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エッセイ:Vol.133 集成版:ワインと人間にとっての環境設定―考察と方法

 これまで考えてきたことを発表する機会があったので、折にふれて書きつらねてきたことを整理してまとめてみた。海外の友人や知人からも、環境設定について知りたいという希望が寄せられていたので、本稿はいずれ翻訳するつもりである。

 とはいうものの、ラシーヌ便りの読者ならば、繰り返しご覧になった覚えがあるかもしれず、また内容的には、考えを発展させる努力がたらず、変わり映えしないことを、あらかじめ記して、お許しを願いたい。

 むろんここにまとめた方法が、だれにとっても確実に効果的であるという保証は、どこにもない。が、少なくともわたしは毎日実践しており、ラシーヌでも日々の仕事に活用しているので、もし効き目がないとしたら、方法が悪いと決めつけずに、それは習熟していないか、誤解のせいかもしれないと考えなおして、損はないでしょう。

 なにごとも、よく工夫して実践にうつせば、進歩するはずです。なので、妙案を手に入れた方はご教示ください。ワインという生活の知恵は、万人のものであるべきですから。

 構   成 * 

*本編と、参考図からなります。

はじめに:基本的なことがら3点

 A) ワインの味わいは、ワインが置かれた環境や状況によって影響され、変わりやすい

 B) ワイン本来の味を、変えてはならない(持ち味を歪めず・触らず・蝕まず)

 C) ワイン本来の味を、できるだけ引き出す( 味わいの可能性を狭めずに焦点を絞る)

本論:ワインと人間にとっての環境設定―考察と方法

 はじめに: 味わいを引き出すための攻略法

【攻略点】a)飲み手自身の飲み方(テイスティング技法)と、b)飲み手/ワインの環境

A)〈飲み方〉-テイスティング技法の攻略(概要)

B)環境設定法―飲み手/ワインにとって好ましい環境を整える技法

【重要】《ワイン・人間・環境》の三者関係―ワインと人間にとっての一次/二次/三次環境

【考察】「環境世界」からの脱出に向けて

【考察】ワインの味方と敵

 *ワインの味にたいする広義のプラス要因マイナス要因

【重要】コルクの意味とその置き方

コルク栓を活用するための実践的指針》

(附)【参考】なぜ、かたちを問題にするのか

あとがき

はじめに

基本的なことがら3点

 ワイン愛好家と、ワインをまじめに考えようとする方々が、〈ワインについて知っていなければならない基本的な事柄〉と、〈ワインについて守らなければならない基本的なルール〉がある。

*知っているべき《基本認識》*

A)ワインの味わいは、ワインが置かれた環境や状況によって影響され、変わりやすい

*踏むべき《基本的なルール》*

B)ワイン本来の味を、変えてはならない(「本質」を歪めず・触らず・蝕まず)

C)ワイン本来の味をできるだけ引き出す(味わいの可能性を狭めずに焦点を定める)

ワインと人間にとっての環境設定―考察と方法―

《ワインの持ち味を損なわずに、ワインの味わいを具体的に引き出すには、大別すると、二つの攻略法がある。攻め口=対象は、飲み手自身飲み手/ワインを取り囲む環境である

【攻略対象】と【方向性】

α)飲み手〈自身〉→飲み方(テイスティングの技法)を変える

β)飲み手/ワインの〈周囲〉→環境に働きかけて、状況を好転させる

α)は、飲み手自身の飲み方、すなわち〈飲み味わう行為〉をどうすべきか、にかかわる。要は、いかにして、飲み方そのものを改善するか、である。

β)は、飲み手にとっての環境を整えるという〈知的な戦略〉であり、いわば〈搦め手からの攻め方〉である。手法名は、コンピュータ用語を借りて「環境設定法」とした。ワインと人間を取りまく環境を、双方にとって好適なものにする方法をさぐる。

 しかし肝心なのは、

 α)とβ)がそれぞれ単独では、ワインを美味しく飲み味わうことは実現できない

 ということ。つまり、それぞれを好ましい方向にもっていくとともに、その両方を組み合わせて相乗効果を生じさせなくてはならない。片方だけでは、片手落ちなのだ。

 けれども、攻略法すべてについて、今回は詳述する余裕がないので、α)については要約するにとどめ、β)については理論的な背景にふれ、実際の方法を詳しく述べたい。

A)〈飲み方〉―テイスティング技法の攻略(例示)

 環境という視点以外に、ワインの味わいを左右するもの要素は、すべてテイスティングの技法にかかわる。が、ここに例として挙げるわたし流あるいはラシーヌ流の技法は、ワイン・スクールなどで教示される「オーソドックス」な技や、ソムリエの「洗練された」芸とは違い、一見すると野暮ったいが、習熟すればその効果は折り紙つきです。

飲み手にあった手の選択(右手か左手か:人によって異る。慣れるまで、練習すること)

なお、注ぐ人によっても、現れ出るワインの味わいは異ることに注意。

注ぎ方:ワインにストレスを与えずに注ぐと、伸びやかな味わいになる(「ストレスフリー理論」:塚原のエッセイを参照のことhttp://racines.co.jp/library/tsukahara/19.html

飲み方:唾液がグラス内に逆流する現象を防ぎ、中のワインを汚染させない。    

なお、グラスの端につけた口唇や上唇がワインに触れないよう、注意。

清潔さ(クリーンさ:とくにボトルとグラスの縁内外に付着している見えない汚れが問題)

ボトルとグラスの間隔(両者のあいだでエネルギー共感を生じる、適切な距離を置く)

―なお、ダウジング、振り子式チェーン、O-リング・テストによって、なにが問題かを判定することができる。

B)環境設定法―飲み手/ワインにとって好ましい環境を整える技法

視点 ワインと人間の両主体にとって、それぞれを賦活させる好適な環境を整え、ワインの味わいを引きだすことは、可能か? その理論的、技術的な背景はなにか? 

発見 コルクがワインに与える〈知られざる効果〉と、〈電磁波から守る積極的な遮断効果〉を認識し、ワインと人体を同時に脱・電磁波環境に置いて、ワイン本来の味わいを引出すことができる。

 

【重要】《ワインと人間と環境》の三者関係

先の考察と仮説をもとにして整理し、《ワインと人間と環境》という三者の関係を、両者への一次・二次・三次という環境にわけて考えた。別図「ワインと人間の環境」(塚原©)参照のこと。

参考図と、三者関係について次の説明文とから推察できるとおり、ワイン・人間とそれぞれの関係は複雑であり、互いに複雑な作用をするから、

飲み手にとってワインの味わいは、環境空間がつくる味わいなのである》。

ワインと人間にとっての一次環境

それぞれの主体にとっての一次環境を「ミクロ環境」または「ミクロ空間」と呼ぶ。

ワインという液体にとって本質的な関係にあるミクロ環境は、まず①ボトル(ラベルと裏ラベル、カプセルや輸入者シール、コルクなどのストッパーが付いている)であり、距離からすれば次いで②グラスである(通常のニュートラルなワイン用容器。陶器や掌を良しとする珍説もある)。以下、図を参照のこと。

人間や人体にとってのミクロ環境は、身体に直接まとい、身につけるモノを指す。①衣服(肌着、上着)、 ②装飾品(指輪、イヤリング、ネックレス、ピアス、刺青)、③メガネ、④靴・スリッパ(大地や床に接する履物)、④帽子、⑤化粧品などである。図①′参照。

このように、ワインと人間にとっての一次=ミクロ環境は、それぞれ異なる。

2)ワインと人間にとっての二次環境

「中間環境」または「中間空間」と呼び、「中間」の英語表記にはメゾ(メッツォ)“mezzo”または“intermediate”を充てたい。

・ワインにとって:ワイン(ボトルまたはグラス)が置かれている台やテーブルと、台やテーブル上に置かれているモノすべて(テーブルクロス、カトラリー、皿、コップ、料理、箸と箸置き、キャンドル、デキャンター、ワイン・クレイドル〈籠〉、スピトゥーン、ワインクーラー、モバイル、ソムリエナイフなど)と、テーブルが置かれている床(ごく狭い範囲内の)である。図②参照。

・人間にとって:衣服をまとった身体が接触する場所や空間すべてである。たとえば、椅子やソファ、座布団やクッション、足台、床(ごく狭い範囲内の)。図②′参照。

・図から想像されるとおり、中間空間②と②′とは重複ないしクロスする可能性がある。たとえば、ワインを飲む人物が、テーブルに手をついたり置いたり、テーブルの脚・台に足を乗せるなど、またテーブル上にあるグラスを持ったりスワールするといった、一時的な状況である。

視点を変えれば、《ワインと人間とは、互いにとって二次環境的な存在であり、関係である》。そこで、その関係がプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することもある。各二次環境が接したり、交錯して影響しあうことがある。

3)ワインと人間にとっての三次環境または空間)

ワインと人間を、ともに取り囲む限定された室内空間や、区画で限定された空間と、その空間内部に置かれているモノ(特に、大型の家具や電気製品・照明器具、コンセントやコード、窓やドア、額、床・壁・天井など)すべてを指す。

ここで注意すべきは、目に見えない(見えにくい)モノの存在。空気(匂い)・温度/湿度、光(照明)・電磁波、音(波)、振動、床・壁・天井の裏の配線、引力など。

【問題】環境を、ワインと人間にとってプラスにすることは、できるか?

【考察】「環境世界」からの脱出にむけて

動物はさまざまな環境のなかから、それぞれの動物にとって意味のある特定の世界だけを知覚し、それに対して特定の反応をすることで、生命活動をする。動物それぞれに固有の知覚世界と作用世界との繋がりの総体のことを、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは名著『生物から見た世界』(岩波文庫)のなかで、「環(境)世界」“Umwelt”と呼ぶ。

《環境と「生物」とは密接に関連しており、ある特定の生物が「生きている」ことは、それを支える環境と切り離して考えることが不可能である。》(中屋敷均『生命のからくり』、講談社現代新書、2014)

人間もまた、ヒトの環境世界で生きているが、20世紀初頭にシェーラーは、ただ人間のみが、自らの「環境世界」を凌駕することができ、その意味で「世界開放的」だとした。(金森修『動物に魂はあるのか』、中公新書、p.183-4)

 つまり、特定の環境に対して、人間は精神の働きを用いることにより、環境へのしがらみから脱することが可能、という考え方である。その見解にわたくしは完全に同意し、プラスへと転じさせることが可能だという前提にたって、《解放のための解法》を考えたい。

考察ワインの敵と味方:他のモノやコトだけでなく、あなた自身が「ワインの敵」になりかねない可能性があることを、常に忘れてはならない。(参考:石川淳『お前の敵はおまえだ』)

*ワインの味に対する、広義のプラス要因

・素材―木、紙(白紙、薄紙)、布(木綿、白色)、ガラス(ソーダガラス)、コルク栓、陶磁器(炻器)、床(板張り、石)

・形状―丸型、楕円形、生長曲線(カタツムリの殻)

・色―白

*ワインの味に対する、広義のマイナス要因

・素材―金属、石(多い)、プラスチック、ケミカル製品

・形状―四角、凹型(空のコップ、ビン口)、衣服フックとハンガー(金属製)、口元全体を丸く覆うもの、指紋・掌紋、二重の

・色―黒

・電磁波を発し、増幅するもの(携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、マウス、バーコード・QRコードなど)、電気製品(とくにエアコンや扇風機などモーターを含むもの)、

ワインセラー(外部)、照明器具(LEDは可)、電気コード、コンセント、プラスチック(絶縁体としては可)、変圧器・充電器、キー(金属性・突起あり)

・ワインボトル周り―角状ラベル(エチケット)、シャンパーニュ・ネックのジャケット(金・銀紙)、表・裏ラベル、輸入者シール、サーバー(金属製クレイドル)、デキャンター(広口瓶)、ワインクーラー(とくに金属製)、スピトゥーン(同)、ガラス栓・王冠、カプセル(残部)、キャンドル台、

・食器、カトラリー(金属製)、皿(金属製)、箸置き(金属製)、

・窓枠、額縁、テーブルや椅子(金属製脚部)、床(コーナー)

【問題】味に対するマイナス要因を除去する方法はあるか?

【解法】ワイン用コルクを適切なポイントに必要個数だけ設置する。

ここでは《実用的ヒント》を示すだけに留め、コルクの意味付けや解釈は、次章にゆずる。

・さまざまな電磁気防除装置や器具があるが、もっとも効果的でかつ簡単で、費用もワイン愛好家にとっては実質的にゼロなのが、ボトルから抜き取ったコルクである。

天然コルクであれば、コルク100%の純コルク、集成コルク、張り合わせコルク(シャンパーニュ用の三層コルク、安価な二層コルクのあいだに集成コルクを挟んだもの)のいずれでも構わない。

・コルクは、単独で用いても、複数個をヒモまたはテープなどで包んでまとめたものでも、使用可。シャンパーニュ用コルク栓や、複数個をまとめあげたものなど、ボリュームが大きくなるほど、コルクは作用力が大きい。

・コルクは、TCAに部分的または全体的に汚染されていても、作用力に違いはない。ただし、TCA汚染されたコルクは特有な臭気を発するので、とくに臭気に敏感な人は汚染ナシのコルクを用いた方がよい。けれども、このような完璧な無汚染コルクだけを探して入手するには困難がともない、事実上ほとんど不可能にちかい。

ただし、ワインボトルにコルクを挿しなおすときのコルクは、TCA汚染がない〈TCAフリー・コルク〉を用いなければならない。ワインへの空気感染と、臭気を防ぐためである。

【重要】コルクの意味とその置き方

① コルクの意味と作用(解釈)

コルク・オークの樹皮をくりぬいて加工した、ワイン用の円筒型コルクは、かつて極小の細胞壁で囲まれた「空気室」状の組織が極度に密集している。そのため、ワイン用のストッパーとしては、『完全な』(TCA汚染されていない)コルクならば、機能的に完璧である。弾性・密閉性・加工容易性・ニュートラル性・保存性(ワインとコルク自身が長命であることが保証される)・安価など。

 それだけでなくコルクには(王冠やスクリュー・キャップ、ガラス栓とは違って)ワインの味わいに対する、積極的な「生命賦活作用」がある。

 加えてその形状は円柱形をしていて、ビン型とも類似形状をしているため、形態共鳴を促進する「形成的因果作用」(ルパート・シェルドレイク)がある。

 ワインは、いわば二重の円柱形効果(ボトルの形とコルクの形)を楽しんでいる。その賦活作用は強力で、他のストッパー(スクリュー・キャップ、王冠、ガラス栓=ステルヴィン)を抜栓した後、ボトル口にコルクを挿せば、瞬時にワインを活性化することができる。

しかもコルクは、人体とワイン双方にとって環境をポジティヴに整えることができる。

② コルク利用の目的と方法

 電磁波と金属製品からの影響を低減させるために、コルク(単数または複数)を適切な場所に置き、あたかも「サンクチュアリー」を設定したかのように機能させることが、コルクの利用目的である。

 コルクの数が多すぎるか、ボトルやグラスの近辺に寄せすぎると、かえってワインの味は緊張過多になり逆効果になるから、要注意。

《実践的なコルク栓の活用指針》―どこに置いたらよいか

 ミクロ環境だけでなく、二次・三次環境を整えるという意識をもち、平面だけでなく立体的な三次元空間として環境をとらえ、対策をとらなくてはいけない。

 また、マクロ環境を優先して配置すれば、人間とワインの双方にとって効果的であり、ワインから〈伸びやかさ〉〈おおらかさ〉〈長い後味〉を引き出すことができる。

 なお、以下はあくまで例示であって、空間によって特有の電磁波障害などがあるから、臨機応変に置き場所と置く個数を変えて、最適ポイントを探さなくてはならない。

 《設置個所の例》
a.部屋の四隅
(マクロ環境を整える効果)。辺が長いときは中間の複数個所に置く。
b.テーブルの足元(特に金属製の脚のばあい。中環境を整える)
c.テーブルの上(隅または両端に置く。ミクロ環境を設定する)
d.テーブル上の金属製食器とワイングラスの境目など、要所に。
e. 卓上にある抜栓されたボトルの口元(電磁波対策として栓をする)
f. モバイル、コンピュータ、ラップトップ、充電器、カメラ:大敵。
g. モーター付電気製品(扇風機、エアコン、ワインセラー):大敵
h. 電気製品すべて:上か脇に置くか、取り付ける
i. 照明器具(コード、金属部分):電球はLED化すること。消灯するまでもない。
j. 窓枠の隅、額縁の裏、ハンガー、:いずれも電磁波対策

いずれにせよ、コルクは用い方によっては、人体とワインの双方にとっての環境をポジティヴに整えることができるから、ダブル効果があると心得ること。

(附)考察 なぜ、かたちが問題か―《かたちには生命が宿っている》という考え方―

 ワインの味わいに影響を与える可能性が強いもののひとつが、〈かたち〉である。ゆえに、ワインボトルに貼られているエチケットや裏ラベルの形状に、注意を払う必要がある。    

 〈かたち〉の力と作用力がある所以を、ここで考える。

【仮説】《かたちはエネルギーと生命力を秘めており、その周囲や一定の範囲内で、

  (人間とワインを含む)他の存在に働きかける作用や働きがある

その因果関係を突きつめると、

自然のかたちのなかにはリズムが波動、振動、脈動として息づき、この生命のリズムがエネルギーに転じて、振動共振の「引き込み」現象をおこさせ、物質の状態を変化させる

という〈原因仮説〉が考えられる。

 理論的な拠り所は、《かたちと生命をつらぬくリズムとその作用》を大胆に究明した諸家の考察である。すなわち、アンドレルロワ=グーラン、向井周太郎、ルパート・シェルドレイク、ハンス・イェンニデヴィッド・ボーム、中村雄二郎、山崎正和、三木成夫(敬称・略)の諸氏である。その説ないし概略は、おおむね次のとおりである。

 【かたちに関する名言(抜粋または要約)

・向井周太郎:《かたちは生命のリズムを内包する身振りである》。かたちの身振りは、世界・いのち・振動・リズムからうまれるだけでなく、それらの生成・胎動・響鳴を招く。

・アンドレ・ルロワ=グーラン:先史時代のBC35,000年ころ、図示表現(グラフィスム)と同時に出現した図像表現には、リズム性が刻印され、三角や四角というかたちの原型には生命表現が込められていた。原初の図像に表現されたときからすでに、かたちは生命のリズムを刻印され、エネルギーと祈りを宿していた。

・ルパート・シェルドレイク(「形成的因果作用」説

或るものの〈かたち〉は他のものに対して、時間的・空間的にどんなに離れていても、エネルギーなしで因果作用を及ぼし、〈かたち〉を刻印してメッセージを伝えうる

・デヴィッド・ボーム/中村雄二郎:

形態形成場には微細なエネルギーが内臓されており、微細なエネルギーに担われた形態が発する情報がうまく伝達されれば、[振動共振の引き込みによる形態共振]が起きる。

・ハンス・イェンニ/ルネ・ユイグ:

自然のなかには、波動、振動、脈動の状態で、ある周期的なリズム(だけ)が存在する。このように始めは、エネルギーと、波の姿で振動しているその実態のみが存在する。しかもそれらは、多様性のなかにある基底的な振動現象であり、その振動現象がかたちの根源にあって、いわばかたちのなかに具体化され、それが物質の状態変化と結びついている》

(了)

後記

 本稿の主題である〈コルクを用いるワインのための環境設定法〉は、筆者が独自にさまざまな試行錯誤と実験を重ねた結果をふまえ、仮説・推論・考察などを加えて、集大成したものである。

 当手法の一部は、(株)ラシーヌの月刊「ラシーヌ便り」に寄せた、折々のエッセイや「ワイン原論」のなかで発表したことがあるが、あらためて全容を整理した。

 なお、本《環境設定法》という手法は、すべて筆者が独自に発想した方法と考案に基づくものであって、参考にした説や手本、典拠と文献は、まったくない。

 ただし、考え方を刺激する素晴らしい参考文献を、ひとつだけあげるとすれば、

グレゴリー・ベイトソン「形式、実態、差異」(『精神の生態学』改訂第二版、佐藤良明・訳、新思索社)

である。

 拙文の内容は未熟ゆえ、いっそうの充実と改訂を要するが、世界中のワイン愛好家のお役に立てるとすれば、これに勝る喜びはない。ラブレーにならって、「トリンク!」(乾杯)

参考図  ≪ワインと人間にとっての環境≫ 

①: ワインのミクロ環境(空間)
②: ワインのメゾ環境(空間)

①´: 人間のミクロ環境(空間)
②´: 人間のメゾ環境(空間)

全体:ワインと人間の双方にとってのマクロ環境

(室内空間)

 
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