Van Volxem
ファン・フォルクセン
造り手: |
Roman Niewodniczanski ローマン・ニエヴォドニツァンスキー |
国・地域: |
Wiltingen ドイツ / モーゼル / ザール / ヴィルティンゲン |
主要な使用品種: |
リースリング (Riesling) |
ホームページ: | https://vanvolxem.com/ja/ |
ワイナリー詳細: | ダウンロード(PDF) |
取扱いワイン詳細: | ダウンロード(PDF) |
ファン・フォルクセンについて
18世紀のイエズス会修道院の所領を、フランス革命後にトリーアの実業家グスタフ・ファン・フォルクセンが購入し、1900年頃には世界的な名声を誇っていた醸造所。しかし20世紀末に経営破綻し、2000年初めに現オーナーのローマン・ニエヴォドニツァンスキーが購入。膨大な設備投資と徹底した品質管理で、醸造所だけでなくモーゼルのリースリング全体の名声復活に大きく貢献した。購入当初13haだったブドウ畑は現在約85ha。品種は95%がリースリング、残りがヴァイスブルグンダー。優れたワインを産するブドウ畑の遺伝的素質を守るために、房が小振りで粒が小さく、自然に収量が低くなる苗木を畑から選抜して植樹している。古木を重視し、辛抱強く完熟を待ち、地域で最後に収穫を終える。徹底した選果を行い、醸造所で粒選りして完璧を期している。収量は30~40hℓ/ha。醸造には少量の亜硫酸以外の添加物を一切用いず、ステンレスタンクとアイフェル山地に自家所有する約5000haの森から切り出した木材で造った容量120~2400ℓの木樽を使い、野生酵母で発酵する。主力は辛口からオフドライのリースリングで、瓶詰め直後は繊細だが2~3年熟成すると見違えるほどの複雑さと奥行きを現す。2019年に新たな醸造施設が完成し、ザールの忘れられた銘醸畑オックフェナー・ガイスベルクの再興に取り組んでいる。
ザールについて
直線距離にして12kmあまりのこぢんまりとした地区だが、シャルツホーフベルクなどの著名なブドウ畑があり、19世紀には資産家や政治家達の所有する畑のワインが、競売で高値で落札された。モーゼル川の上流に河口があり、ブドウ畑の麓の標高はモーゼル川沿いの畑よりも約20~80m高く、リースリングが辛うじて完熟するほど冷涼な限界栽培地域であった。川に沿って向きを変えたり、絶壁のような急斜面だったり、ザール川から離れた内陸部にあったりと立地条件も様々で、主な土壌である粘板岩も所により鉄分を含んで赤味を帯びたり、ごく細かい細片となったり、火山性のディアバスが混じったりして多様である。冷涼な気候による繊細な酸味が味わいに立体感を与え、透明感があり、複雑で多様な高貴なリースリングが出来る。モーゼルと同様に1990年代まで販売と評価は低迷していたが、現在は何十年も耕作放棄されていた畑が整備されるなど活気を取り戻している。生産者同士の仲も良く、8月最後の週末のワイン祭りは各地から訪れる大勢の人々で賑わう。
モーゼルについて
モーゼル川はフランスのヴォージュ山脈に水源がある。ルクセンブルクを通過してドイツに入ると、それまで比較的まっすぐ流れていたのが蛇行をくりかえすようになり、やがてライン川に合流して旅路を終える。ドイツのブドウ畑はルクセンブルクとの国境から始まるが、ザール川との合流地点までの地区を「オーバーモーゼルObermosel」、そこからシュヴァルツカッツ(黒猫)で知られるツェルの手前までを「ミッテルモーゼルMittelmosel」、ツェルから河口までを「ウンターモーゼルUntermosel」と称するが、この下流域は極めて急な斜面に段々畑のようにブドウ畑があることから「テラッセンモーゼルTerassenmosel」(テラス状の畑があるモーゼル)とも称する。そしてザール川やルーヴァー川など、モーゼル川支流の渓谷にも優れたブドウ畑があることを忘れてはならない。この生産地域全体を特徴づけているのは、約4億年前のデヴォン紀に生成した粘板岩(英語:Slate、ドイツ語:Schiefer)土壌の急斜面のブドウ畑で栽培されるリースリングである。冷涼な気候による気品のある酸味と甘味のバランス、ブドウ畑や生産者により異なる様々な風味が魅力となっている。
ドイツについて
ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。