恵まれ、エレガントで華やかさにあふれる味わいとなった2009に比べ、「プロ好みの味わい」の2008は、まだ静かに時を待つことにしたようです。

 

 2008年ヴィンテッジ:前年の2007年から、とりわけ冬は寒く、冷たい春が続き、雹にみまわれた村も多い。5月になって気温があがり開花は十分でしたが、その後はべと病、うどんこ病にみまわれました。しかしながら健全に生き残った果実は完璧に熟し、果実味は力強く、まばゆいばかりの酸が煌めく。 

 

 2009年ヴィンテッジ: 乾燥した冬が続き、地中の水分が十分でなかったが、春に適度の雨が降り、順調な成長サイクルとなった。素晴らしい夏を迎え、夜間は涼しく暖かな8月。9月中旬から収穫期にかけては、雨に降られることはなかった。収量もしっかりとありながら、高品質なブドウがとれた。エレガントな果実味にあふれる仕上がりとなった。 

 十分デビューを待った《キュヴェ・ジェスタン》、到着を楽しみにお待ちください。 

 

 そして、こっそりお知らせがあります。 
 ジェスタンの個人プロジェクト、《クロ・ド・キュミエール2012》がいよいよリリースに向け、準備中です。本数はほんのわずかですが、今年秋に入荷し、2022年春前にリリースの予定です。 

 ジェスタンが1997年にデュヴァル・ルロワで始めた、《ビオディナミで栽培されたブドウによるシャンパーニュ醸造方式》は、同社を離れたジェスタンがいよいよ磨きをかけて継続発展したのです。ブノワ・マルゲとの共同プロジェクトを経て、遂に自らの所有畑での作品作りとなりました。「クロ・ド・キュミエールには、私のいままでの経験と思考の全てが注がれている。十数年前の私と今の私は、全く違っていて、はるかに進化しているのです」と、明快に言い切るジェスタン。 

 真の美しさをワインに求め続けるラヴァ―が待ちに待った瞬間が、ついそこに来ました。

 
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