《旅路のまえに》

2006.9  合田泰子

 ようやく朱夏とも別れを告げ、快い大気が肌に感じられる気候になってまいりました。心待ちにしていたワイン向きの時節が、いよいよ到来いたします。㈱ラシーヌもまた、今年の秋にそなえて皆様のご期待にそえるよう、品揃えを拡げてまいりました。ちなみに現在、弊社とお取り引きのある生産者は優に100社を超えてしまい、小体のインポーターとしてはいささか多すぎるように思われるかもしれません。
 が、産地の動きに身をもって触れれば、ヴィジョンと実力をそなえる生産者がひそかに台頭するいっぽうで、妥協を排して志を追求する中堅がひかえ、遊び心を忘れない大家が実験精神に燃えていたりすることに、いやでも気づかされます。流動つねなき産地でのフィールドワークは、そういう魅力をたたえるワインや生産者と出会い、実力を確認することができる機会なのです。
 私にとって、出会いはすなわち仕事の始まり。というわけで、ラシーヌのリストは結果的に出入りがあるにしても、ご覧のとおり厚くて見苦しくなってしまい、申しわけありません。ですが、テイスティングという味覚と嗅覚だけを頼りにして、納得のいく生産者とワインだけを求めつづけてご紹介することが、私とラシーヌの使命であると考えています。

 というわけで、明日からしばし、フランスとイタリアに行ってまいります。帰国後、皆様にお目にかかり、ご報告することを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。

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