『ラシーヌ便り』no. 73

2011.11  合田泰子

 

秋の大試飲会にはたくさんのご来場をいただきありがとうございました。新商品のマルゲ/シャンパーニュ・アンボネ、シャトーヴァリ/ベルジュラック、シャトー・ミルヴォー/ペサック=レオニャン、代変わりしたゴビーに注目が集まりました。特にマルゲは2007、2008年の新しいブレンドでいよいよ目指してきたクラスの味わいが姿を表しました。今月は、コンドリューの新星、ビオディナミで栽培される稀少な作り手クロ・ド・ラ・ボネット2010年が入荷します。是非お試しください。

*10月の出張
 25日からフランスに来ています。初日はVini Viti Vinciへ。ファースト・ヴィンテッジの2009はご好評いただき、ありがとうございました。刺激的な絵のラベルは、今年も変わらず、アメリカでは規制に引っかかるため、文字のみで販売されています。先月から2010年の瓶詰めが始まっています。マグナムのみで作られる樹齢70年のグラン・オルディネールは、ニコラ・ヴォーティエの腕の確かさと感覚のよさが存分に発揮された作品です。到着が楽しみです。

 今日26日は、ヴァンドームのエミール・エレディア/ドメーヌ・ド・モントリューを訪ねました。ロワール河北岸に位置するコトー・ヴァン・ド・モワにあるエレディアの畑は、河を見下ろす南斜面に広がります。ロワールでも北部に位置し、冷涼な栽培環境のため、シュナン・ブランは他にないドライでミネラリーな味わい。理想的な辛口のシュナン・ブランで、シュナン好きの私には、たまらなく素敵なワインです。樹齢100年を優に超えるフランピエのピノ・ドニスから造られるヴェール・デ・ポエット、ピュアでまっすぐな味わいかつ、奥深さがあり、不思議なほど癖がなく、真正な個性と落ち着いた美しさがあります。ロワールの最上の赤ワインと思います。こんなに素晴らしいワインが仲間に入り、本当に嬉しく思います。

ル・コントワール (le comptoir オデオン / シェフ: イヴ・カンドゥボルド)
 パリにもどって、オデオンのル・コントワールの前を通ったら、何と席があるではありませんか。予約の難しいネオビストロの筆頭です。
 メニューは、クラシックで、惹かれるものばかり。小さなテーブルと椅子がギリギリにぶつかりあうように配置され、どうみてもカフェのような空間で、正統派の料理が繰り広げられます。ワインリストもヴァン・ナチュールの優品が随所にバランスよく散りばめられ、古典的なものから話題のものまで厳選されています。どれを飲もうかと迷っていたら、サン=ジュリアン2007(ドメーヌ・ジョガレ)が目に飛び込んで来ました。ボルドーの有名なシャトーに囲まれた、たった 1.3haの畑から生まれる最もクラシカルな伝統法で作られるワインは、オールドワールドと言われています。「あそこのセラーは酢の臭いがする」とか、「あんな黒いカビにびっしりと覆われたセラーからまともなワインができるわけがない」などと言う人もいますが、ブルゴーニュのようなセラーがボルドーにないだけの話しではないでしょうか。 少量ですが、この秋お目見えします。
 ジョガレを慈しみながら、タイムスリップして、秋の夜をすごしませんか?



合田 泰子

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