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『ラシーヌ便り』no. 101

公開日: : 最終更新日:2014/09/03 定番エッセイ, 合田 泰子のラシーヌ便り, ライブラリー

no.101

3月になりました。3月2日に、ミニFestivinが原宿で行われます。さて、今回はどんな会になるでしょうか。この会のために、クロードとクロデーィーヌ・クルトワが来日しています。会場でクロードとともに皆様にお目にかかるのを、楽しみにしています。

第二回ジョージア・ワイン 試飲会

2月19日ラシーヌ・オフィス、2月20日大阪で、ジョージア・ワインの試飲会をいたしました。両日とも、早くから大勢の方におこしいただき、関心の高さに感謝いたします。 昨年6月から取り扱い始めたジョージア・ワインが、ついに再入荷しました!前回の航空便による初荷は即完売したため、長らくお待たせしました。 それぞ れの造り手が少量生産で、年に一度のリリースですので10か月近く待たなければなりませんでした。今回は、現地で仕立てたリーファー・コンテナ便で入荷し ました。本当に遠くから、よくぞ無事に届いてくれたと、感慨ひとしおです。船積みの大変さは、イタリアやフランスとは比較になりません。リーファートラッ クがない、パレットがない、フォークリフトでの積み込みができない、とないないづくしの中、時間をかけて、8月あたりから、リーファートラックを探しまし た。 101_01101_02 ジョージアは、幹線道路を一歩入ると、道路事情が悪く、トラックが入れません。なので、涼しくなった11月9日に幹線道路まで、わざわざ造り手が総出で運 んでいただいたと後刻うかがい、恐縮しています。パレットは、ドイツからジョージアに輸送された際の使用済みのパレットを譲り受け、手作業で積み込みが行 われたとか。 11月19日に黒海沿岸のポティ港を出港、1月14日 に横浜港につきました。船積みを担当したのは、昨年3月に入社しました原かなえですが、彼女は8年 間船会社で、船の手配の仕事をしていましたので、その豊富な経験と海外でのネットワークがあってはじめて、ここまでたどり着けたのだと思います。

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倉庫へのデバンは、私もまいりました。

どきどき、はらはらしながら、コンテナが開けられるのを待ちましたが、写真のように、一人一人アルファベットでパ レット上に名前を貼って、きれいにビニールでパレットが固定されているのを見たとき、思わず飛び上がって、原と喜びあいました。 昨年は、どのようにすれば、速やかに、安全に、輸送できるか、方法がわかりませんでした。3月にビン詰めしたワインを暖かくならないうちに、輸送するた めに、やむ終えず空輸をしたわけ です。おかげさまで、良い状態で、5月に皆様に試飲をしていただき、大きな反響をいただき、次の輸入へとつなぐことができました。

 今回は、昨年4月から、9月にかけてビン詰されたワインが入荷しました。

船便なので、どのような状態か、確認の ため、すぐにオフィスで試飲。外から見ただけで、言いようのない気迫を感じるのは、私の思いいれの強さのためでしょうか。申し分のない状態でしたので、到 着直後ですがすぐ試飲会をすることにしました。

 昨年入荷したワインは、10か月を経て、今調和がとれ、それぞれのワインが本来の持ち味を理想的に発揮しています。このたびの試飲会では、到着直後の 荒々しさ、タニンのざらつき、燻したような香り、などネガティヴな側面はややありましたが、間違いなく数か月後には、美しく成長した姿を見せてくれるもの と信じます。美味しいとか、美味しくないとかを超えた、エネルギーを感じる、大きなスケールで身体全体に満ちてくるように感じます。試飲会に来られた方 は、「足の先まで、血がめぐっているのを感じた」とおっしゃっていただきました。ジョージアのワインは本当に、百薬の長です。

今回の試飲会では、特にKakhetli(カヘティ)のワインが注目を集めました。

Alex Tsukhelishvili、Nikoloz Antadzeの造るクヴェヴリワインは、ジョージアで “golden”『黄金色をした』ワインと呼ばれるカヘティ地方の特徴をもっています。厚みとタンニンに富む味わいと、奥行きのあるテクスチュアを兼ね備 え、独特のアロマと風味があります。甕の中で果皮と果梗、とりわけ酵母が死滅分解して生じた澱と接触したため、風味はいっそう丸みがあります。内から放た れる、輝きを感じたときには、幸せな驚きで満たされます。優れたジョージアのワインは、本当に壮麗で、繊細微妙な味わいです。 最も古くて、私たちにとっ ては最も新しいワインに、是非出会ってください。

春一番ワイン・ナイトをしませんか。年に一度の、ワインが躍動する日

 さて、昨年3月9日は、「これほどワインをおいしく味わったことはないと思った」ほど忘れられない夜でした。今でも、あの時の驚きと興奮を思い出します。 昨年のワイン便り(2013年4月89号)には、このようにご紹介しています。

調子の悪いワインも、軽いブショネのワインも、どのワインも調和がとれ、まるで命が復活したかのようで、これまで未知だった活き活きとした躍動感を感じました。 3月1日に春一番が吹き、気温があがり、その後いったん気温が下がり、5日から気温が徐々に上がり始め、9日の最高気温は22度、10日は25度まで上昇しました。 暦では、3月5~9日までの啓蟄の最後の日で、ビオ・カレンダーでは根っこの日、月は甲戌101_05。「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」とされる啓蟄は、柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲くころ。まさに、春の息吹が、様々な命のあるものを目覚めさせ、自然な醸造で造られるワインにもこのような現象がおきたのでしょうか。2013年3月9日、この日を忘れることはないでしょう。 101_04 さて、今年の啓蟄は3月6日、この原稿を書いている今現在は2月25日で、東京はきのうは大変冷たい空気が張りつめていました。今日は一転して暖かくな るとか。春一番がいつ吹くかわかりませんが、3月9日か10日にワインを楽しめば、奇跡のような味わいを経験できるかも。満月ワインバーも素敵ですが、年 に一度、「春一番ワインナイト」はいかがですか?

 
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