2006.8 合田泰子
長すぎた梅雨もようやく明け、東京にも本格的な夏がやってきました。九州、島根、長野県ではとりわけ豪雨の被害が大きかったとのことですので、心からお見舞い申し上げます。なおまた、他県の皆様には、お変わりございませんか。
さて、まずはお待ちかねの産地最新情報。9月の船積みに向け、毎日のように現地と連絡をとっていますが、現在のところおおむね作柄は良好に向かっているようです。
《ドメーヌ・ド・ラ・マドーヌ》より、ボジョレ・ヌーヴォー2006の近況
――マドーヌのブリューノ・ベレールから、7月末日に近況が届きました。
「春先は、寒くて湿気の多い毎日でした。畑は表土・基層土とも、水分をたっぷり飲み込んでいます。6月1日から現在にいたるまで、気候は2005年に似て日照りのためごく乾燥しており、気温は2005年よりは高いが、2003年ほど極端な猛暑ではありません。実付きは多大とまではいきませんが、《マドー ヌ》では現在グリーン・ハーヴェストを実行中です。7月早々にいくらか雹に見舞われましたが、収量は落ちても品質には影響がありません。
通例Veraison(ヴェレゾン:ブドウが緑色から赤紫色に熟していく「移行」を意味し、黒ブドウが真に成熟段階にはいる徴)は8月1日から10日のあいだに始まるところが、今年は7月20日過ぎに、早くもヴェレゾンが始まりました。したがって、今年の収穫は大変早くなり、順調にいけば9月10日から15日に なると思われます。《マドーヌ》では毎年ブドウの完熟を期すため、他の造り手よりも収穫を遅く始めます。
ここ7週間というもの雨が降っていないので、あと1週間以内に雨がなければ、ブドウの樹が旱魃のストレスでいくらか害を被るおそれがあります。でも、数日以内に驟雨が予報されています」
ご存じのとおり《マドーヌ》は昨年も、『ウォール・ストリート・ジャーナル誌』と『ワイン・スペクテーター誌』で、アメリカ市場でのベスト・ヌーヴォーに選ばれています。今年もまた、バランスのとれたワインらしい味わいのヌーヴォーを楽しみにしていてください。
なお、他の造り手からの近況がはいり次第、追ってご報告いたします。
【コンテナ入荷情報】
8月は、フランスとイタリアからコンテナがそれぞれ1本づつ入荷です。
【注目生産者】
1).《アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール》
お待ちかねの「ア・リゴテ2005」が入荷です。6月に雹と嵐にみまわれたため収量が2004と比べて低くなりましたが、シャブリ地区はコート・ドールと同じく、素晴らしいヴィンテッジとなりました。
2).《ベルナール・ファンヴェルグ》の第2弾、入荷
「ブルゴーニュ異色の新人戦略家」として、3月のご案内で大胆なメッセージとともにデビューをはたした《ファンヴェルグ》。格付けに比べて割高なワインの仕入れは通常、慎重にならざるをえません。が、1ケースだけサンプル輸入した「ブルゴーニュ・ブラン2004」に、ラシーヌのスタッフ一同が大感激。思い 切って船積みしました。畑のありかは、シャニーの駅からヴーズロンに向かう、リュリーのアペラシオン近くです。ラシーヌの宝物がまた一つ増えてしまいました。この喜びを、ともに味わっていただければ幸せです。
3).《レ・カイユ・デュ・パラディ》の5つのキュヴェ
なんと、クロード・クルトワにしては珍しく、早いうちからハーモニーを奏でる美しい仕上がりです。クロードのワインでもっとも早くビン詰めされる「ナカラ」 は、あふれるようなチャーミングなフレーヴァーが人気で、現在2004は絶好調ですが、2005もすぐに楽しむことができます。ご存じのように2003年は熱波にみまわれ、濃縮した果実味のワインが多く生まれました。クロードのフラッグ・シップ「ラシーヌ2003」も、いつもの複雑でユニークな味わいは後ろに退き、美しい果実味が前面に現れています。これまで積極的なご案内を控えてきた「ラシーヌ2002」は、もうしばらく倉庫に休ませて熟成を待つかたわら、「2003」を先にお勧めしたいと思います。
4)《エリック・フォレ》
2004がようやく、本領を発揮してまいりました。5月のご案内で、「2004年は新たな境地を開いたともいうべきワインです。まず華やかさ、次に洗練されたピュアな味わいに隠された凝縮したフレーヴァーが現れます」と予告させていただきましたが、なかなか本来の持ち味がすなおに姿を現れしませんでした。が、7月に入り、ブルゴーニュ好きの方々から絶賛のお便りをいただいております。追加分が入荷しましたので、お試しください。
盛夏の折り、どうぞお体を大切になさってくださいませ。秋のビジネス本格化にそなえて、私も少しお休みをいただくつもりです。