『ラシーヌ便り』no. 75

2012.01  合田泰子

 

 新年おめでとうございます。

 昨年は、ボルドー、ドイツ、オーストリアを3度にわたり訪問し、新しいワインの可能性をリサーチしました。 
少量ずつですが、始めていこうと心を定めさせくれる、しんそこ素晴らしいワインに出会うことができました。来る2012年は、創業して10期目を迎えます。様々な苦労を経験しながらも、たくさんの方々のご支援をいただき、ワインの世界を広げてまいることができました。当初は重点的に、フランス、シャンパーニュ、イタリアの内容の充実に努めてきました。が、図らずもギリシャのワインという宝庫に出会ったのに引き続き、昨年はリースリングとグリュナ・フェルトリーナという、私たちにとっては未知にちかい世界が広がっていった年でした。2012年には、そのワインたちが4月以降に入荷してまいります。
 営業案内に記しましたように、ドイツワインとオーストリアワインについて、連続ワークショップを開く予定です。専門講師の方々にお願いして、内容のある勉強会にしていきたいと思っています。社員一同も、皆様とともに勉強してまいりたいと存じます。

 

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「昨年一年で、特に印象に深く残ったワインは、どのワインか」と考えれば、ギリシャ・ケファロニア島のドメーヌ・スクラヴォスです。土壌が優れているだけでなく、フィロキセラのいない畑で、ゴブレ仕立てとビオディナミで栽培されるヴィーニュ・フランセーズの古木、自然な醸造に向けての努力、これらは稀有な環境です。

 

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 SO2の使用量については、まだ改善の余地が残されていますが、ヴラディス・スクラヴォスの豊かな感性により、素晴らしいワインが生まれています。
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 ロボラ・デ・ケラフォニ/ヴィーノ・デ・サッソは、ヴェネチア植民地時代の名前をとどめる素晴らしい白ワインですが、キュビ・ルージュ/バッグインボックス(3リットル 4300円)も多くの方に知っていただきたいワインです。
赤ワインのオルギオン酒をフリーランで仕込んだ残りで造られた、この価格では出会えない驚きの世界があります。

 

 

 サントリーニ島のハジダキスは昨年大きく進化しました。キュヴェ・ミロス2009はSO2の使用量は、今までで一番低い分析値(SO2 トータル 32mg/リットル) で仕上がっています。2008までと比べて、後味の澄んだ印象、アタックのやわらかさがあり、よりミネラルの純粋な味わいを楽しむことができます。このように、ギリシャの造り手たちとは今後、より自然な醸造に向けて共に前進していきたいと思っています。どうぞご期待ください。
「栽培が最も大事で、畑がワインの質を決定する」 は、シチリア・エトナの醸造家サルヴォ・フォティの口癖です。もちろん、醸造も重要ですが、畑に鉄やコンクリートの杭、ワイヤーのない栽培をしている造り手がどれだけいるでしょうか。 ドイツ・モーゼルのアインツェルファールエアツィーウング(棒仕立て)、エトナのアルベレッロ、フランスのゴブレ、これらの栽培方法は、ギュイヨやコルドンなどの垣根仕立に比べると収穫量が半分以下で、また電磁波を発生させませんから、ブドウに優しい仕立て方です。

 


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ドイツ・モーゼル地方の急峻なスレート土壌で栽培されるヴィーニュ・フランセーズのリースリングは、私には初めてであったミネラルあふれる未知の味わいの世界でした。このような仕立てで栽培される優れた自然派のワインを、どれほど価値の高いワインであるかを、もっと多くの方々に知っていただけるよう、今年は、みなさまにお伝えしてまいりたいと思います。

 「このワインに出会えて本当によかった」と、ワインを通して多くの方々に喜んでいただけますよう、一同いっそう努力してまいります。 本年もよろしくお願い申し上げます。

合田 泰子

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