コンセプト2
ラシーヌの”Don't” = (しないこと)
常に厳しい味覚審査をパスしない商品は扱わない | 並行輸入品を扱わない | 返品にされた商品は販売に供さない |
デパートの催事に参加しません | 虚偽の情報を流しません | 最後に |
常に厳しい味覚審査をパスしない商品は扱わない
商品開発を担当するのは、ご存知のとおり合田と塚原です。
産地(あるいは産地と同等の条件の地)でもって二人による妥協のない味覚チェックと同意をへないワインはむろん取り扱いません。
また、扱い始めた後でもテイストと品質の低下がうかがえた場合は取扱いを中止します。
たとえ開発に時間をかけ手間をかけてご紹介し、すでに市場で認知・受容されているワインであっても生産者側の原因によってワインの味わいと品質、個性 が好ましくない方向に転じた場合は過去のマーケティング投資(ブランド/市場育成努力)が無駄になっても扱いを中止したことが少なからずありました。
扱い中止の背景には、必ず明確な理由があるとお考えください。
並行輸入品を扱わない
輸入されたワインの味わいとコンディションは産地での味わいと同等であるのが理想ですが、その実現に近づくのは不可能ではありません。
そのためにはまず生産者と信頼関係を築き上げて正規輸入代理店となり、生産者が蔵出ししたワインしか扱わない方針を貫くことです。
逆にいえば、グレイ・マーケットや並行市場に出回るワインの身許は不確実であって、どのような経路をたどり、いかなる輸送・保管条件のもとにあったかが保証されません。
それだけでなく私たちは、産地国の流通市場からワインを調達することはありません。
ワインは移動するたびに品質が影響を受けるのですが、残念ながらこの国では酷い損傷を被った並行品にしばしば出会います。
それが、ラシーヌの扱っている商品の並行ものである場合ならなおさらのことオリジナルとの落差に愕然とし生産者の名誉を汚すような行為にたいして憤然とせざるをえません。
返品にされた商品は販売に供さない
いったんお客様の元に届けられてから、誤出荷であることが判明し、ラシーヌの倉庫に返品されるという事故が、まま起きます。
このような往復運動をさせられたワインは外見上いかに健全であろうと、程度の差こそあれダメッジや品質劣化を免れません。
こういうワインをラシーヌは他のお客様に転売するわけにはいきません。
可哀想に返品の憂き目に会ったワインは販売店やレストランで消費者にお目どおりする機会を奪われ、造り手には申し訳ありませんが
、料理用に格落ちされる運命にあるのです。
デパートの催事に参加しません
デパートでの「○○○○展」と銘打った華々しい催事とか別種の大掛かりなイベントでは、会場の温度や照明のため早々に品質劣化が
生じやすいものです。
そのため購入されたお客様や試飲された方の期待を裏切るおそれがあります。
わけてもデパートの催事では売れ残った商品の返品が通例化しているため、返品された商品は上記③と同じ理由によって当社としては
再販売することが不可能です。
このような事情のため消費者と接触する大切な機会を失うのは残念ですが、この種の催事には参加しないことにしています。
虚偽の情報を流しません
商品の「価値」を高め、「イメージ」を上げるため広告やクチコミによって、生産者や商品あるいはヴィンテッジなどに関して、
偽りまたは不正確な情報を流布させることがありがちなものです。
ワインの生産国や他の消費国では通用しないような、えらく噴飯モノの偽情報(ガセネタ)がどうやら意図的に日本国内に
流されていたことが過去にあり、いまだに訂正もされていないようです。
また、なぜか日本のジャーナリズムだけが不当に高くあるいは歪んだ評価を下している生産者や商品があるようです。
私たちは自社の扱い商品について自画自賛を慎み、不正確な情報やミスリーディングな情報を流すことのないよう自戒しています。
いまや誰でもインターネットでもって容易に信頼できる筋の(探しだせる人には)きちんとした評価が得られるのですから。
最後に
……と、「しない・しない尽くし」は続きますが、この辺で切り上げましょう。
私たちラシーヌがワインの品質にかける情熱について語りだしたら、キリがありません。
なお、参考までに手短にワインの味わい品質とコンディションの関係を図式化すれば
” ワインの味わい = 品質 × コンディション “
というのが、私たちの考え方です。
ちなみに、「品質」とはテロワールの可能性を実現するために生産者 の哲学・知恵・技術と努力がワインに結晶したものです。
また「コンディション」とは、オリジナルのワインが体現している(現在の)状態と(将来の熟成 などの)可能性からの乖離度(距離)である、
とお考えください。
もし、この図式が妥当するとしたらあるワインに固有の品質とコンディションのどちらか 一方にでも問題がある場合には、
必ずやそれがワインの味わいに反映されるということになります。
逆にいえば、美味しいと思われないワインにはその理由 があるはずなのです。
舌足らずではありますが、以上のような説明でもってラシーヌらしさの一端をご理解いただければ幸いです。
このような根本精神あるいは原点に立ち返って2010年に私たちはさらに前進することをお約束いたします。
イタリアでは今年のラシーヌの花形となるこ とを約されているヴァルポリチェッラがすでに出立の用意を整えています。
詳しくは今後のラシーヌ便りなどでお伝えしますのでご期待ください。
(株)ラシーヌ 代表取締役
合田泰子/ 塚原正章