『ラシーヌ便り』no. 89

2013.3  合田泰子

《合田泰子のワイン便り》

 今年の冬は、ことのほか寒さが厳しいですね。フランスは、昨年12月から本年1月にかけて暖かく、どうなることかと心配していました。が、1月下旬から寒波がおしよせ、雪が積もったという連絡が、何人かの造り手から連絡が来ています。春はもうすぐ。空の色にも明るさを感じられるようになってきました。

 さて、移転を待ちわびていた  新倉庫に、ようやく引っ越しが 完了しました。新設された申し分なく機能的な空調設備と、ワインにとって居心地のいい空間、正確でチームワークがとれた情熱的な部隊が、ワインの到着を心待ちにしているところです。そこに、春先にぴったりのペティヤン、ロゼ、優しい味わいのオーストリアとロワールの白ワインが続々と入荷しはじめました。今月も、盛りだくさんのご案内ですが、じっくりご検討ください。

1) 倉庫移転狂想曲 ラシーヌ創立10周年 大行事 その1
 川崎・東扇島への倉庫移転が完了しました。2月16日、寒風吹きすさぶ中、早朝からスタッフ総出で、寺田倉庫と清和海運 東扇島倉庫の二手に分かれ、出庫と入庫に立ち合いました。およその想像はついていましたが、移転作業の全体について感想は、もっと手際よくものごとが運べたのではなかったかと実感しています。作業に手間どったのは、単純にワインの物量のせいではなくて出庫する旧倉庫側でパレット積みの方法と手順、引き渡しの手際に問題があったとしか考えられません。せっかく大型定温トラックを連日数台も準備してあったにもかかわらず、荷姿のため積載効率が悪く、しかも寒風のなかでの無駄な待ち時間が続いたので、輸送だけのために3日もかかってしまいました。

 また、各パレットの内容に関する正確な情報が、事前どころか、同時にすら荷物に添付されておらず、新倉庫と荷主の双方に(しかも、今なお)完全に送付されていないという事情のため、受け入れ側の倉庫では入庫作業にえらく手間がかかり、正確な新ロケーション情報を付した在庫リストの作成が大幅に遅延し、ラシーヌのお客様にも迷惑をかけることになってしまいました。新倉庫では、受け入れ後も正確を期すために、全作業員が総がかりで土・日をついやして、すべてのパレット内容を点検している最中とのことで、ほんとうに頭がさがります。

 もちろん、倉庫移転が大作業であることは事前にわかっていたので、関係会社(荷主、新・旧倉庫、運送会社)の責任者が顔をそろえて、何か月も前から協議し計画していたとのことですが、現実にはうまくいかないことなどもやはり出てくるのですね。言いにくいことですが、倉庫業者の体質と、積年にわたるその残務や作業のツケが、たまたま移転の際に重なって大事に至ったのでしょうか。なお、ここに記した感想と意見は、倉庫移転にかかわったラシーヌ全社員と、輸送会社と運転手、新倉庫の関係者たちが一様に指摘しているということを、付け加えておきます。

 さて、新倉庫に移転した予想外のメリットは、社員全員で新倉庫のスタートに取り組めたことです。私たちは普段、保管・出荷作業を外注していますが、これまでにも多くの社員が倉庫内で実作業を経験しています。しかし今回は、あまりにも到着したパレットのワインが混然としているだけでなく、パレット内容に関する情報が実物と乖離していたため、そのままではスムーズに入庫できないだけでなく、結果的に引き継いだパレット(在庫)情報が不正確なために、出荷作業がとどこおってしまいました。かといって、お客様にご迷惑をおかけするわけにはいきませんので、 急遽ラシーヌ社員も倉庫の作業員の方々に加わって、出荷対象ワインを新倉庫の棚から探す作業をいたしました。ワインビジネスの重要な仕事である、保管・出荷作業を身近に実感できたことは、今後倉庫との共同作業を円滑に進めていくうえで、気持ちを一つに良い仕事ができていけると思います。倉庫環境だけでなく、出荷に伴う業務の一層の向上に向けて努力してまいります。

2)本年の新しいご紹介・第三弾  《ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ 》 
(フランス / ブルゴーニュ / マルサネ)

 コート・ドールの北端、ディジョンの南わずか数kmに位置するマルサネ。とかく、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュの高質なものと比べられて、骨格や厚みが乏しく、評価されることが稀な地域。
しかしながら、この地でも世代交代のさなかに、素晴らしい造り手が登場しました。まさに、「呉下の亜蒙にあらず」(三国志演義)で、旧容を一新しての登場です。温暖化に伴い、コート・ドール北端のこの地は、好ましい環境に変化していることもあり、一昔前のイメージをがらりと変えてしまうような、マルサネのご案内です。

 シルヴァン・パタイユ(33歳)は、シュノーヴ村に数代続くブドウ栽培の家に生まれました。小さな頃から祖父の そばに張りつき、畑で遊び、セラーで樽をころがすのが何より好きで、自然にワイン造りの道に入りました。しかし、自ら醸造・ビン詰をしたのは、シルヴァンの代になって初めてのことです。1997年から醸造コンサルタントを始め、1999年に1haに満たない大変古い畑(マルサネ・ルージュ・ラ・モンターニュ)を祖父から引き継ぎ、2001年にドメーヌ・シルヴァン・パタイユを興しました。

 醸造コンサルタントとしての才能は評価が高く、現在15ものドメーヌで、コンサルティングを行っていますが、自身のドメーヌの栽培面積は15haあります。ほとんどの畑は、賃借契約ですが、コンサルタントの仕事のおかげで、人脈に恵まれ、樹齢の高い恵まれた畑を契約しています。

 2008年からは一部ビオディナミで栽培を始め、野生酵母で発酵、清澄をせず、軽く濾過をしてビン詰をします。
味わいの奥に温かさとエネルギーを感じさせ、ミネラルがしっかりと味わいを支え、緯度の高さからくる涼やかさが あります。派手で濃縮された技巧的なピノ・ノワール酒とは程遠くて、バランスがよく、美しい果実味を備えた繊細な味わいが身上です。亜硫酸の使用量も大変低いため、一口味わっただけで、自然派の考えで造られた完成度の高いワインであることがわかります。とりわけ、樹齢の高い最上のプロットから生まれる《ランセストラル》は、シルヴァンの腕の素晴らしさを感じとることができます。全梗で、2年に及ぶ醸造で造られ、マルサネよりはるかに格上のワインと、ブルゴーニュの専門家の間でもっぱらの評判です。良いコンディションを保ち、持ち味を存分に発揮できるように、注意深く扱えば、きっとブルゴーニュの新たな味わいが目の前に現れ、驚きに満ちた喜びを感じることができること、間違いありません。私は、このワインの到着を、毎日心待ちにしていました。通関が切れ次第、スタッフ一同で味わうことを楽しみにしています。だって、本当はピノ・ノワール酒が大好きなのに、なかなか、心に響く味わいに出会えなかったのですから。

3) 自根ブドウ産ワインの魅力
自根ブドウ
ヴィティス・ヴィニフェラ種
呼び名
[フランス] ヴィーニュ・フランセーズ 、 フラン・ピエ
[イタリア] ピエ・フランコ=ミケ

 「このバローロを味わってごらん。アメリカ産品種の台木に接ぎ木していないネッビオーロの苗木を、私が自分で畑に植えて造ったバローロだよ。この柔らかさには、他のバローロでは決して出会えないだろう。私は自分に問いかけてみるんだ。 『昔のワインは、今のワインよりも柔らかかっただろうか?』と。現代は、100年前より良い物を食べているといえるのかな? これまた、よくよく考えてみなければわからない。フランス革命やロシア革命の後もそうだったように、急激な変革のあとに復古の時期が訪れる。革命と違って、伝統は物事をゆっくりと少しずつ変えていく。馬に代わる動力としてエンジンを備えた自動車も、その概念自体は馬車とたいして変わらないのだ。」
とテオバルド・カッペッラーノが言ったことを、今もはっきりと覚えています。

 カッペッラーノの「Barolo - Otin Fiorin Pie Franco - Michet バローロ オッティン・フィオリン ピエ・フランコ=ミケ」は、セッラルンガにある畑で、今なお栽培されています。そもそもバローロ地区では、自根ブドウを植えることは禁止されています。が、この小さな区画は、フィロクセラが来ないので、テオバルドが植えかえるときに、自根ブドウの根だけを残して、それに接ぎ木をしました。樹齢はキュヴェ・ルペストリスよりも若いですが、根は古い樹の自根です。

 このように、自根の畑を持っている造り手は、大切に自根のブドウを栽培し続けています。自根のブドウで造られたワインは、後味が澄んで、繊細で長い余韻が続き、何とも言えない独特の深さを感じることができます。フィロクセラ禍を免れることのできた、特殊な孤立地帯や、非常な乾燥地と砂地では、今なお100年を超える樹齢のブドウが栽培され、植え替えるときには、可能なかぎり自根のブドウを植え続けています。

 ラシーヌでは、今のように自根ブドウが、もてはやされるようになる前から、自根ブドウが貴重で味わい深いことに気づいていましたので、ヨーロッパ各地で意識的に自根ブドウ産のワインを探し求めてまいりました。おかげさまで、私たちが最上と考える自根ブドウ産ワインが、私たちのポートフォリオに数多く勢揃いいたしました。先に某ワイン 雑誌から、ラシーヌ扱いの自根ブドウ・ワインのリスト提供を求められましたが、紙面では低価格という制約があり、その全容をお示しすることができませんでしたので、この場を借りてご紹介したいと存じます。

―ドイツ/モーゼル
急峻なスレート土壌の畑にたくさんの自根のリースリングが残っています。ドイツでは、自根のブドウを 植えることは禁止されていますが、ファン・フォルクセン醸造所は新たに、自根ブドウを植え続けています。

Clemens Busch クレメンス・ブッシュ
○Riesling Marienburg Felsterrasse リースリング マリエンブルク フェルステラッセ

Daniel Vollenweider ダニエル・ファレンヴァイダー
 ○Wolfer Riesling ヴォルファー リースリング<大半は自根>
 ○Goldrube Riesling  ゴルドルーベ リースリング <大半は自根>
 ○Schimbock Riesling  シムボック リースリング <大半は自根>

Weiser Krunstler ヴァイサー・クルンストラー
○Trabener Gaisphad Riesling Kabinett Trocken
トラベナー・ガイスファド・リースリング・カビネット・トロッケン

Van Volxen ファン・フォルクセン
※自根の比率は異なりますが、すべてのワインが、自根のブドウを含んでいます。
 ○Saar Riesling ザール・リースリング
 < 50%接木、50%自根(契約農家の栽培によるブドウ)>
 ○Alte Reben Riesling アルテ・レーベン・リースリング<大半は自根>
 ○Wiltinger Braunfels ヴィルティンガー・ブラウンフェルス
 < 70%接木、30%自根>
 ○Shartzhofberger シャルツホーフベルガー (Grand Cru) 
 < 80%接木、20%自根>
 ○Volz フォルツ (Grand Cru) < 20%接木、80%自根>
 ○Wiltinger Kupp ヴィルティンガー・クップ (Grand Cru)
 <樹齢:100年に達する古木を含む/大半は自根>
 ○Scarzhofberger Pergentsknopp シャルツホーフベルガー・ペルゲンツクノップ
 <樹齢:70年に達する古木を含む/大半は自根>
 ○Kanzemer Altenberg Alte Reben カンツェマー・アルテンベルク・アルテ・レーベン
 <樹齢:100年に達する古木を含む/大半は自根>
 ○Wiltinger Gottesfuss Alte Reben ヴィルティンガー・ゴッテスフース・アルテ・レーベン
 <樹齢:1880年に植樹されたブドウ畑で、最も古いものは樹齢130年に達する/大半は自根>

―フランス
産地全体で大きく自根の畑が残っているところはなく、造り手の意思次第で、自根ブドウが栽培されています。

Les Cailloux du Paradis(Claude Courtois)
レ・カイユ・デュ・パラディ (クロード・クルトワ)

 ○VdT – Quartz       クォーツ      (ソーヴィニヨン)<100%自根>

Le Clos de la Bruyere(Julien Courtois)
ル・クロ・ド・ラ・ブリュイエール (ジュリアン・クルトワ)

 ○VdF-Ancestral      アンセストラル  (カベルネ・ソーヴィニョン《100%自根》、ガメ)
 ○VdT - Franc de Pied  フラン・ド・ピエ   (カベルネ・ソーヴィニョン《100%自根》、ガメ)

La Ferme de la Sansonniere
ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール (マルク・アンジェリ)

 ○VdT - Vignes Françaisesヴィーニュ・フランセーズ
(フィロクセラを覚悟してマルク・アンジェリが植えた畑。2008年の収穫後、残念ながら接ぎ木に植え替え、 しかしわずか数年造られたヴィーニュ・フランセーズは、周辺の造り手に影響を与え、シリル・ル・モワンが シャルドネ・ヴィーニュ・フランセーズを造っています)

Domaine de montrieux ドメーヌ・ド・モントリュー
 ○VdT Rouge Verre des poetes   ルージュ・ヴェール・デ・ポエット (ピノ・ドーニス)

Domaine Gauby ドメーヌ・ゴビー
 ○Côtes du Roussillon Villages - La Roque コート・デュ・ルーション・ヴィラージュ ラ・ロック
  (グルナッシュ 樹齢80年)
 ○Côtes du Roussillon Villages - La Foun コート・デュ・ルーション・ヴィラージュ ラ・フン
  (カリニャン 樹齢120年)

―イタリア
 (シチリア) エトナのブドウ畑を知り尽くしているエトナ人こと、サルヴォ・フォティが造るイ・ヴィニェーリ。火山性の土壌にはフィロクセラ禍はなく、樹齢の高い宝物のような畑が守られています。サルヴォは、ワイン生産の衰退の途にあったエトナで、伝統を守る仕組みを造り、ワイン文化を未来に遺そうとしています。(以下、クラウディオ・ガッリーナ&岩崎幹子夫妻による『La Provincia di Biella 紙』記事 [2011年12月10日付掲載、抜粋] )

 10年以上前、エトナではブドウ栽培もワイン生産も衰退の一途にあった。小さな区画の段々畑にはアルベレッロ仕立てのブドウの木が並び、根元からよりそうように伝統的に栗の木の支柱をきっちりと立て、畑を仕切るのは溶岩石を積み上げるだけで築かれた伝統的な黒壁だった。重労働が待っているそんな畑を投げ出すものは時とともに増え、畑は丸裸にされて景観を損ったが、それに止めを刺したのはシチリア産ワインの流行で大手ワインメーカーらが土地購入を一気に進めたことだった。 彼らは、段々畑をまっ平らに整地し、土着品種から分かりやすく海外で売れやすい国際品種に次々に植え替えを行い、アルベレッロ仕立ての使用を止め、栗の木の支柱を引っこ抜くとおぞましいセメントの支柱を地面に突き刺した。サルヴォは、エトナの伝統的なワイン造りを遺すことを決意。1435年から活動していたカターニア地域のワイン生産組合『イ・ヴィニェーリ』を復活させると (注:中世の時代はギルド的なものだった)、 シチリア人からのみという制限を堅く守った中で若者を採用し、シチリアの伝統的なワイン生産をブドウ栽培から環境に悪影響のない道具選びまで、伝統的なワイン生産をまだ体で覚えている残り少ない老人たちから学ばせた。彼らは、ブドウ栽培はもとより農閑期には畑の修復や保全、あるいは石積みの壁を築いたり、果てはブドウの開花に香りの面から良い影響を生み出そうとハーブ類をブドウ畑で栽培するということにまでに至った。

・・・ある日、彼はトキワガシの林の奥にのびる道を走り去るネブロディ豚 (訳注:ネブロディ地域にいる半ば野生化した豚。捕獲し食用となる、ネブロディの名物) を見つけオフロード車で追っているうちに標高1400メートルにある 開けた土地に行き着いた。そこは眠るようにしてあるブドウ畑だった。そんな標高の高いところにブドウ畑があろうとは彼も思ってもみなかった。一人で世話をしていた老人によると、標高が高くブドウは完熟に達することができずにロゼワインになるといった。粘り強く説得を続けても畑を売ってくれようとしなかった老人だが高齢のためこれ以上は仕事ができないと悟った時点で、ラバを使って耕せと言い残し彼に畑を売り渡した。サルヴォはラバを飼うことにした。ラバの名はジーノ。イ・ヴィニェーリの有能なメンバーとなり仲間と一緒にシチリアのブドウ畑を巡って活躍している。

I Vigneri (Salvo Foti)  イ・ヴィニェーリ /サルヴォ・フォティ
 ○IGT Sicilia Bianco Vinujanku   シチリア・ビアンコ・ヴィヌヤンク
 ○IGT Sicilia RosatoーVinudilice
          シチリア・ロザート・ヴィヌディリーチェ
 ○Etna Rosso-Vinupetra    エトナ・ロッソ・ヴィヌペトラ

Marcarini  マルカリーニ
 ○Dolcetto d’Alba - Boschi di Berri
         ドルチェット・ダルバ ボスキ・ディ・ベッリ

Cappellano  カッペッラーノ
 ○Barolo - Otin Fiorin Pie Franco - Michet
         バローロ オッティン・フィオリン ピエ・フランコ ミケ

Tenuta di Castellaro  テヌータ・ディ・カステッラーロ
 ○IGT Sicilia - Bianco Pomice   シチリア ビアンコ・ポミーチェ

―スペイン
 スペインで、出会った最上の自根ブドウのワインは、2004年春に出会った、ドメニオ・ディ・アタウタ。一口味わって、社員一同感動のあまり、言葉を失ったほどでした。リベラ・デル・ドゥエロの見捨てられた一角アタウタに、プレ・フィロクセラのティント・フィーノ・テンプラニージョが価値を知る人もないまま、長らく放置されていました。アタウタ村の樹齢が高い最良の畑を集めて、全力を注いで品質志向一筋のワイナリー「ドミニオ・デ・アタウタ」が誕生したのですが、残念ながら、ブドウの価値に値するワインが造られたのはわずか3年、様子を見に行って、樽試飲をして取引停止を決めた時は、残念さが怒りに変わるほど悲しかったです。「世界遺産ともいうべき特別な畑から、この程度のワインしか造り出すことができないとは」、醸造所の崖下に佇むセラー廃墟群の上空高くを、鷲が群れをなして旋回するさまは忘れることなく、あの畑は今も大切に栽培されているのでしょうかと、時々思い出します。

Descendientes de J.Palacios デスセンディエンテス・デ・ホセ・パラシオス
ひときわ優良な自社畑から生産される、ごく少量のクリュ・ワイン(サン・マルティン、フォンテラス、モンセルバル、 ラス・ラマス、ラ・ファラオナ)のいずれも畑は、急角度で高度も高く、ミネラルに富むスレート岩に粘土層がまじり、 樹齢が大変高く、部分的に残る自根ブドウが大切に栽培されています。

Bodegas Olivares ボデガス・オリバーレス
フミージャの西北、トバッラ村にあるボデガス・オリバーレスはアペラシオンの北部「オヤ・デ・サンタ・アナ」 地域に、65ヘクタール超の接木をしない古いブドウ樹を栽培しています。この地は、海抜825メートルの高地に あるフミージャでもっとも冷涼な地域で、土壌は砂質と石灰質に富むため、フィロクセラ耐性があるだけでなく、 アロマ豊かなワインができます。

 ○Olivares Joven オリバーレス・ホーベン
(モナストレル(自根)75% グルナッシュ15% シラー10%)
 低価格でありながら、自根に由来する風味の豊かさを備えています。

 ○Dulce Monastrell 2008 (500ml) ドゥルセ・モナストレル (モナストレル)<100%自根>
 デザートワイン「ドゥルセ」モナストレル(自根)100%は、ブドウの実を木に付けたまま糖度を高めさせて 造られ、しばしば貴腐が生じて複雑な味わいをもたらします。スペインを代表する レストランと専門店に 扱われています。

―ギリシャ
 ギリシャの島々は、自根ブドウの宝庫です。
 初めてサントリーニ島産のハジダキス《キュヴェ15》を一口味わった時は、言葉を失いました。澄んだ味わいが 深く、稀にみる上質な味わいのなかに固有品種の個性があふれるとともに、真正な美質を発揮していました。ここ、サントリーニ島の火山性テロワールに恵まれ、フィロクセラ禍にみまわれなかった土地では、古代からの品種のブドウが今なお栽培されています。ヴィーニュ・フランセーズの宝庫である当地では、ブドウは驚くほど樹齢が高く、強風から守るために、地上低くにヘビのとぐろ状に仕立てられ、もちろん有機栽培が貫かれていることなど、極上のワインが生まれる基本的な要素がすべて揃っていることを、その時初めて知りました。2009年にギリシャ・ワインの輸入を始めて、4年、造り手たちとのコミュニケーションも深くなり、ワイン造りはよりよくヴァン・ナチュールに向かっています。サントリーニ島のハツィダキス、クレタ島のドメーヌ・エコノムはすべての畑が自根ですが、ケファロニア島には フィロクセラ禍が増えてきているために、ドメーヌ・スクラヴォスは、新たに植える畑は接ぎ木をしています。

Domaine Dalamaras  ドメーヌ・ダラマラス <NAOUSSA ナウサ>
 ○Naoussa - Vignes Franches ナウサ ヴィーニュ・フランシュ

Domaine Sklavos  ドメーヌ・スクラヴォス
<KEFALLONIA ケファロニア島>

 ○Vin blanc de Table ヴァン・ブラン・ド・ターブル
 ○Cubis blanc (3L BIB) キュビ・ブラン 3000ml
 ○VdT Efranor (εφρανωρ) エフラノール
 ○Robola de Céphalonie - Vino di Sasso
  ロボラ・ド・ケファロニア ヴィーノ・ディ・サッソ
 ○VdT – Metagitnion メタジトニオン
 ○Muscat de Cephalonie - vin doux du soleil
  ミュスカ・ド・ケファロニ ヴァン・ドゥー・デュ・ソレイユ 500ml
 ○Vin rouge de Table ヴァン・ルージュ・ド・ターブル
 ○VdT Orgion (οργιων) オリジオン

Domaine Tetramythos  ドメーヌ・テトラミトス
<PELOPONNISSOS ペロポネソス半島>

 ○Patras Roditis パトラス・ロディティス

Domaine Hatzidakis  ドメーヌ・ハツィダキス
<SANTORINI サントリーニ島>

 ○VdP – Aidani アイダニ
 ○Santorini - Cuvée No.15 サントリーニ キュヴェ・ナンバー15
 ○Santorini – Nikteri サントリーニ ニクテリ
 ○Santorini - Assyrtiko Sélectionné de Mylos 
  サントリーニ アシルティコ・セレクショネ・ド・ミロス
 ○Santorini - Assyrtiko de Pyrgos
サントリーニ アシルティコ・ド・ピルゴス
 ○Vinsanto (500ml) ヴィンサント 500ml

Domaine Economou  ドメーヌ・エコノム <CRETE クレタ島>
 ○Sitia シーティア


合田 泰子

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