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『ラシーヌ便り』no. 143 「9月出張  アメリカのヴァン・ナチュール探訪」

9月出張  アメリカのヴァン・ナチュール探訪 

 9月1日から、北米を訪問しました。カリフォルニア(初回)とオレゴン(二回目)です。カリフォルニアでは、昼間の気温は45℃、息をすると喉が焼けるようでした。フロントガラスから射しこむ陽の強さで、車内のクーラーはきいていても、陽のあたるところがどんどん熱くなっていきます。
 「サンフランシスコの夏は、暑いのですか?」と尋ねたら、「普段は気候が穏やかで、夏でも涼しく、過ごしやすい街ですよ、今年は歴史上もっともひどい高温です」と会うごとに、誰もが今年の暑さに参っている様子でした。このような高温にみまわれた年の醸造はどうなるのでしょうか?
 世界的なヴァン・ナチュールの波は、カリフォルニアにも少しずつ広まってきています。自根の畑が残っていて、有機栽培を始める人もあり、標高の高い畑からは、数年先に面白いワインがでてきそうです。1999年からヴァン・ナチュールを広めてきた「テロワール」という名前のワインショップがあると聞き、驚きました。その店の影響もあって、サンフランシスコの街にも、ヴァン・ナチュールに力を入れるワインバーやワインショップが増えてきています。ワイナリーの畑は、互いに大変離れたところに散らばっているので移動距離が長く、初めて行ったカリフォルニアが広いことを実感するばかりでした。
 オレゴンは、昨年11月に続く再訪です。1960年代に、故(アイリー・ヴィンヤーズ)がピノ・ノワールの適地と選んで栽培を始めたことから、上質なピノ・ノワール産地としての歴史が始まりました。近年、フランスからの参入だけでなく、カリフォルニアの有名ワイナリーがこぞってオレゴンにワイナリーを開いています。火山性の土壌で、10数年前までは自根で植樹されてきました。最近はフィロキセラ禍が広まり、接ぎ木で植えられるようになってきているようです。
 森に囲まれた広大なブドウ畑で、真摯な栽培に取り組む造り手がいました。いかにもアメリカのピノ・ノワールという大柄で、色濃く、樽の強くきいたワインにまじって、繊細で清らかさにあふれるワインがありました。今さら繰り返すまでもありませんが、生産地域よりも、誰がどのように造るかがやはり大事だと感じました。 
 外気の暑さとセラー内の寒さとでひどく疲れ、日本との時差、-16時間で体内時計は狂いっぱなし。アメリカを訪れるためには、強靭な体力がいりますね。 

見事なプロヴィナージュの樹

ブドウ畑にやって来る野生の七面鳥たち。
デイヴィット・レットがオレゴンにピノ・ノワールを植えると決めた時、デイヴィスの教授に「七面鳥しか産業のないオレゴンでワインを作るなんて馬鹿げてる」と言われたらしい。こんなに、もぐらがいるの?と思うほど、そこいらじゅうもぐらの穴があり、畑にはタカ、それに山猫とイエローフィンチという鳥とクーガーまでいるらしい。


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