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ブノワ・マルゲ ~調和を求めて~

2025年に行われたインタヴューより

1875年という非常に速い段階で、先駆者であったマルゲ家は、フィロキセラの被害から守るためブドウ畑に接ぎ木を導入した。ピノ・ノワールやシャルドネにアメリカ系の台木を接ぎ木するというアイデアは、当時からこんにちまで続く解決策だ。残念なことに、その数年後、フィロキセラの脅威に盲目であった影響力のある地方長官が、大手シャンパーニュ・メゾンに背中を押され、マルゲ家に対し、再びフランス系の台木でブドウ畑を改植するよう命じたのだそうだ。これによりマルゲ家は財政難に陥り、1880年頃にその所有地は売却されてしまう。シャンパーニュの全アペラシオンが、フィロキセラ禍に対する唯一の救済策としてこの”同じ技術”を採用するようになったのは、それから25年も経った後だった。その後、マルゲ家の次世代が新たに事業を立ち上げ、1905年に最初のシャンパーニュ・メゾンとしてのヴィンテッジがリリースされた。


この物語は信念と光を携え、シャンパーニュ地方において先駆的かつ影響力のある存在であるという「マルゲ」の現在の姿を今もなお表している。前例がない中、ブノワ・マルゲは、この地域の現在そして未来にふさわしい、シャンパーニュの新たな道を切り拓いているのだ。そのワインの比類なき表現は、オーセンティシティ(真正性)、存在感、そしてエネルギーを明らかにする。


アヴィズとランス大学での勉学を終えた後、5代目となるブノワは、様々なシャンパーニュ・メゾンで農業とワイン醸造を学び続けた。さらにはワシントン州にも渡り、ワインメーカーのポール・ホブスの下での収穫作業にも従事した。クロード・ブルギニョンやアンヌ・クロード・ルフレーヴの学校など、フランス全土で開催されるオーガニックやビオディナミのワークショップにも数多く参加する。


と同時に、彼はシャンパーニュ・ビオロジック協会に設立当初から関わっていくことになる。設立当時の総会員数は15人にも満たなかったが、ブノワは以下のように振り返る。「私は常に自然と近い存在でした。まだニコラ・ジョリーを知る人がほとんどいなかった学生時代に、彼のビオディナミによるブドウ栽培の著書の一つを分析していました。オーガニックやバイオダイナミックの考えをシャンパーニュに適用することは、私の魂と完全に結びついていると感じていたのです。私の人生の生き方そのものと同じように、ワイン造りに取り組む、と言ってもよいかもしれません」


そして2008年、彼は家族のドメーヌでデメテール(Demeter)認証を申請。
「認証とはひとつのコミットメントであり、私たちが長期的な視野で取り組んでいることを示すものです。人々があらゆる手段で情報操作される今の時代において、認証は消費者に対して物事を明確にしてくれるものです」


ブドウ畑の大部分(7.3ha)はアンボネ村に位置し、残りの0.7haは数キロ離れたブージィ村にある。ここ数年、ブノワは畑での病害管理の際の銅と硫黄の使用を減らすために、ハーブやエッセンシャルオイルを使用しています。「すべての農薬の散布時にハーブの煎じ液を使用しています。これらを準備するのはとても気分が良く、興味深い作業です。植物の採取から散布まで、チーム全員が参加するのです」
これに加え、主にグラン・クリュ格付けの村に住む、同じく認証を受けた友人のブドウ栽培家たちから購入したブドウからもシャンパーニュを生産しており、年間生産量は優良年で約10万本に達する。
ブノワの哲学の根底には、「食は薬である」という考えがあり、その下でワインを生産している。全体論的(ホリスティック)なアプローチを用いて、彼はこう語る。「…それは、自然の各要素(鉱物、植物、動物)が、私たちが想像する以上にはるかに複雑な方法で相互に結びついているということを意味します。それらはマグネタイト(磁鉄鉱)やシリカ(ケイ素)などを通じて互いにコミュニケーションをとっているのです。私の仕事は、あらゆる要素に神聖なものが宿っていると考え、その調和を意識的に尊重することです」


2010年、ブノワはブドウ畑の耕作用として2頭の馬も購入した。ブノワによれば、馬はスピリチュアルな動物であり、その存在自体がブドウ畑に本来のバランスを取り戻してくれると信じている。こんにち、すべての耕作はアーバン、ジャンパー、マーリンと名付けられた3頭の馬によって行われており、やはりこの地域では珍しいことだ。もちろん、ガチョウ、鶏、羊、ミツバチたちもチームの一員だとブノワは話す。
自然な農業は、セラーでの自然なワイン造りへと引き継がれる。収穫前ブノワは畑のブドウたちに、これから彼ら(ブドウたち)がどのようなプロセスを辿るのかを語りかける。収穫されたブドウは2,000kgおよび4,000kgのコカール・プレス機で優しく圧搾され、果汁は18〜20時間静置デブルバージュされた後、フレンチオーク製の木製樽へと移される。すべての果汁やワインの移動は、ワインのエネルギーを保存するために、元も自然な流れである重力(グラヴィティ・フロー)によって行われる。一次醗酵およびマロラクティック醗酵は野生の酵母、または乳酸菌で行われワインはボトリング(瓶詰め)まで、澱引きされずシュール・リー(澱と一緒に)の状態で熟成される。常に非常にポジティブな姿勢で作業に臨むブノワは、次にどのような工程が行われるかをワインに語りかける。亜硫酸の使用もごく僅かで、ボトリングやデゴルジュマンはすべて、月の満ち欠けのサイクルに合わせて行われます。


ノン・ヴィンテッジのワインは「YUMAN(ユーマン)」から始まり、次に「SHAMAN(シャーマン)」へと続く。単一村や単一畑から造られる数々のワインはすべてヴィンテッジ付きであり、ブルゴーニュと同様の哲学のもと、テロワールへの深い敬意をもってリリースする。プレスティージュ・キュヴェである「SAPIENCE(サピエンス)」は、もはやシャンパーニュを超えた、自然からの贈り物と言えるだろう。YUMAN(人間)、SHAMAN(癒す者)、SAPIENCE(賢者)は、覚醒と悟りに向かう進化の三部作を表している。

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