『ラシーヌ便り』no. 9

2006.4  合田泰子

 10 年来、毎年4月はヴィニタリーに行っており、今年も4月4日からヴェローナにまいります。例年と異なり、今年は桜の開花が早いので、久しぶりに桜を楽しむことができました。ところで、先月からご案内を始めました、アンセストラの「ロゼ・ペティヤン・ナチュレル」はいかがでしたか。おかげさまで試飲販売の評判もよろしく、多くのリピートのご注文をいただき、スタッフともども感謝しております。

 さて、今月はスペイン、イタリア、フランスから続々とコンテナが到着します。まず、スペインから。新入荷の造り手―ビエルソの《カストロヴェントーサ》と、フミージャの《オリヴァーレス》、プリオラートの《クロ・バルトロメ》―、および新ヴィンテッジの《J.パラシオス》と《アタウタ》の到着です。詳しく は、生産者説明をお読みください。新入荷の造り手は、クオリティが高いことは言うまでもありませんが、当社取り扱いワインのなかでも、とりわけ重要な存在となること間違いありません。なお、昨年来スペイン大使館商務部によるスペイン・レオン県のプロモーションに伴い、『ウォンズ』、『ヴィノテーク』、『醸造新聞』など各誌紙で、《J.パラシオス》と《カストロヴェントーサ》が大きく紹介されています。是非ご参照ください。

 イタリアからは、まず、《サンテ・ベルトーニ》の新ヴィンテッジ版オリーヴオイルです。そして、おなじみ《ジュゼッペ・ラット》の新ヴィンテッジですが、レ・オリヴェ2003は猛暑で生産量が少なかったため、30csだけの入荷です。
 本年2月に本邦初のご紹介となった《フィリッピ》のソアーヴェは、大好評のうちに品切れとなりましたが、同一ヴィンテッジが再入荷いたしました。可憐で優雅な《フィリッピ》の味わいは、一時期もてはやされた濃厚な新スタイルのソアーヴェと全く正反対のスタイルです。かつての《ピエロパン》にも通じる洗練性をそなえ、ソアーヴェらしさを失わずにエレガントなアフターを保つため、食事のよきパートナーとして、早くも都内イタリアン・レストランで広まり始めています。

 フランスの新入荷で私の一番のお勧めは、《イヴォン・メトラ》フルーリ2004と、《マルセル・リショー》コート・デュ・ローヌ・ケランヌ・サン・スフル2004です。ともに年一度の入荷で、数に限りがありますので、お急ぎください。2004年は、ボジョレとローヌ両地区にとって決して良年ではありませんが、2月にロワールのサロンで再テイスティングし、二人の偉大な造り手の腕の高さと魅力あふれる味わいに、あらためてノック・アウトされました。造り手 たちの間でも別格視されている両名ですが、《ティエリー・アルマン》、《ディディエ・バラル》、《ジェローム・プレヴォー》、(当社扱いではありません が、コルビエールの)《マキシム・マニョ》たちとの交流ぶりには、ほほえましいものがあります。すぐれた造り手たちの相互間に認められる尊敬をふまえた絆と、最後にはバカ騒ぎで終わる友情を、かたわらで私も長くみてまいりました。「一ランク上に抜けたワインにある、自由な味わい」という表現は、あまりにも抽象的かもしれませんが、この二人(アルマンとバラル)のワインには、心より賞賛の念を感じずにおれません。
 そして、例年安定した高いレベルのワインを造る《ジャン・ガロデ》です。その2004年も入荷しました。ジャン・ガロデその人によれば、「2004年は 2001年に似て、かたさがなく早いうちからおいしく飲める。そのうえ15年間は熟成するポテンシャルを備え、エレガントなスタイルである」とか。彼の 2001年は現在、澄んだ甘い香りがあふれ、くどさのないセクシーな甘さが魅力で、都内のワインバーで大好評を呼んでいます。2004もマイナーなイメージを払拭するような仕上がりです。
 8月にポマールとヴォルネは酷い雹害にみまわれました。一般に雹害にあうと、味わいはドライでタニンがざらつき、香りに酸化臭が現れるものですが、 《ジャン・ガロデ》の2004にはその片鱗もありません。8月中に畑で、雹害にあった実を取り除いて健康なブドウが腐らないように十分な手当をした結果、 残ったブドウで高いレベルに仕上がりました。《ジャン・ガロデ》のワインをご紹介するようになって、15年になりますが、彼のワインに裏切られたことは一度もありません。ボーヌの造り手でありながら、ニュイを思わせるようなきれいな酸に支えられたみずみずしい味わいは、長年私がブルゴーニュをテイスティングする際の貴重な指標でした。今年も、自信を持っておすすめします。「Believe me ! 飲まないと損をしますよ」

 ?㈱ラシーヌは現在6人体制となって、はや1ヶ月が過ぎました。まだまだ至らない点はありますが、皆様に期待され、喜んでいただける「クオリティ・ワイン専門のインポーター」となるよう、一層努力してまいりたいと存じます。どしどしご意見・ご要望をお寄せいただきますよう、お願い申し上げます。

合田 泰子

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