ラシーヌ・オフィス便り vol.20

2011.2   担当:西

1月8日:ラシーヌ・新年会 (@ラシーヌ・オフィス)

毎年恒例、ラシーヌ・オフィスにて新年会を実施。高松の白味噌をつかった優しくあたたかい味のお雑煮をはじめ、関西から取り寄せた野菜や築地で仕入れた魚が、彩り豊かに並びます。様々な食材と、様々な生産者のワインに元気をもらい、ラシーヌ・スタッフ一同、気を引き締めて新しい年のスタートをきりました!


1月12、17日:デバン立会い

ラシーヌでは、新着ワインの管理/到着/納品状況を確認するため、倉庫でのデバンに、仕入れ担当者が毎回立ち会っています。


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フランスでは、今月末、いよいよ自然派ワインの大試飲会:ルネッサンス・デ・ザペラシオン&ディーヴ・ブテイユが開催します! この機会に渡仏される方も多いのではないでしょうか。そこで、去年訪問させてもらった生産者を不定期でご紹介していきます。


生産者訪問記 vol.1 ~マルク・アンジェリ~

思わずうっとりしてしまうほど、果実のエキスが美しく溢れるマルク・アンジェリのワインは多くの人を魅了する。彼と彼のワインが育つドメーヌに大きな期待を抱いての訪問。
ドメーヌに到着すると、まっすぐなまなざしと笑顔で出迎えてくれたマルク。早速、畑へ案内してもらい、その畑を目の当たりにすると、思わず見とれてしまうほどの美しさだった。

まず驚いたのは、“土の状態”。真冬で凍りついているはずの土も、あらゆる栄養をたっぷり吸収できるよう、ふかふかに耕されている。そして、その土にそびえ立つ“ブドウの木々”。ブドウを支えるワイヤーがなく、1本1本のブドウが自立していて、まるで人間の手のような形。天に向かって伸びるその枝の周りには、空気が循環し、今後、青々と茂る葉っぱやブドウ、またその翌年に実をつける未来のブドウにとって、いい栄養を与えるよう考え抜かれた剪定をしている。これらは、日々のたゆまぬ手入れの賜物。ここに、彼のワイン造りとテロワールに対する真摯な姿勢が、全て現れているように感じた。


「ぼくたちは、土を殺してはならない。ただそれだけ。
畑での仕事は、まさに力仕事。ミレジム、区画、それぞれの内容が全て違う中での畑仕事は、毎日違う発見がある。
そうした日々の中で、いつも自問自答を繰り返し、ワインを造っていく。
ぼくたちは、お金儲け主義のワイン醸造家ではなく、1人の“農民”なんだ。」と話す。

1996~97年頃のロワール地方で、ビオディナミ栽培を行っていた生産者は、ごく僅か。それが、彼らの考え方に共鳴する生産者が徐々に増え、現在では多くの生産者が、この栽培方法を実践し認証を取得している。
(※ルネッサンス・デ・ザペラシオンに参加する生産者のうち、ロワール地方の生産者は40名以上) ここにもマルクの地道な活動が影響を与えている。

「ビオディナミでワインを造る生産者が増えることは素晴らしい。
ただ現実には、品質の前に、テロワールのブランド力のおかげで、悪い品質でも高く売れるワインがたくさんある。ロワール地方で、容易ではないビオディナミ栽培をしながら、どんなに良い品質のワインを造っても、その単価は安い。そのうえ、その素晴らしさを多くの人が知らないために、ワインが売れていないことは問題だと思う。だから、ぼくたちは、その素晴らしさを知らせるために、“無料”でサロンを開きつづけている。」という。

1人の“農民”である彼の言動は、ワインを造るという自分の領域を超えて、同じ志を持つ仲間とワイン、また自分たちをとりまくあらゆる環境(ワイン市場、自然環境保護など)に対し、静かながらも胸のうちに秘める情熱が溢れている。そして、そんな彼と会話をしていると、相手が選ぶ“言動”の真意を汲み取るためには、その人の常日頃の“考え(哲学)”が大きく影響していることを実感する。国籍や言語の違いは関係なく、少ない言葉でも、『何を伝えたいのか』という気持ちや表情が大事だと気づかされる。
ひたむきな姿勢、研ぎ澄まされた感覚、強い意志・・・彼の多くの魅力がワインに写りこんでいるのかもしれない。今回の訪問で、彼と彼のワインの魅力のルーツに触れることが出来た気がした。

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