《アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール》ほかの速報

2005.7.23  合田泰子

 梅雨が明け、本格的な夏がやってきました。
6月までのヨーロッパは、2003年のような酷暑と聞いて心配しておりました。が、アルザスのブルーノ・シュレールとロワールのティエリー・ピュズラによれば、その後は気温も平年なみに下がって適量の雨も降り、畑の状態は大変よいとの朗報がはいりました。

さて、8月のご案内には少し早いのですが、フランスからのコンテナ到着の予告です。毎年、夏に最も待ち遠しいワイン、すっかりお馴染みになりましたアリス・エ・オリヴィエ・ドゥ・ムールのキュヴェ・ア・リゴテ2004が入荷します。2002、2003とスタイルは似ていますが、炭酸ガスが多いので、かなり強いペティヤンを感じます。残糖が両年より2g多くて4gもありますが、酸とミネラルがたっぷりありますから、甘さはそれほど感じません。

 昨年9月にパリ在住の画家ミシェル・トルメー(弊社のジャン・フォワイヤールのヌーヴォーのラベルの原画作者で、ジャック・セロスのラベルの作者)を訪ねました。「この季節にこれほどぴったりのワインはないね」と言いながら、冷蔵庫から冷やしたア・リゴテとカラフェを出し、デカンタージュして、ヴァカンス先のおみやげのスペイン産生ハムをおつまみにご馳走してくれました。「僕たちはこういうワインを待っていたんだ」とア・リゴテを友達のようにいつくしみながら味わうミシェルの姿に、パリの若者の間でのヴァン・ナチュールの根強い人気を確信しました。「僕たちの世代は、古くからある月並みなワインに辟易していたんだ。値段は高いし、ワイン批評家たちの話なんて興味がないからね。ヴァン・ナチュールは造り手も僕たちと同じ年代で、大好きなワイン造りを心から楽しんでいる。飲むほうも楽しくなるしね」とミシェル。2003年、アリス・エ・オリヴィエ・ドゥ・ムール夫妻が造ったいずれのキュヴェも、ヴァン・ナチュール・ ファンの垣根を越えて広くの方々から、偉大なワインとして驚きとともに迎えられました。ちょうど昨日のこと、実験的に作られた酸化防止剤非使用のキュヴェ・ロゼッ トを飲みましたが、その素晴らしさに思わず息を呑みました。この夏もキュヴェ・ア・リゴテは、きっと多くの方に喜んでいただけると思います。炭酸ガスが気になるときは、ミシェルのようにデカンタージュしてください。

 そのほか、夏にふさわしいギー・ボサールのヴァン・ムスー、ランドロンのミュスカデ、クロ・デュ・テュエ=ブフの2004が入荷します。2004年のロワールは、天候に恵まれて質・量ともに素晴らしい仕上がりになりました。酸が美しく、果実味もたっぷりあり、チャーミングでバランスのとれたヴィンテッジです。

 最後に、お待ちかねのレオン・バラルの新ヴィンテージ2002も到着しました。2002年のラングドック地方は、洪水の中で収穫が行われたと聞いています。素晴らしい2001年の後、2002が極端に劣ることを懸念していましたが、まったく心配無用でした。「徹底した有機栽培をしていれば、悪天候に左右 されることはないんだ」と、ディディエは言っています。ディディエはこの秋、ニコラ・ジョリーが率いる『ルネッサンス・デ・アペラシオン』の催しのために、マルク・アンジェリ、ダヴィッド・レクラパールとともに来日する予定です。ご期待ください。

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