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社員リレー・エッセイ 16 竹原 宙希(輸入部)

 皆様初めまして。3月末よりラシーヌで働いております、竹原 宙希と申します。宙希で「ひろき」と読みます。先輩の時(たいむ)さんにも負けじと読めない字面であります。あまりに未熟で周囲に迷惑ばかりかけていますが、1日も早く、吸収したものを仕事でお客様と会社に還元できるよう精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 先月の美野輪さんのエッセイで、その土地に住む人の暮らしぶりを知る旅の面白さが綴られていました。その土地の人がどのように生きているのかということは、私にとっても旅先での大きな関心事であります。
 私は学生時代、少しばかりフランスにいました。特にパリは縁あって、卒業後もしばしば訪れる街でした。
 パリを訪れて何度目のことか。早朝に散歩をしているとき、不意にゴミ箱に目がいきました。
 パリは東京と違い、街のいたるところにゴミ箱があります。早朝のゴミ箱はゴミ袋が取り替えられたばかりで空っぽです。鉄製のそれは、ひょろりとひん曲がっていてどこかオブジェのような佇まい。造形美を感じました。
 それからパリにいるときはゴミ箱を意識するようになりました。外を歩くときはカメラをもって出かけるので、色々なところにあるゴミ箱を撮りました。ゴミは人間が捨てるもの。だからゴミ箱にはその日その地区の様子が表れます。たとえば、パリの町中が昼夜音楽に沸く音楽祭の日のゴミ箱には酒瓶が溢れます。この時期、外飲みに最適なサンマルタン運河沿いのゴミ箱には酒瓶に加え、ケバブの箱やファーストフード店の紙袋もどっさりでしょう。パリファッションウィークが開幕したら、展示会場のギャラリーひしめくマレ地区の瓶用ゴミ箱は、入りきらないスパークリングワインの空き瓶に囲まれます。

 ゴミは人間が捨てるもの。ゴミかどうかはその人の価値判断によって決まる。先進国のゴミ箱と発展途上国のゴミ箱の中身はどんなに様子が異なるでしょう。そもそもゴミ箱がないかもしれない。ゴミと一緒に失ってはいけないものまで捨てている気がします。フランス語でゴミ箱はPoubelle。これは19世紀末にパリの街の衛生環境を改善するために、ゴミを捨てるためのフタ付き容器を一家に一台用意させる条例をだした、当時のセーヌ県知事Eugène Poubelle氏に因んでいます。
 フランス語でbelleは美しい。闇雲に捨てられたゴミの中には、捨ててはいけなかった美しいものまで紛れている、そんなこじつけの自戒をパリのゴミ箱から拾いました。もちろん、私もゴミのように捨てられないように頑張り、存在感を主張したいと思っています。

 次回は、新卒の私にとっては大先輩、今月入社された齊藤さんです。

↑ファッションウィーク開幕時のゴミ箱

↑ひん曲がった早朝のゴミ箱

 


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