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社員リレー・エッセイ 12 馬場 時(輸入部)

「好きなこと」

 心のお姉さま、もといアジアンビューティー尾崎さんよりバトンを受け取りました輸入部の馬場 時です。「時」と書いて「たいむ」と読みます。初対面で一度も正しく読まれたことがないのは少し自慢。最近すごいなと思ったことは、飼っている犬が「伏せ」の状態で30分以上ご飯を前に待てたことです。恐るべし、犬の忍耐力。フレンチ・ブルドックである彼の底なしな食欲には、時に励まされ、時に唖然とします。

 さて、自己紹介ということなので拙文ではありますが好きなことについて書かせて頂きます。

 みなさんは「角打ち」という言葉をご存知でしょうか。飲食店ではなく酒屋の店頭や店内で立ち飲みをすることを指します。場所によって言い方も様々で、東北では「もっきり」、鳥取県から島根県の東部にかけては、「たちきゅう」と呼ぶのだとか。私はこの角打ちが大好きです。

 初めて知ったのは大学に入って間もないころ。父の買い物の付き合いでたまたま酒屋さんに行った時の事です。お店に入ってまず目に入ったのは片隅で赤いビールケースをテーブル代わりにしてお酒を飲んでいる大人の方々。飲食店以外の店内で飲食行為をしても良いものかと驚きました。同時にお客さんの笑顔で各々楽しくお酒を飲んでいる姿はお店のディープな雰囲気もあいまってとても印象的で、ビールを飲む父の隣でオレンジジュースを啜りながら「成人になったら絶対私も角打ちするぞ!」とひそかに決心しました。

 そして待ちに待った20歳。お店の下調べもしっかりと行い、日程も決め、勝負服も決め、準備万端。いざゆかん、そう思ったところでふと気づきました。そういえば私は極度の人見知りなのだと。大勢の人が集う場所は大の苦手、初対面の人と話すときは大量の手汗、スピーチではつねに裏声震え声。そんな私が、一人で行けるのか。けれどもあの時の決意を無駄にしてなるものかと、積み重ねたイメージトレーニングの内容を反芻し、震える膝をたたきながらお店へ向かいました。時刻は18時半。清水の舞台から飛び降りる気持ちで扉を開けると店内はたくさんの人で賑わっておりました。カウンターへ滑りこむように向かい席を確保し、おどつきながらも注文すませます。一息つき、人々の暖かな笑い声やお酒の香りに包まれ、段々と上がっていた肩から力が抜けていくのを感じました。ちゃきちゃきした女将さんから受け取ったお酒を一口飲むと、旨みがじんわりと身体に広がります。ついに、ついにやり遂げた…。そうしてしばらく達成感に浸っていると、同じくお一人で来たらしき女性が話しかけてくださいました。普段の私ならばたちまち固まってしまいますが、なんと別人のようにすらりすらりと言葉が口を伝って出てくるではありませんか。いつの間にやら周りには人が集まり、気づいたら何時間も話し込んでしまいました。お酒の力なのか、はたまたお店の不思議な空間がそうさせるのか。様々な年齢・性別・職種の方々とあのように笑いながらお酒をのみ語らい合えるなんて夢のようでした。

 そうして終えた初・角打ちを機に、今では時間があればふらふらと、色々な土地で角打ちをしています。最近では流行なのか少しずつ角打ちができる場所が増えているようで嬉しいです。どこかのお店でお会いすることがありましたら、その時はどうか気軽に話しかけてあげて下さい。シャイな性分は相変わらずなので。

 次は、彗星のごとく現れた期待の新人、岩井さんです。どうぞお楽しみに。


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