Quinta da Serradinha
キンタ・ダ・セッラディーニャ
造り手: |
António Marques da Cruz アントニオ・マルケシュ・ダ・クルス |
国・地域: |
Encostas d’Aire ポルトガル / リシュボア / エンコシュタシュ・ダイレ |
主要な使用品種: |
トゥリガ・ナシオナル(Touriga-Nacional) ティンタ・ミウダ(Tinta-Miuda) バガ(Baga) カシュテラォン(Castelão) |
ホームページ: | https://www.quintadaserradinha.com/ |
ワイナリー詳細: | ダウンロード(PDF) |
取扱いワイン詳細: | ダウンロード(PDF) |
キンタ・ダ・セッラディーニャについて
キンタ・ダ・セッラディーニャは、リシュボア地方エンコシュタシュ・ダイレに位置し、5代にわたりワイン造りを続ける家系のアントニオ・マルケシュ・ダ・クルスが率いる。経済学を学び、自動車部品メーカーに勤めていた彼がワイン生産者として転身を決意したのは、父が手がけた1989年のワインに感銘を受けたことがきっかけであった。2003年に専業となり、祖父の代に根差した酸と果実味を生かすワイン造りを志向した。畑は2.5ha、1952年から1999年にかけて植えられた区画から成り、父はポルトガルで初めて有機認証を取得した先駆者でもある。アントニオも「良いワインは良い農業から」と語り、農薬を避けて生物多様性を育む土壌づくりを重視してきた。セラーにはステンレスタンクや木桶、6〜24hlの樽を備え、実験的にアンフォラも使用。伝統と自然に根差し、補正を必要としないワイン造りを一貫して目指している。
リシュボアについて
このユーラシア大陸最西端のワイン生産地域は、「エストレマドゥーラ」とながらく呼ばれていたが、2010年にワイン生産地域が再編成されて「リシュボア」と改称され、9つのDOCに分かれている。協同組合が大規模にワインを生産する、テーブルワインの生産量も多い地域で、収穫量の多い品種が植えられやすい傾向にある。しかし内陸方面へ20km入れば標高300mに達し、寒暖差が大きく、絶えず風が吹き、キンメリジャンなどの粘土石灰土壌もありと、良いワインが生産される条件が整っていると言える。白品種のアリントとフェルナォン・ピレシュ、赤品種のマルセラン、カシュテラォン、トゥリガ・ナシオナルなど、多くの地品種が栽培されている地域で、伝統的には混植混醸されてきたが、シングルバラエティやシングル・ヴィンヤード産のワインも数多く生まれている。ポルトガルの中でも比較的雨が多い地域のため、白ワインも赤ワインも酸味と鉱物感を基調としたすっきりとした味わいのワインが造られやすく、これからも興味深い造り手の出現が期待できる地域。
ポルトガルについて
ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。 ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。 とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。