『ラシーヌ便り』no. 23

2007.6  合田泰子

 さわやかな風が心地よく、気温が高い日ですらとても気持ちのよい毎日が続いています。朝晩の寒暖の差が大きく、東京にいながらまるでヨーロッパにいるような錯覚に陥ることがあります。スコールのような激しい雨が降ったり、ヨーロッパのような気候を感じたり、地球温暖化に伴い気候が確かに変化してきているのを実感します。 
 この時期は、造り手たちと毎日のように秋の船積みに向けて連絡をとりあいますが、ジェローム・プレヴォーの話では、「シャンパーニュでは3週間もブドウの生育が早く、まったくおかしくなっている」ということですし、ローヌでも同じような状況です。また、アルザスでは、1,2月が異様に暖かく、シュレールでは「もう一度気温が下がるのを待って、剪定を始めよう」と3月中旬まで剪定を待ちました。4月に剪定をしたことなど例のないことだそうです。例年通り早く剪定された他の畑では、生育状況が大変厳しいようです。
 5月末に「マルカリーニ」のマヌエル・マルケッティ氏が来日していましたが、ピエモンテでもブドウの生育が1月早く進んでいるとのこと。 2007年の収穫は北の生産地でもかなり早くなると思われます。毎日、自然と対峙しながら生きている造り手にとって、今後どのような栽培をしていくか、今まで以上に造り手の力が問われることでしょう。 また、仕入れをする側としても、長期的な気候変化による産地ごとの味わいの変化を読み込みながら、頭脳的に仕入れていかなければならないと思っています。

 先日、5月下旬に到着したワインの試飲をいたしました。アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール2005、ダルヴィオ・ペラン2004は、昨年末から出荷可能でしたが、しばらくボーヌのセラーで休ませていました。2005年のド・ムールは、素晴らしいヴィンテッジですが、大変かたくて鉱物質的なニュアンスがあり、バランスを崩していたのですが、やっと本来の味わいが出てきました。半年後がとても楽しみです。ダルヴィオ・ペランは、赤ワインも白ワインもともに美しく繊細な味わいがし、2004年ヴィンテッジの難しさなどどこ吹く風で、持ち味を発揮しています。

 マルカリーニのマルケッティ氏来日にともない、オフィスで小さな試飲会をいたしました。マルカリーニのいずれのワインにも、どっしりとした風格と高貴な風情と温和さが感じられます。「その素晴らしさを再認識した」というご意見をたくさんの方からいただきました。バルベーラ以外は、ほとんど完売いたしました が、バルベーラはまだ少し在庫があります。

  7月には、ティエリー・ピュズラが二度目の来日です。このたびは、大阪を皮切りに、福岡と東京で試飲会をいたします。2005年ヴィンテッジを中心に、 2006年の早くもビン詰めされたワインをごらんいただけます。詳しい日程が決まりましたら、改めてご案内申し上げますが、大阪試飲会 7月23日《月曜日》、福岡試飲会 7月24日《火曜日》、東京試飲会 7月27日《金曜日》 の予定です。各地の皆様と再会できることを、ティエリーとともに楽しみにしております。 

合田 泰子

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