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Sac a vinのひとり言 其の三

料理を作るべし

いみじくも我々は人類が選ぶことのできる生業の中でも、人の生き死にに関わる仕事を除いて取り分け崇高にして文化的なprofessionにあると私は勝手に自認する様にしているし、またそうあれかしと願っている。

別に私は世間の評価が低すぎるとか、如何にして状況を改善して行くか?等と大それたお題目を掲げる気は毛根、もとい毛頭無い。

そのような尊いmétier にて糊口を凌げていることを有難く思うと共に、

其れに相応しい態度で在れる様に胸襟を常に正していかなくてはならない、

とまあ 偉そうに構えているだけである。

実際どうかはBacchus のみぞ知る。

 

斯様な思案をしている時に必ず思うのが

「serveur もsommelier もcuisiner も素晴らしい仕事で在るのに、お互いのことを知らなさすぎる」

ということである。

自分は偶々commis de cuisine から始めて、chef de rang,chef sommelier など

各セクションを経験してきた為に、現在潤滑に業務をこなしている。と勝手に思い込んでいるが、

日本に限ったことでは無く

互いのポストを深い意味で理解し合っている従事者が圧倒的に少ないのでは無いか? 

会話をしていてお互いが話し合っている対象に対する認識は本当に重なり合っているか? 

分からなくても自分の専門では無いからと理解を放棄していなゐか?

だから私は言おう

包丁を持たぬ者は先ず火の前に立とう

カーブを持たざる者はまずコルクを開けよう

スーツを常に着用しない者はまず賄いの時笑いをとろう

と。

相手からのインスパイアは勿論肝要であるが、まずは自身の自家薬籠にしないと 

「共通語」で話せないのである。

 

皆様

料理をしましょう。

芋を洗い、サラダを千切り、肉を焼き、魚を捌き、食卓を飾り立てましょう。

全てはそこからだと私は信じます。

 

 

我々は営業である

 qu’est ce aue c’est notre fonction dans un restaurant
c’est bonne question. je vous dirais pleines des choses. mais tout d’abord, on devrait être bon commerce. c’est nous qui nourri les équipes,phh un peu exagélé, mais c’est vrai aussi.
Attension, moi, toi, nous. c’est nous devons faire naître les valeurs de son restaurant…

創造的な提案もできねばならないが
あくまで手元にある選択肢の中からお客様に対して〃最も価値のある〃(と思われる)
商材を提示していくのが日常の仕事である
但し営業である以上、〃もっとも価値のある〃というのは
販売側と購買側双方にとって利のある提案でなければならない。

il faudrais travailler pour les clients, en revanche il faut gagner aussi, 
pour les plaisir, avec plaisir mais c’est boulot,pas de buisiness, c’est vrai boulot.

キュイジニエが魅力的な商品を開発し、醸造家は佳酒をもたらす。
では我々の役目は? 我々の世代の役目は?
私は市場の開拓と創造である と言おう。
どんなに優れた商材があろうとも、受け入れ先がなければ宝の持ち腐れ、銘醸の瓶内二次発酵である。
お客様との信頼関係を作り、Début tempsの人たちには こういった物が美味しいのですよ、
こういうのを試してみるべきです、と水先案内をして将来の顧客の育成をしなければならないし、
常連のお客様にはリピートして頂くために常に新しい提案をしていかねばならない。
ただワインを仕入れ、原価を計算し、売り上げをあげる
それだけの仕事なら人生をかける価値など微塵もない。
我々が店を強くして 我々が店を変えて 我々が業界をよくするのである。
仕事は 顧客のため 所属する店のため エキップのため パトロンのため 料理のため 後輩のため 業界のため 未来のため 世界のため そして何より自分のために行わなければならない。
だからこそ我々の行う仕事は他人以上に付加価値を生み出し、次につながるものにしなければならない。
そのためにも常に〃最も価値のある〃提案をするように心がけていくべきである と繰り返し述べる。

 

マリアージュ

料理とワインを合わせること
人生における組めども尽きぬ幸せの泉
なればこそその結婚が成田離婚に終わらないように我々は日々思考を続ける
で あるが 結婚であるからして、そのスタイルは通り一遍である必要はないのである
加減乗除の様々なマリアージュがあってしかるべきである
その際考慮すべきなのが
「自分がどのような環境にあり、顧客のニーズはどこにあり、
 クローズドの組み合わせなのか連続性の中での組み合わせなのか」という点である

bon,bon,bon.
je suis d’accord que tu as fait beau travail, niveau de combinaison était parfait,
par contre, t’as bien réfléci ou tu travail, quand tu travail , pour qui tu travail…

まず環境
マリアージュにも
ーレストランマリアージュ 
ーワインバーマリアージュ
―ブラッスリー、ビストロマリアージュ
ー異種格闘戦マリアージュ
などなど色々ある
レストランならば ボトルでのオーダーなのか ペアリングでのオーダーなのかによって
求められるものが全く変わってくる 
で、あるが 最も重視されるのが 
「ワインが料理を引き立てるものであり、またワインはソムリエのコントロールのもとに置かれる」
ということである
細かく説明するとそれだけで紙面が埋まってしまうので、次回以降に折があれば触れていきたいと思う

ワインバーであれば
「ワインがあくまで主役 他の要素はワインを引き立てる為に成り立つべきである
 ソムリエのコントロール下に置かれる場合が主」

ブラッスリー ビストロの場合は
「どちらが優先されるかは顧客の判断如何によって流動的であり、
 また頻繁にワインは顧客の手にゆだねられる」

異種格闘戦の場合
「寿司とワインやお好み焼きとワイン カレーにワインなどコンセプトは流動的に尽きる
 ソムリエのコントロール下に積極的に置き、チューニングをすべきである」

この様に環境により大きく消費の方法や目的が変わるため
それに則した商材を取りそろえ、提案して行くべきである
簡単に言うとオーセンティックなレストランでメインに合わせてVieux papeオススメしたら変な目で見られるし、立ち食い焼き鳥屋でSalonのマグナム90年勧めてもしょうもない というお話
シチュエーションというのは大事なのである 本当に

 

消化と昇華

ワインを取り扱うという仕事
これはインプットとアウトプットを繰り返していく仕事であると思うのです
ワインの情報を得て購入して、アナライズをして販売する
極端に単純化すると上記の内容を反復が我々の仕事である
この中で情報を得る←インプット←消化である
ここであえて消化という言葉を使うのが、われわれの仕事の場合
客観的な判断がベースにはなるが、それと同様にあるいはそれ以上に重要視されるのが
発信者の主観的な判断である。要するにオススメ。
情報をインプットしてそこから他者に売るだけであるなら
我々の存在は必要ないし、意味がない。
が、嗜好品であり相対的な価値の競争に常にさらされているワインという商材の場合、
アウトプットする発信源の意思というのは非常に重要である。
そのため商材の情報(情報、アピールポイント、スタイル、味、魅力などなど)を
一度咀嚼した後嚥下、¨消化¨してそこから¨異化¨して自らの情報として
さらにそこから購入者に魅力的な情報に¨昇華¨せねばならない。
左から右に商材を受け渡すのではなく
我々という¨フィルター¨を通すことにより対象に渡す情報が
・正確に -全て渡すのではなく相手にとって必要な情報を
・魅力的に -取引される商材のセールスポイントを、踏み込んでいえば使い方、売り方を
・迅速に -常にフレッシュなデータを
選別されていなければならない。
どのような濾過の仕方になるかは状況次第であるが、
そこにこそ我々の存在意義があると私は考える。

 

~プロフィール~

建部 洋平(たてべ ようへい) 
北海道出身で1983年生まれ。調理士の専門教育をへて、国内で各種料理に携わる。
ブルゴーニュで調理師の研修中、ワインに魅せられてソムリエに転身。
ボーヌのソムリエコース(BP)を2010年に修了、パリ6区の「Relais Louis XIII」にて
シェフ・ソムリエを勤める。現在フリー。

 

 
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