『ラシーヌ便り』no. 7

2006.1  合田泰子

新年おめでとうございます。
旧年中はご厚情にあずかりまして、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 ㈱ラシーヌは、設立して早くも3回目の冬を迎えました。みなさまのご支援のもとに会社が発足して2年半を経ましたが、スタッフ3名とともに合田と塚原が協力しあい、おかげさまで無事に新年を迎えることができました。生産地では、世代交代と新規参入の波が押しよせるさなか、ひそかに優れた造り手が登場あるいは登場準備中というありさまで、ますます情報力がものをいう時代になりました。ラシーヌは「優良な仕入れが基本」をモットーとし、《誰が造った、どういうワインを、どのように扱うか》に、常に傾注してまいりました。昨年度は新たに、イタリアの《カッペッラーノ》、《カシーナ・フォンタナ》、《バルバカルロ》、スペインの《ドミニオ・デ・アタウタ》、フランスの《ヴィヌメンティス/ヤン・ロエル》が当社扱いの生産者リストに加わり、大きな話題を呼びました。ヴィヌメンティスのボジョレ・ヌーヴォーは、新登場にもかかわらず高評に恵まれました。今後も造り手とお客様の期待と信頼にお応えできるよう努めながら、ラシーヌ流のワインビジネスを実現すべく注力する所存ですので、倍旧のご理解と支持を賜りますよう、お願い申し上げます。

今月の入荷をご案内申し上げます。
1) ラ・フェルム・ドゥ・ラ・サンソニエール アンジュ・ブラン2003
 繊細で気品ある味わいと強さを秘めたマルク・アンジェリ製のワインには、つねにオマージュを送りつづけてきました。そこに、スタンダード・キュヴェの新登場です。マルクは数年前、カベルネ・フランとガメを、シュナン・ブランに植え替えました。「1990年に、ここにやってきたときに、カベルネ・フランは 早熟な品種だから、この環境でも熟すだろうと思って植えたけれど、思い違いだった。ぜんぜん熟してくれないのでシュナンに植え替えた」ということです。有機栽培の造り手の中でも、マルクの畑は15年間一度も耕運機を使わず、馬で耕作をしていた貴重な畑です。ビオディナミを指導する地質学の大家クロード・ブルギニョンが近々、トラクターで耕作した畑と、馬だけで耕作した畑の違いのレポートを準備しているとマルクから聞きました。
 このキュヴェは若いシュナン・ブランと、他の畑の収穫後に残って熟したブドウから造られます。スタンダード・キュヴェとはいえ、マルクの腕の冴えは存分に発揮されています。ラ・リュンヌよりもやや軽く、ドライな味わいです。マルクからこのクラスで優れたキュヴェがリリースされるとは思っていませんでした ので、うれしい驚きです。なんと、すべての生産量(3600本)がラシーヌに出荷されました。一年を通じて、一人でも多くの方に味わっていただきたいと願っています。

2) ジェラール・シュレール・エ・フィス
   お待たせしました。新ヴィンテッジ、久しぶりのシルヴァネール、新登場のキュヴェなど、いろいろとり混ぜて、ブルーノ・シュレール氏からのプレゼント・オファーです。どのキュヴェも数が少ないので、お急ぎください。
 ブルーノのワインは、アルザスの他のどの造り手ともちがった独特のニュアンスを感じさせます。自然の表現とブドウの純粋さをワインにとじこめることを念じ、純粋に品種の個性が楽しめる味わいです。大変凝縮した造りですが、ドライで重さがなくピュアそのもの。高いレベルでバランスが整い、ユニークな造り 手の個性が美しく現れ出ています。この味わいに共感する熱烈なファンが増えてきて、私もたいへん嬉しく思っています。アルザスのワインを長年扱ってまいりましたが、アルザスワインの市場は世界的にみても大変小さいため、ジェネリック・キュヴェ以外の流通は困難な状況です。フランス国内でも、著名な造り手たちですら、自ら車にワインを積んでレストランやカヴィストをまわって営業しているありさまです。彼らは国外のプロモーションにも力を入れなければならず、畑を留守にする日 数は3ヶ月近くにものぼるとか。「これでは、栽培に力を入れられない。けれども、プロモーションをしないと上級キュヴェが動かない」と造り手たちは本当に苦労しています。アルザスでは、シュレールのように上級キュヴェも含めて広く支持されている造り手は、ほとんどいません。

 シュレールのワインには、謎かけやおもしろい名前のキュヴェが多く、よくご質問をいただきます。秋に訪れたときに、いわれを聞いてきました。
ピノ・ブラン・IIIKL : 1998年が初ヴィンテージなのですが、その時点で既に2つのピノ・ブランのキュヴェが存在していたので、このキュヴェが 「3」番目、ということで「Ⅲ」、このキュヴェのブドウが「Klostermatt」(ドイツ語で、修道院のそば)という畑のため、「ⅢKL」と名づけられたということです。
今回入荷していませんが、ピノ・ノワール・ゼロ・ドゥーズ(0XII)の意味は、このキュヴェを初めて作ったとき、SO2非使用で醸造、瓶詰めしたのですが、SO2の分析値が12mgを示したため、「0XII」と名づけたそうです。

3) ジョゼフ・ランドロン ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ - アンフィボリット・ナチュール
 ご好評いただいていますアンフィボリットの再入荷です。なるべく切らさないようにと心がけているのですが、動きが早くてご迷惑をおかけしました。12月に入荷しましたムロニックスも、到着直後から味わいがまとまっています。是非お試しください。

4) ルメール・フルニエ
 お聞き及びかもしれませんが、ニコラ・ルナールがルメール・フルニエを去りました。正確に言えば、オーナーのマリー・アニックとワイン造りの上で意見がかみあわず、昨年の7月初旬、ヴァカンスから帰ってきたニコラは、ドメーヌに入ることを禁じられたということです。今となっては思い出になりましたが、かつての誰かの話に似ていますね。《ニコラがやめる前に本人が瓶詰めしたもの》と、《ニコラが造った2004年ヴィンテッジで、ニコラが去った後に別人が瓶詰めしたもの》とでは、正直かなり味わいに差があります。ニコラが仕上げたワインゆえに大勢の方々に愛されてきたわけですから、今回の入荷を最後にルメール・フルニエの扱いを終了とさせていただきます。2005年にニコラがどこでどんなワインを造ったのかは、楽しみに首をながーくして待っていてください。来年の今ごろ、驚くような 素敵なワインが届くことをお約束します。長らくご愛顧をいただきありがとうございました。これからもニコラが素晴らしいワインを造れるように、精一杯応援をしてまいりたいと思っています。

5) 予告編:
 今春、FILIPPIフィリッピというヴァン・ナチュールのソアーヴェが入荷いたします。2002年が初ヴィンテッジですが、私どもにとりまして待ち望んでいたスタイルのワインです。ご期待ください。

 なお、エリック・フォレからヴェルジッソンの美しい写真が届きましたので、ご覧下さい。フランスもこの冬は、とても寒さが厳しいようです。
Avec ces quelques photos de nosl prises des "Crays", Eric FOREST vous souhaite une tres belle annee 2006.
「クリスマスの日の『クレ』の畑の写真を添えて、新年のご挨拶を申し上げます」というメッセージが添えられていました。

合田 泰子

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