Boscarelli
ボスカレッリ
造り手: |
Luca & Nicolò De Ferrari ルーカ&ニコラ・デ・フェッラーリ |
国・地域: |
Cervognano イタリア / トスカーナ / モンテプルチアーノ / チェルヴォニャーノ |
主要な使用品種: |
プルニョーロ・ジェンティーレ (Prugnolo Gentile) |
ホームページ: | https://www.poderiboscarelli.com/ |
ワイナリー詳細: | ダウンロード(PDF) |
取扱いワイン詳細: | ダウンロード(PDF) |
ボスカレッリについて
ボスカレッリは1962年、エジーディオ・コッラーディがモンテプルチアーノ東部チェルヴォニャーノ地区に放棄された農園を購入したことから始まった。国際取引の仕事を続けながらも故郷で高貴なワインを造る夢を抱き、その志を娘パオラと夫イッポリートが受け継いだ。古い牛舎を改修して最初のセラーを整えたが、1983年にイッポリートが急逝。パオラは二人の息子ルーカとニコロを育てながらワイナリーを守り、後に兄弟が家業に加わることで「革新と伝統の調和」を掲げた新たな歩みが始まった。畑は標高約300m、砂礫質の土壌に広がる15haで、サンジョヴェーゼ(プルニョーロ・ジェンティーレ)を中心に土着品種と国際品種を栽培。収穫は区画ごとに分けて醸造し、最終的にアッサンブラージュされる。セラーでは野生酵母発酵と穏やかな抽出を重ね、熟成にはセメントや大樽を使い分ける。看板ワインのヴィーノ・ノービレや単一畑の「イル・ノーチョ」は国際的にも高い評価を受け、素朴さとエレガンスを併せ持つボスカレッリの精神を体現している。
モンテプルチアーノについて
イタリア全土でも屈指の銘醸地としての歴史と栄誉を誇る町。9世紀のブドウ畑の権利譲渡に関する書類、16世紀ローマ教皇食料番による「教皇が偏愛する完璧なワイン」との記述も今に残る。町はモンタルチーノから東北東に25kmほどの内陸部。一般的には土壌はより粘土がちで固く、平均気温もモンタルチーノよりやや低い。かつてM・クレイマーは「トスカーナの名のあるワインの中でも、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノほど品質の落ちぶれたワインはない」とまで書いた。しかし、2010年前後からの品質指向の徹底と、国際品種ブレンド率の低減で、今やこの地域は“高貴な(=ノービレ)”サンジョヴェーゼの産地として、最も注目すべき産地の一つに生まれ変わったと言っても過言ではない。ゆえM.W.ニコラス・ベルフレージの「モンタルチーノのワインはモンテプルチアーノのそれより値段が2倍高い。だが美味しさも2倍だろうか?」という問題提起は、年ごとに重みを増している。
トスカーナについて
サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。