『ラシーヌ便り』no. 30

2008.1.8  合田泰子

パリの話題

 新年おめでとうございます。旧年中はご厚情にあずかりまして、ありがとうございました。

 おかげさまで、㈱ラシーヌは、本年4月7日に創立満5年を迎えます。この5年を振り返りますと、古いマンションの小さな部屋でささやかなビジネスを開始したときの、希望と不安が入り混じった日々や、造り手との取引関係が少しずつ拡大していったときのうれしかったことが、あらためて思い出されます。傍目にはともかく、決して平坦な道のりではありませんでした。こうして、新年を晴れやかな気持ちで迎えることができますことを、お世話になった方々に心より感謝申し上げます。
 また今年は、塚原とともにワイン探索の歩みを始めて、20年になります。この間、「よいワインとは何か」を常に問い続けながら、造り手を訪ねる日々を重ねてまいりました。20年の間に、日本のマーケットも、単に消費が伸びただけでなく、プレスの評価に左右されずに自らの力でワインを評価して選ぶプロフェッショナルの方々が多数、育ってこられました。 真のワイン・マーケットへの成熟という観点から、素晴らしいことだと思っています。

 いつもお話することですが、ラシーヌは決して自然派ワイン専門のインポーターではありません。けれども、マルク・アンジェリが説くように、「1970年以来使われている農薬が今後も使われ続ければ、20年後にはアペラシオンの根本であるテロワールの特徴がなくなり、アペラシオンが成り立たなくなってしまう」のは明らかです。私たちは、真剣な有機農法によるブドウ栽培のあり方について、今まで以上に深く認識し、造り手とともに有機栽培の輪を広めていきたいと思っています。地球環境を守ることと同時に、真に優れたワインが生まれるには有機栽培が不可欠だからです。

 昨年は、10年来の夢がかない、ヴァレンティーニとの取引を始めることができました。今は故人となってしまったエドアルド・ヴァレンティーニが、書籍が溢れる居間の中で、歌うように情熱的に語っていたときの情景が、なつかしく思い出されます。古代ローマ時代の農業研究書をひもといては学び、「ブドウ畑の中でワインを造る」というモットーを貫いたエドアルドは、「ビオロジコ」「オルガニコ」という用語は不適切として、自らを「ブドウ栽培家」と考えていました。

 また、本年3月より、あらたにトスカーナの造り手のご紹介が始まる予定です。エコシステムの環境の中で守られた畑とセラーから生み出されたワインは、徹底した有機栽培のブドウ、造り手の優れた感覚と、伝統的な醸造がはじめて可能にした味わいです。良いコンディションのもとに、正しい情報を添えて造り手の全体像をお伝えすべく、準備を進めています。ご期待ください。
 新人が、私たちの仲間に加わりました。昨年10月に入社いたしました、営業の佐古典子です。佐古にとってワインは長らく憧れの分野でしたが、夢をもって取り組んでおりますので、温かくかつ厳しいご指導をたまわりますよう、お願いいたします。また、本年4月には、日本とイタリアで学んできたフレッシュマンが登場いたします。あらたな陣容のラシーヌは、元気いっぱいです。

 末尾ながら、ラシーヌは常に初心にたちかえり、造り手とお客様の期待と信頼にお応えできるよう努めながら、当社らしいワインビジネスのあり方を模索していきたいと念じております。

 今後とも、倍旧のご理解と支持を賜りますよう、お願い申し上げます。

合田 泰子

▲ページのトップへ

トップ > ライブラリー > 合田泰子のラシーヌ便りno 30