ラシーヌ・オフィス便り 番外編

2010年2月

 お待たせしました!《西のフランス出張レポート》です。

【プロローグ】 
  2010年1月末。ついにラシーヌ・オフィスを飛び出し、フランスへ!今回の目的は、ロワールの2大試飲会である “ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオン” と “ディーヴ・ブテイユ”への参加と生産者訪問。人生初の海外出張!しかも、1人!不安と緊張に押しつぶされそうになりながら、いざ出発。・・・そこには、たくさんの感動が待っていました。


◆ラ・ルネッサンス・デ・アペラシオン

≪イル・カンタンテ≫の新発売にあわせて、
ニコラ・ジョリー率いる自然派ワイン生産者たちの試飲会。1月30、31日の2日間。約100生産者が集います。生産者たちは、全員“有機栽培認証”を取得しており、そのうち、約80%がビオディナミ農法を実施。(招待状のない方の入場料(15ユーロ)は、全てマダガスカルの農業支援団体に寄付されます。)

配布された冊子には、

『ビオロジックやビオディナミ農法による”テロワール”を思う存分感じてください。この試飲会は、あくまで”ワインを味わう会”。ワインの商談の場ではないのです。』

という言葉が明記されており、彼らのワインに対する真摯な姿勢が感じられます。



 試飲会前夜、会場であるグルニエ・サン・ジャン(アンジェ)で、マルク・アンジェリと待ち合わせ。この会のリーダーであるマルクは、睡眠時間を削り、試飲会のために多くの時間と労力を費やします。会場では、マルクが生産者たちに設営指示をする傍ら、自らも進んで積極的に動き回ります。私もグラス配置のお手伝いに加わると、「あら、あなたもお手伝い?ありがとう!」と、気持ちのいい笑顔が返ってきました。みな協力的で、活気に溢れた姿を目の当たりにし、ますます試飲会への期待が膨らみます。


試飲会当日。
初日は、15時開場/19時閉場。開場から1時間もすると、
会場内は多くの人で溢れ返ります。ロワールを中心に、フランス各地から生産者がブース出展。さあ、試飲開始です!


一番に向かった先は、
アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール
「08年は、9月に雨が降り、気候的に少し難しい年だったけれど、最終的には出来もよく満足している。」アリスの優しい表情と語り口のおかげで、大試飲会に初参戦する緊張感もほぐれました。ワインは、瓶詰め直後のものは、酸がたっているものの、その奥に感じられるミネラルの美しさが素晴らしい!


試飲会終盤、人ごみをかきわけ、
ようやく辿り着けた先はレオン・バラル
他ブースでの試飲中、「バラルのワイン飲んだ?本当に素晴らしいよ!」と何度も声をかけられました。なかでも、レロー08は、華やかで、熟した果実の甘さを残しつつ、セックに仕上げてあり、とても印象的でした。


 天井の高い会場内は空気の流れもよく、生産者たちが時間をかけて試飲会準備をしただけあって進行もスムーズ。「(原則)1ブース/5本まで」というきまりのおかげで、各ブースで多少時間にゆとりをもちながらテンポよく試飲し、多くの生産者と言葉を交わすことができ、充実した試飲会でした。

◆ディーヴ・ブテイユ

 ジャーナリストであるシルヴィー・オジュロによる自然派ワイン生産者たちの試飲会。11回目を迎える今年は、1月31日のみの開催。生産者の認証有無は問わず、約130生産者が集います。 舞台は、自然派ワイン発祥の地であるロワール地方のシャトー・ブレゼ(ソミュール)。

なぜなら、今年のテーマは、
「Back to the roots / la Dive Bouteille revient aux sources」
つまり、「原点回帰」。

このことについて、ディーヴ・ブテイユのブログでは、

『今、これといった明確なルールなしに、“自然派”ワインの生産者ブームである。しかし、実際に、培養酵母での発酵を禁止し、亜硫酸添加量を制限するとなれば、(大半の“自然派”ワインの生産者は、本当に“自然派”かもしれないが、)おそらく地団太を踏んで反対する生産者がいるのではないか。それは、利益のために妥当な道だとしても、本来あるべき道とは遠ざかっている。ヨーロッパの法律で自然派ワインにおける低温殺菌法が認められているのだから、これからますます活気に満ち溢れた“自然派”ワインが主力となっていく。』

とのメッセージを掲載しています。





 試飲会当日。
10時開場 / 20時閉場。城内の幻想的な情景に目を奪われるものの、入り組んだ道のりは、まるで迷路。1日限定の開催に合わせ、溢れかえる人の波。さらには・・・あまりの寒さで閉じてしまう赤ワインも。「目標数の試飲をこなすのは困難?」と、くじけそうになりながらも、いざ試飲へ!

一番に向かった先は、やはりシャンパーニュ。
溢れる人をかきわけ、ようやく辿り着いたジェローム・プレヴォー
1アイテムしか出展していなくとも、彼の元には絶え間なく訪問者が現れます。ラ・クロズリー・レ・ベギーヌ07は、溢れるアロマと美しい酸味、力強いミネラルがあり、豊かな余韻が長く続きます。

 どの生産者も、「09年は素晴らしい年だった。」と口を揃えます。その味わいは、瓶詰め直後の強調する酸の中にも、果実味に富み、熟成後の味わいに期待がふくらむワインが多かったように思います。


 18時には片付けをし始め、生産者自身も各ブースで試飲開始!もはや生産者同士のお祭り状態。私も、目標数の試飲を終え、各地の生産者、研修先だったジャン・イヴ・ペロンや留学中にお世話になった方々と、ワイン片手に話がつきず、ふと気がつけば閉場時刻を超えていました。

【エピローグ】

 どうにか初出張を終え帰国。生産者たちと直に触れ合い、彼らが伝えようとする想いや意思、お互いの信頼関係の重みや深さを痛感しました。その想いを、少しずつ、みなさんにお伝えしていきたいと思います。


 ※今回は、ここまで。生産者訪問については、後日ご報告いたします!

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