『ラシーヌ便り』no. 42

2008.12.27  合田泰子

《合田泰子のワイン便り》

 新年おめでとうございます。旧年中はご厚情にあずかりまして、ありがとうございます。
 創立満5年に達した昨年は、経済状況の激変という厳しい情勢のさなかに、今後の進み方を多いに考え、責任感を新らたにいたしました。
 
 昨春以来、計4人の新入社員を迎え、今年は10人体制で出発いたします。

若槻 隆裕(*)     2003年 4月入社
美野輪 賢太郎(*)  2004年12月入社
太田 亜紀        2007年 7月入社
佐古 典子(*)     2007年10月入社
堀野 晃弘        2008年 3月入社
笠谷 真紀子       2008年 4月入社
西 美雪          2008年10月入社
栗田 まりえ(*)     2009年 1月入社
                (*):営業部員

 全員がワイン・ビジネスのプロフェッショナルになる目標をもち、夢をもってとりくんでいます。どのような時であろうと、常に明るく、エネルギーにあふれ、創造性と和をモットーに、社員一同努力してまいりたいと存じます。 温かく厳しいご指導をたまわりますよう、お願いいたします。

「彼女の時間」

 昨年思いがけず、光文社『HERS』10月号の「彼女の時間」に、8ページ建てで取り上げていただきました。50代以上の女性をターゲットにした雑誌ですが、「彼女の時間」の欄では、「仕事の背景にある個人の生き方」がテーマでした。インタヴューの中で、「一人のとき、何をして過ごしていますか?ゴルフ、フィットネス、趣味は?」とたずねられ、返答に困りました。一人だけの時間が、あまりに少なかったからです。

 思えばワインの仕事に深入りして20年このかた、困難と喜びがからみあった《ワインまわりの仕事》をしているか、家族にかかわる《家事まわりの用事》をするかのどちらかでした。子供たちも大きくなり、ようやくこれから私にも「一人の時間」が持てるようになろうかというところです。 

 今のわずかな「一人の時間」は、音楽を聞くことでしょうか。過去の音楽に息を吹き込み、蓄音機で再生した音源をCDに録音する仕事をしている兄の影響を受け、私もクラシックを聴くことが好きです。とりわけ好きな演奏家は、パブロ・カザルス、ジョルジュ・エネスコ、ジネット・ヌヴー、ミェチスワフ・ホルショフスキー、ディヌ・リパッティ。 年中同じ演奏ばかり繰り返し聞いているので、いつも耳の奥で、いずれかの演奏が響いているような気がします。

 朝一番に聴く演奏は、パブロ・カザルスのバッハの無伴奏チェロ組曲。カザルスは毎朝、まずバッハの無伴奏チェロ組曲を演奏して、一日の始まりを清めたとか。 12月23日の祝日は、BBCで 製作された「SONG OF BIRDS」のヴィデオを見ました。何度も見たヴィデオですが、いつも心を打たれ、深い感動に満たされます。

 何故、これほどまでに彼の演奏に感動を覚えるのでしょうか。妥協することを拒んだカザルスの生き方を考えるとき、私も信念を貫き、生き抜こうという勇気がわいてきます。ひるがえって、深く掘りさげることの少ない日常を考えてみれば、足りないだらけの自分のさらに足りない部分が見えてきます。カザルスの演奏にあふれる平和への深い祈りを感じるとき、私も足元の小さなことに祈りをもって、日々を生きていこうという思いを新たにすることができるような気がするのです。 

 直接ワインとはかかわらない私事を書いてしまいました。が、さまざまな私事がつまった個人の生活が、大げさに言えば人生の基調をなすのだとすれば、このような生活のうえに、私の仕事とワイン人生があるはずです。今年は、「私のワイン人生」という年間テーマで、ラシーヌ便りを綴っていくつもりです。ご期待ください。

合田 泰子

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