2011.1 合田泰子
《合田泰子のワイン便り》
新年おめでとうございます。旧年中はご厚情にあずかりまして、ありがとうございました。2008年以降に入社いたしました5人のスタッフは、昨年から輸入事務、営業と担当をもち、大きく飛躍することができました。ワインの経験を重ね、自信をもって対応させていただけるようになってきたと思います。今年はより細やかで、丁寧で積極的な営業を心がけてまいりたいと存じます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
1)シャンパーニュに始まる2011年
この冬、シャンパーニュ地方は大寒波に見舞われ、写真のような氷に覆われた畑の写真が届いています。
フランスからエペルネに抜ける起伏のある道に点在する各村や、エペルネからトロワに向かう坂道の繰り返す道沿いにある村々は、普段から閑散とした風景が広がっています。ランスとエペルネの華やかなメゾンの並ぶ街並みと正反対の、古い小さなセラーが点在する寂寥たる風景は、雪に閉ざされ、どれほどの静けさにつつまれていることでしょうか。道が閉ざされクリスマス前の出荷が困難を極めたようです。凍結による畑の被害がないようにと祈るような思いになります。でも真っ白な雪原の写真から、厳しい寒さの中の静かなシャンパーニュ地方の風景が思い浮かび、澄みきった痛いような空気を感じ、頭も心も清冽な印象に満たされます。
この数年、年に何度もシャンパーニュに通いました。ラシーヌでは2011年、新たに二人の造り手のワインが入荷する予定です。長年、導かれるように歩んでまいりました私どものシャンパーニュへの道は、いま次の次元へと飛躍する時期を迎えているようです。二人の造り手の登場で、ラシーヌのシャンパーニュ・セレクションの全容が姿を現します。大地の深遠さを味わいの底に秘め、エレガントさとフィネスにあふれ、心を静けさで満たしてくれるような味わいです。シャンパーニュの新しい世界が扉を開くと信じています。ご期待ください。
2)第一回フェスティヴァン 楽しいお祭りに終わり、本当にありがとうございました。
11月27日、フェスティヴァンが催されました。 勝山晋作さんを中心に、インポーターの方々と春から協議と準備を始めました。自然派ワインの輪でつながれた人気ビストロ、居酒屋の方々のお料理、音楽、美術担当、いずれも実力派で、おこしいただいた方々にとても楽しんでいただけたことと思います。9月にチケットを販売し始めましたが、出足がゆっくりでハラハラドキドキしましたが、終わってみたら1100名を超えるご来場をいただき、幹事一同喜びのうちに会を終えることができました。ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。
フェスティヴァンにあわせて、マルク・アンジェリとギー・ボサールが来日しました。ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンの活動で、ヨーロッパ各地、アメリカ、香港で会の実施にあたっている二人は、フェスティヴァンの催しとしての楽しさ、面白さに加えて、自然派ワインの日本マーケットでの広がりに驚き、会の成功を心から喜んでくれました。
二人の意見を総合すると、次のようにまとめることができます。
「インポーターが協力し合って会を催すということがどこの国でも難しく、また会場費や、運営にかかる費用がべらぼうに高い。費用がかかるわりに、それほどいい催しができないのが実情だ。また、フェスティヴァンはワインを選ぶ視点がしっかりしていて、選び抜かれたワインだけが出展されている。ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオンにしても、ディーヴ・ブテユにしても、参加生産者の選別が一番難しい。この十年、日本のインポーターが自然派ワインを紹介し、苦労しながら最上のコンディションでの輸送、販路を目指し、築き上げてきた道のりと熱心な消費者の姿は世界の見本です。」
かくも力強いメッセージをいただき、フェスティヴァンの実現のために短からぬ時間をかけてきたことが、報われたような思いがしました。
弊社では、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、クロアチアのワインを出展いたしました。「一度飲んでみたいと思っていたんです」とクルトワの「ラシーヌ」は多くの方々に楽しんでいただき、一番初めになくなったことは、嬉しい感激でした。最近東京に住まわれるようになったあるアメリカのお客様は、ラシーヌの扱っているワインを飲んで、「長い間ワインを飲んできたけれど、こんな味わいのワインは経験したことがなかった。とにかく楽しくて、味が深い、感動しました。今日は、本当にきてよかった」と語り、涙ながらに握手してくださったのには、私も感激しました。「少しでも多くの種類を飲みたいから」と、皆さん少しずつワインを大切に味わってくださいました。たくさんの出会いに恵まれ、皆で協力しあって事故もなく終えることができた、とても幸せな一日でした。来年も一層よいお祭りとなりますよう、幹事の皆様とともに、私達も努力してまいりたいと思います。
合田 泰子