《合田泰子のフランス便り》

2006.12  合田泰子

 12月に入り、お忙しい毎日をお過ごしのことと思います。
ヤン・ロエルが来日した際には、多くの方に催しにご出席いただき、ありがとうございました。ヤンの注目に値する発言から、まずご紹介させていただきます。

1. ヤン・ロエル語録
 「ボジョレ地区3200余人の造り手の中で、野生酵母のみで醸造している作り手は30人に満たない。培養酵母で醸造したワインと野生酵母で醸造したワイ ンとでは、香りがまったく異なる。そのために、野生酵母で醸造する造り手の多くが、守旧派の反対でAOC認証を得られないのは、本当に理屈にあわない話だ。今年も、私やマルセル・ラピエール、デコンブら多くの仲間はAOCがなかなか得られず、11月3日の3度目の審査でようやくAOCを得ることができ た。」

 「テロワールをワインの味わいに表現すると言ったって、ボジョレとローヌで同じ酵母を使って醸造して、テロワールの違いが表せるわけがない。」

 「発酵は時間をかけてゆっくりと進むのがよい。私たちは6週間から長い場合は半年以上かけて発酵させている。化学肥料を使用すると、ブドウに窒素が含まれてしまう。窒素は発酵を速く進ませるため、2週間ほどで発酵が終わってしまう。ヌーヴォーの場合、限られた時間の枠中で発酵を終えて仕上げるのは、ヴァン・ナチュールの醸造法では大変なことです。」

 ヤン・ロエルは滞在中に各地を訪ね、販売に携わる方々の情熱を感じとり、大いに感激したようです。
 「ヴァン・ナチュールを広めるために、日本ではインポーター、酒販店、レストランの皆さんが大変な努力をしてこられたことがよくわかりました。フランスに帰ったら、仲間たちに私が滞在中に見聞きしたことや、知ったことを伝えます。もっとよいワインを造り、きちっと情報を届ける努力をしなければならないと感じました。」
というメッセージを残して帰りました。

2. 造り手の来日予定

 2007年も、目白押しです。 
2月26日―3月8日ティエリー・ピュズラ 、3月― ブルーノ・シュレール、10月末ジェローム・プレヴォー、11月末ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオン(ピエール・フリック、マルク・アンジェリ、ディディエ・バラル、ギー・ボサール、ポール・バールの各氏)。詳細が決まり次第、ご案内申し上げます。

3. この商品にご注目
①シャンパーニュ
 先月ご案内しましたニコラ・マイヤール【ミシェル・マイヤール】を社内でテイスティングしました。到着直後でしたが、明らかに一クラス上の味わいの高さが感じられ、一同驚きの声を上げました。特に上級キュヴェでは、「野生酵母で樽発酵・樽熟成で醸造し、マロラクティック発酵をしない」クオリティ・シャンパーニュに欠かせない、〈昔ながらの伝統的な醸造方法のみが実現できる味わい〉が明確に感じ取れます。 【リシャール・シュルラン】のキュ ヴェ・ジャンヌ、【ジョゼ・ミシェル】の「スペシャル・クラブ」と「ブラン・ド・ブラン」も、いつものように素晴らしい仕上がりです。とくに【ジョゼ・ミシェル】ブラン・ド・ブラン1995は、数も少ないのでお急ぎ下さい。
②船便ヌーヴォー
【ヴィヌメンティス】 ボジョレー・ヴィラージュ・プリムール2006(ラベルは、ポスターと同じくゴリラの絵)
【クロ・デュ・テュエ・ブッフ】ヴァン・ヌーヴォー・デュ・テュエ・ブッフ2006 
【ティエリー・ピュズラ】VdT2006-ヴァン・ヌーヴォー
ご好評いただきましたヌーヴォーの船便が12月22日より出荷可能です。ビン詰めから1月半たち、おちついて一層おいしくなっています。少し冷やし加減で、年末年始に気軽にお楽しみください。

4. 今年一年を振り返って
 ユーロの異常な高騰は、マーケットを狭めてしまうため、造り手・インポーター・流通販売業・消費者のすべてにとって、好ましい状況ではありません。最も 多くの方に喜んでいただける、1年前に小売2000円前後だったワインが、いまや3000円になろうとしています。弊社も、できるだけ販売方法を工夫して、価格の上昇を最小限にとどめたいと思っています。
 創立4年目を迎えた今年は、スタッフも増え、また新たな造り手やお取引先に出会うという、実り多い1年でした。限られた人材と資金しかない小さな弊社には、もろもろの制約がありますが、創業の理念である「ラシーヌ宣言」の精神を見失わずに過ちを正し、健全な活動を心がけてまいりたいと存じます。2007 年のテーマは「原点に帰る」、創業の年を支えてくださった方々への感謝を忘れず、2007年度も一層の努力を重ねてまいる所存です。今年一年のご愛顧を心よりお礼申し上げます。どうぞよいお年をお迎えください。

合田 泰子

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