『ラシーヌ便り』no. 77

2012.03  合田泰子

 

 

 厳しい寒さも和らぎ、春の兆しが心に優しく感じられる頃となりました。豪雪にみまわれた地域の方々のこの冬のご苦労はまだまだ続いていると思います。 事故なく、春が訪れるようにと祈らずにおれません。 ヨーロッパも今年は大寒波にみまわれました。1月12日にシャンパーニュから連絡があったときには、「1956年以来、もっとも冬が遅く、暖かい毎日で、このまま寒さがこなければ、心配だと」 聞いていました。 1月末になって、大寒波が襲来、ラングドックのレオン・バラルでも、氷点下10度以下になったそうです。ブドウ畑には、寒い冬が必要。冬しっかりと冷え込まないと、夏の畑の病気、うどん粉病や、特にベト病が蔓延するため、栽培家は寒い冬を喜びます。冬の寒さが、畑に潜んでいる病原菌の活動を閉じ込めてくれるのでしょうか。

 

 まもなく、3月11日を迎えます。 昨年、つぎつぎと起こった未曾有の大災害、東北の大地震、大津波、原発爆発、紀伊半島の大水害・・・ 。 本当に厳しい一年でした。今も困難の続く被災地の方々のことを思いますと、仕事を通して少しでも自分たちにできることをさせていただきたい、という思いでまいりました。
 ご存知のように、ヨーロッパの造り手たちからは本当に暖かな支援の申し出を頂戴しました。多くの貴重なワインを寄付いただきましたので、そのワインを活用するため、さまざまなチャリティーイベントに参加しました。 シャンパーニュのオリヴィエ・コランからは、わずかの本数作られました初出荷の番号つきマグナムのNo.1からNo.12本を、寄付していただきました。このシャンパーニュはいずれ、オークションの機会を設け、売上を寄付させていただきたいと思っています。 初の試みとなりました、カッペラーノのキナート・チョコレート。 その売上金額はすべて、被災地の育英会に寄付をさせていただきます。 ヴァレンタイン・デイに贈られたチョコレートにこもる愛の余波を、被災地の孤児のみなさんに届けたいというのが、私たちの想いです。
「同悲同苦(どうひどうく)」という言葉が、これほど重く響いたことはありませんでした。平和、安心・安全、絆、といった言葉がたくさんあふれましたが、なにより、身近な縁ある人びとと、無心に、互いの幸せを願って、今、時を同じくして生きていることの大切さ、重さを識ることから、新たな再生の一歩が始まるのではないでしょうか。いつも、笑顔で明るい面持ちで、まず、社内の絆を深め、一人一人がいい仕事を実現できますように努力し、前進してまいりたいと思います。 
今年は復活祭が早く、Vinitaly は3月24日から3月27日です。 さあ、春はもうそこまで。  合田 泰子

 


 

 

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